この合併成立により、サムスン物産の株式7.12%を保有するエリオットが大きな打撃を受けるのは不思議ではない。サムスン物産株1株に対し第一毛織株0.35株とする合併比率の評価は、サムスン物産の株主全員の資産価値を希薄化すると訴える。エリオットは、合併の強行が「多くの個人株主の意向に反するものであり、当社にはあらゆる選択肢が残されている」と語っている。この言葉から、同社が韓国の司法当局だけに頼ることなく、今後も合併に反対し続ける意向であることが強くうかがえる。
■勝ち目のない戦い
エリオットの弁護士、チェ・ヨンイク氏は、今回の合併によりエリオットが莫大な損失に直面していると表現した。韓国の通信社、聯合ニュースは、チェ氏が株主総会で「この合併は認めるべきではない。われわれの資産約7兆~8兆ウォン(約7600億~8600億円)が、何の見返りもなく第一毛織のものになる」と発言したと伝えている。
だがそもそも、ソウル中央地裁が株主投票を阻止しようとしたエリオットの申し立てを却下し、サムスン物産には自社の時価総額の5.66%に相当する株式を系列会社のKCCに売却する権利があると裁定した時点で、エリオットに勝ち目はなかった。KCCは当然のことながら、合併に賛成票を投じた。合併は、韓国最大の機関投資家、韓国国民年金基金がサムスン物産の株式11.21%を李健熙氏の子供たちの意向どおりに売却した時点で成立した。健熙氏は昨年、重い心筋梗塞を患って以来、1年以上も意思疎通ができないままサムスン医療院に入院している。
株主総会の開催前、サムスン物産とエリオットの争いが激化すると、(韓国社会の)雰囲気はあからさまなナショナリズムと、外国企業の影響と干渉に対する憤りで満たされた。
「エリオットをはじめとするヘッジファンドは、以前から、どんな代償を払ってでも、情け容赦なく利益をむさぼろうとしてきた」。韓国の英字紙コリア・タイムズは、株主総会の前日に発表された「ハゲタカファンドをめぐる投票」と題された社説のなかでそう述べた。同社説は「長期的利益に害を与えても標的にした企業の株価をつり上げ、多額の利益と共にすばやく手を引くのが彼らの定石だ」と断じた。
合併成立は、ほぼ事前に決まっていたようなものだった。米国のヘッジファンドは筋の通った主張を述べ、弁護士を総動員して粘り強く戦ったが、強権を振るうサムスングループが韓国国内で好きなようにふるまうのを防ぐことができなかった。…続き (7/23)
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