平成の「トキワ荘」小倉に クリエーター共同制作、漫画文化世界へ [福岡県]
北九州市とその近郊の若手漫画家やイラストレーターが1カ所に集まり、共同で漫画制作などに取り組む事務所「コワーキングスペースCOLT」が3日、小倉北区に開設された。10日に漫画の共同制作などを手掛けるプロダクション「COLT」も発足の予定。戦後を代表する漫画家が青春時代を送った東京のアパート「トキワ荘」をモデルに「TOKIWA創(そう)」プロジェクトと銘打ち、漫画文化の発信を目指す。
コワーキングスペースは机などを共有しながら独立した仕事を行う場所で、市内でイベントやデザイン関係の仕事を手掛けてきた大野光司さん(55)が脱サラして開設。同区米町のビル4階(約120平方メートル)を借り、一部屋(40平方メートル)を漫画家などクリエーターのワークコーナーとし、18人分の机を並べた。使用料は月1万円で、既に漫画家やイラストレーターなど10人の入居が決まった。
プロダクションのCOLTは大野さんが営業担当の社長に就任し、会社案内の漫画やインターネット動画サイト「ユーチューブ」向け映像、ポスター制作を企業などから受注。スタッフ5人がプロデュース役となり、入居者とともに共同制作を行う。
漫画を活用したにぎわいづくりを進める市も運営アドバイスなどで協力。部屋にはミーティングスペースや映像撮影用のスタジオも設け、既にマスコットキャラクターの制作やイベント開催など約千万円分を受注したという。入居したクリエーターは30~40代が中心。事務所を拠点にCOLTの仕事をしながら、クリエーターとして独り立ちを目指す。
入居が決まった山口県下関市のイラストレーター井ノ上タカヒロさん(43)は「営業活動は難しいのでCOLTに間に入ってもらえると助かる。クリエーターが机を並べることでいろんな相乗効果も出ると思う」と期待。大野社長は「漫画をはじめとするサブカルチャーを全国、世界に発信し、地方発のビジネスモデルとして軌道に乗せたい」と意欲を語った。
=2015/07/04付 西日本新聞朝刊=