国家情報院(国情院)のハッキングプログラム調達や不正通信傍受に関する疑惑をめぐり、陰謀論が出回っている。デマといってよいものだが、野党系の地方自治体首長や政治家までもがそのデマを流すのに加勢している。
京畿道城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長は19日、簡易投稿サイト「ツイッター」に、自殺した国情院職員L氏(45)の遺書に関するマスメディアの記事をアップし「どう見ても遺書には見えない。内国人(韓国人)に対する(選挙関連の)査察をしなければ、何ら過ちはないのに、どうして自殺するのか」とコメントした。李市長はまた、ポッドキャスト(インターネット放送の一種)「ナヌン・コムスダ(私は小ざかしいの意、通称ナッコムス)」のメンバーたちがツイッターに掲載した「私は絶対に自殺しない。ダンプとの事故も起きないし、原因不明の心臓まひで死ぬこともない」という書き込みをリツイート(転送)した。その上で「私が自殺したとしても、絶対に(自殺したと)信じないで取材してほしい」と書き込んだ。権力が批判的な人物に対し危害を加えかねないという趣旨だと考えられる文章だ。
国立科学捜査研究院の関係者は「死亡した国情院職員L氏の解剖には、多くの解剖医が参加したが、他殺が疑われる状況は見つからなかった。他殺疑惑に言及する人がいるならば、科学的な根拠を問いただしたい」と話した。
このほか、インターネット上では「国情院の45歳の課長級幹部の車が、本当にマティス(韓国GMの軽自動車)だったのか疑わしい」「成人男性がたかだか5時間行方が分からなくなっただけで、警察が捜索願を受理し、それから2時間で(遺体を)発見したというのもおかしい」といった書き込みが寄せられている。一部では、国情院がハッキングプログラム『RCS』を利用し、選挙をめぐる不正もやらかした」という陰謀論まで浮上した。「選挙管理委員会の投票用紙分類機を制御するパソコンが、レノボ社(中国)の製品だ」「イタリアのハッキンググループのメールに、レノボとシャオミ(中国の通信機器・ソフトウェアメーカー)の機器ではRCSを作動させられるという内容が出てくる」といった理由が挙げられた。だが、これについて専門家たちは「根拠が薄い意図的な疑惑のでっち上げだ」と主張した。