保育園の「育休退園」をめぐる埼玉県所沢市の新方針は違法だとして今年6月、さいたま地裁に提訴した原告のうち、7月末に退園するはずだった園児2人の在園継続を市が認めていたことが分かった。2人の保護者は「訴えの利益がなくなった」として訴えを取り下げる方針だ。

 6月末にも9人の園児が退園となったが、いずれも原告団に加わっていなかった。このときは少なくとも園児1人が在園の継続を認められたが親が医師の診断書を出した事例で、その他の在園継続事例は明らかになっていない。原告代理人の弁護士は「市の継続認定が訴えを取り下げさせるのが目的であったとしたらきわめて遺憾だ」と話す。市側はこうした見方を否定している。

 市の新方針は、親が出産して育児休業に入った場合に、保育園に通う0~2歳児を3カ月後までに退園させるというもの。