西伊豆感電死:電流弱める装置もなし…設置者に事情聴く
毎日新聞 2015年07月22日 15時00分(最終更新 07月22日 15時23分)
静岡県西伊豆町で、獣害対策の電気柵付近で7人が感電し2人が死亡した事故で、電流を弱める専用の装置が取り付けられていなかったことが捜査関係者への取材で分かった。この装置を使用していれば電線に触れても一瞬刺激を受けるのみで死に至ることはなかったとみられる。県警は電気柵を設置し管理していた近所の男性(79)から事情を聴いている。
すでに電気事業法で30ボルト以上の電源を使用する電気柵に義務づけた漏電遮断装置が付いていなかったことも判明しており、県警はこうした安全対策がとられていなかったことが被害を大きくしたとみて調べている。
業界団体「日本電気さく協議会」(宮脇豊会長)によると、獣害用の電気柵を設置する際、家庭用コンセントに直接つなぐ場合などは、人に影響がない程度に電流を弱めて制御する「パルス発生装置」の設置を義務づけている。
装置を使えば電流が3000分の1秒流れ、1秒以上止まる状態が繰り返され、触れても一瞬刺激を受けるだけという。
県警が電気柵を調べたところ、パルス発生装置を設置しておらず、通電させると、電流は止まることなく流れ続ける状態だった。
亡くなった川崎市宮前区の会社員、尾崎匡友(まさとも)さん(42)と神奈川県逗子市の会社員、岩村知広さん(47)は、いずれも電線に直接触れたとみられ、左手にやけどの痕が確認された。また電線に触れた岩村さんの長男(8)も左手に重いやけどを負った。【松岡大地、荒木涼子、井上知大】