「ミッドナイト・イン・パリ」 (原題:Midnight in Paris) は、2011年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。ウディ・アレンが脚本・監督を務め、オーウェン・ウィルソン扮する主人公が現代から1920年代のパリへタイムスリップ、ヘミングウェイやピカソらと遭遇する様を幻想的な映像とともに描き出すこの作品は、第84回アカデミー賞で脚本賞を受賞しました。
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監督: ウディ・アレン
脚本: ウディ・アレン
出演: オーウェン・ウィルソン(ギル・ペンダー)
レイチェル・マクアダムス(イネス)
カート・フラー(ジョン )
ミミ・ケネディ(ヘレン )
マイケル・シーン(ポール・ベイツ)
ニーナ・アリアンダ(キャロル・ベイツ)
カーラ・ブルーニ(美術館の案内人 )
イヴ・ヘック(コール・ポーター)
コリー・ストール(アーネスト・ヘミングウェイ)
ソニア・ロランド(ジョセフィン・ベーカー)
ダニエル・ランド(ホアン・ベルモンテ)
マルシャル・ディ・フォンゾ・ボー(パブロ・ピカソ)
マリオン・コティヤール(アドリアナ)
レア・セドゥ(ガブリエル)
エマニュエル・アザン(ジューナ・バーンズ)
トム・コーディア(マン・レイ)
ガッド・エルマレ(探偵タスラン)
イヴ=アントワン・スポト(アンリ・マティス)
ロラン・クラレ(レオ・スタイン)
ヴァンサン・モンジュー・コルテ(アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック)
オリヴィエ・ラブルダン(ポール・ゴーギャン)
フランソワ・ラスタン(エドガー・ドガ )
ほか
【あらすじ】
ワンパターンの娯楽映画のシナリオ執筆に虚しさを覚え、作家への転身を夢見てノスタルジー・ショップで働く男を主人公にした小説に挑戦中のハリウッドの売れっ子脚本家のギル・ペンダー (オーウェン・ウィルソン) は、婚約者のイネス (レイチェル・マクアダムス) とその裕福な両親とともに大好きなパリを訪れます。ギルはパリへの移住を夢見ていましたが、お嬢様育ちで現実主義者のイネスはマリブに住むと言って安定したリッチな生活を譲りません。2人はイネスの男友達ポール (マイケル・シーン) と遭遇し、ともに街を回ります。イネスと水入らずでパリを満喫しようとしていたギルにとって彼は邪魔者でしかなく、ポールが偉そうに語る歴史や芸術の薀蓄やインテリぶった様子がギルには鼻持ちなりません。ワインの試飲会に参加した後、1人で真夜中のパリを歩いていたギルは、道に迷ってモンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りに迷い込みます。物思いに耽っていると時計台が午前0時の鐘を鳴らし、旧式の黄色いプジョーがやってきて、1920年代風の格好をした男女がギルを誘い込みます。向かったパーティで、F・スコット・フィッツジェラルドと妻ゼルダ、ピアノを弾くコール・ポーターと出会い、そのパーティの主催者はジャン・コクトーでした。ギルは、彼が愛して止まない1920年代のパリに迷い込んだことに気づきます。その後、フィッツジェラルド夫妻、ポーター夫妻と行ったクラブで、ジョセフィン・ベイカーに出会い、さらにその後、フィッツジェラルド夫妻と飲みに入ったバーでは、アーネスト・ヘミングウェイと出会います。ヘミングウェイに自分の小説を読んでくれないかともちかけたギルでしたが、ヘミングウェイに「自分は読みたくないが、代わりにガートルード・スタインを紹介しよう」と言われ、舞い上がります。次の夜、ギルはイネスを一緒に誘いますが、真夜中になる前にイネスは「疲れた」と帰ってしまいます。彼女が帰るやいなや、夜中の12時の鐘が鳴り、古いプジョーが現れ、今度はヘミングウェイが乗っていました。彼と一緒にガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)のサロンを訪問すると、そこにパブロ・ピカソとその愛人、アドリアナ(マリオン・コティヤール)がいました。スタインはピカソと彼の描いたアドリアナの肖像画について論議を戦わせており、ギルは、始めて会ったアドリアナに一目惚れしてしまいます。 さらに次の夜、アドリアナと2人で真夜中のパリを散歩し、ギルは夢のようなひと時に浸りますが、婚約者イネスの存在を知り、アドリアナは去っていきます。現代と1920年代を行き来しながら、婚約者イネスとの関係とアドリアナに魅かれる自分に悩むギル。シュルレアリストである、サルバドール・ダリ(エイドリアン・ブロディ)、ルイス・ブニュエル、マン・レイからは、「それはごく自然なことだ」と言われます。毎晩1920年代のパリに繰り出すギルは、どんどんアドリアナに惹かれていき、ギルとアドリアナが初めてキスを交わした夜、19世紀のベル・エポック時代を思わせる馬車が二人の前に止まりました・・・。
オープンニングで、サックスで演奏される「Si tu vois ma mere(もし貴方が私の母に会ったなら)」に乗って、パリの寸景が3分以上、映し出されます。続いて、黒地に白文字のクレジットにギルとイネスの声がかぶさり、パリをめぐる二人の関係が示唆されます。期待が高まるオープニングです。
「ミッドナイト・イン・パリ」の最大の魅力は、フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ダリなど、1920年代のパリで活躍した歴史上の人物がたくさん登場することでしょう。外見のみならず、ひとりひとりのキャラが丁寧に作られており、楽しめます。
「きみがぼくを見つけた日」や「アバウト・タイム」でタイムトラベラーの健気な妻、一途な妻を演じているレイチェル・マクアダムズは、この作品では嫌な女イネスを巧みに演じています。代わりに魅力たっぷりに活躍するのが、アドリアナを演じるマリオン・コティヤール、ガブリエルを演じるレア・セドゥといったフランス人女優たち。フランスのサルコジ元大統領の妻カーラ・ブルーニも美術館の案内人役で出演しています。
この作品はあまりウッディ・アレン臭さを感じませんが、他の作品同様、主人公の脚本家はウッディ・アレンの分身であり、ガートルード・スタインやアーネスト・ヘミングウェイによる主人公にアドバイスにも、ウッディ・アレンの脚本の哲学が反映されています。酸いも甘いも知った上での楽観、人生何でもあり、だから楽しい。なので、この映画は美しいパリの風景や様々な登場人物を素直に楽しむのが一番です。他ならぬウッディ・アレンの脚本なので、繰り返し観ながらセリフも楽しめます。
Gertrude Stein: We all fear death and question our place in the universe. The artist's job is not to succumb to despair, but to find an antidote for the emptiness of existence.
ガートルード・スタイン:人は死を恐れ、宇宙での魂を思う。作家の仕事は絶望に屈せず、人間存在の救いを見いだすこと。
Gertrude Stein: Hemingway did have one plot suggestion - he doesn't quite believe that the protagonist doesn't see that his fiancée is having an affair right before his eyes.
Gil Pender: With...
Gertrude Stein: The other character - the pedantic one -
Gil Pender: It's called denial. Thanks again.
ガートルード・スタイン:ヘミングウェイからプロットにひとつ指摘が。主人公が婚約者の浮気を見抜けないのはおかしいと。
ギル・ペンダー:浮気?
ガートルード・スタイン:知識人ぶった男とよ。
ギル・ペンダー:「拒絶の心理」です。ありがとう。
オープニング〜「ミッドナイト・イン・パリ」
「ミッドナイト・イン・パリ」に登場する1920年代にパリで活躍した歴史上の人物
写真左から、
アーネスト・ヘミングウェイ(コリー・ストール)
レイチェル・マクアダムズ〜「ミッドナイト・イン・パリ」
レア・セドゥ〜「ミッドナイト・イン・パリ」
カーラ・ブルーニ(左)〜「ミッドナイト・イン・パリ」
ウィディ・アレン脚本・監督の作品
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レイチェル・マクアダムスの出演作
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