【社説】MERS危機、韓国政府は身を切るような反省を

 世界保健機関(WHO)の調査団は、一つの病室に複数の患者が収容され、見舞客が非常に多く訪れる韓国の病院文化に問題があると指摘している。これを改善するにはまず1人あるいは2人部屋の数を増やし、患者の世話を全て看護師が担当する制度の導入が必要だ。感染の可能性が高い呼吸器疾患の患者が救急病棟に担ぎ込まれた際、他の患者と別に治療や診察が受けられる仕組みも導入しなければならない。保健福祉部はこれらの対策を実際に導入した場合に必要な経費、あるいは保険適用の有無などについて検討するプロセスを国民に公開し、それによって国民に治療費の引き上げを受け入れるか判断する機会を提供しなければならない。

 疾病管理本部の組織は国を防衛する軍隊とその性格がよく似ている。普段は平穏であったとしても、何か問題が発生すれば、その時点で持てる力を一気に集中して対応に当たらなければならない。また全国の病院の中から伝染病専門の病院を指定しておくことも必要だろう。指定された病院は普段は通常通り一般の患者の治療に当たる一方、何らかの伝染病が発生した場合は全ての患者を直ちに他の病院に移し、専門の人材や設備を備えて対応に当たることが期待される。大規模隔離病院の設置についても早急に結論を下さねばならない。さらには考え得るあらゆるケースを想定し、民間の医療機関と人材を対象とした政府主導の伝染病対策の訓練も必要だろう。

 軍隊に斥候や捜索を専門とする兵士がいるのと同じく、世界で伝染病が発生している国や地域に担当者を派遣し、事前の情報収集を担当する人材や、現場で感染拡大を阻止する専門の調査官も養成しなければならない。韓国には32人の疫学調査官がいるが、そのうち30人は兵役に代えて病院などで勤務する公衆保健医師だ。このような体制では専門性を深めることなどできないだろう。

 今回MERSの感染拡大がこの程度で収まった背景には、現場の医師や看護師らによる献身的な努力があったことを忘れてはならない。国が今後新たな総合対策を取りまとめるに当たっては、このように多くの貢献を果たした医療関係者を表彰することや、また積極的な対応に当たったことで逆に被害を被った医療機関などへの補償も同時に検討しなければならない。

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