だが、ナショナリズムが反ユダヤ主義に向かうと、こうした熱にうかされた悪態は逆効果を生む危険がある。韓国の大手雑誌「時事ジャーナル」がエリオットを「ユダヤの強大な金融機関」と評すると、サムスン物産と第一毛織の経営トップはすぐさま「われわれはいかなる形であれ、反ユダヤ主義に反対する」という声明を出し、「個々の人間に対して尊重するのを使命」とし、「厳格な非差別の方針」をしっかりと守っていくと述べた。
こうした背景のもと、エリオットとサムスンの戦いは韓国の国会にまで飛び火しそうになり、外国人投資家からの攻撃に対する韓国のもろさが国会議員のあいだで話題になった。実際には、韓国の企業は、経営のかじ取りを脅かされない限り、外国人による投資を歓迎している。
とはいえ、財閥企業の権力を苦々しく思う市民グループのなかには、エリオットに同情する人々もいる。
経済や労働問題に関する研究所で所長を務めるチャン・フンぺ氏は、今回の合併の結果、李在鎔氏が「進歩的な市民社会を敵に回してしまった」と話す。筆者宛ての電子メールのなかで、チャン氏は、「家族の利益」を追求する李氏の行動が「他の株主全員の利益を損なっている」と言う。
在鎔氏の父、健熙氏が権勢を振るったように、サムスンは今後も従来の影響力を及ぼすことができるだろうか。「私はそうは思わない」とチャン氏は語る。「政府も、マスコミも、裁判所も、徐々に無条件の支持を与えなくなるだろう」
By Donald Kirk, Contributor
(2015年7月17日 Forbes.com)
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