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先人の知恵に学ぶ
災害に強い土地・弱い土地の見抜き方

福和伸夫・名古屋大学減災連携研究センター長・教授に聞く

室谷明津子 [フリージャーナリスト]
2015年7月22日
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東京の人は危険な場所に
高いお金を払っている

 一方、地方の昔ながらの中心市街地は、もともと城郭があったところに広がっています。権力者が住むお城は、必ず安全な高台に構えられていました。その付近に武家屋敷をはじめ、城を守る寺社や町人が住む集落が集まっていた。危険な場所には近寄らないのが、昔の人々にとっては当然だったのですね。

 田舎っぽい名古屋はいまでもその都市設計を変えることなく、都市を支えるインフラ企業や主要産業、住宅街の多くが台地の上にあります。

――先人の知恵ですね。

 そうしないと生き残れませんでしたから。日本は4つの火山プレートの境界というすさまじい位置にあって、地震が多いうえにアジアモンスーン地帯で台風の通り道になっていて、土砂災害もある。世界に類を見ない災害のデパートとも言える国です。だからこそ、自然との付き合い方を通して独自の文化を作り上げたんですね。

 安全な台地の上に集落を作り、丘陵地のふもとから湧き出る水を使って低地で田んぼを耕す。山や海に出掛けていっては豊かな幸を獲る。それが代々続けて来た日本人の暮らし方なのです。しかし、明治以降になって蒸気機関車を通すときに、火の粉や煙、騒音もあるので人が住まない場所に線路を敷いた。ですから、いまでも線路沿いは地盤の悪い場所が多いんです。駅前一等地の高層ビルなんて、防災上は最悪ですね(笑)。

――危険な場所に高いお金を払っている。

 それは価値観の違いです。安全な暮らしがいいのか、刺激的で楽しい暮らしがいいのか。東京は後者を選ぶ人が圧倒的に多いのでしょう。私はもちろん安全なほうがいい。だから名古屋に住んでいるのです。

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室谷明津子 [フリージャーナリスト]

むろたに・あつこ/富山県生まれ。みずほ総合研究所での法人向けコンテンツ企画・制作を経て独立。国内市場が縮小する困難な時代に結果を出す経営者や、ビジネスの現場を多数取材。成熟化する日本の新しい社会の動き、そこで活躍するユニークな人々の取材も多い。


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