記事詳細
「ひよこ」でも離島防衛の精鋭だ! 不時着ヘリから水中脱出 300キロ丸太ボート運搬 夜間の海に数時間 西普連の命懸け訓練
隊員の前に、高さ約2メートルの壁が立ちはだかった。
8人のうち、まず2人が丸太ボートから手を離し、壁を乗り越える。残った6人が丸太ボートを高く掲げ、壁によじ登るなど手分けしながら、丸太の一部を壁の向こう側に押しやる。
壁の両側で丸太を支えながら、2人ずつ壁を乗り越えた。
悪路を乗り越えるうちに、隊員はふらふらになるが、歯を食いしばって、我慢した。
塹壕をイメージした窪地を通過する際、丸太ボートが地面に着きそうになる。すかさず教官から「絶対にこするな! タイムはまずまずだ。急げ」と叱声が飛んだ。
1キロほど走ると、ゴールだ。Tシャツの背中は破れ、丸太が食い込んでいた肩は、真っ赤になり、皮がはがれていた。
昼食後には「ラン・フィン・ラン」の訓練が待っていた。
駐屯地内の湾内近くを約3キロランニングした後、ウエットスーツとゴム製の足ひれ(フィン)を装着し、海に入る。250メートル先のブイを目指して泳ぎ出す。
敵に占拠された島への上陸という想定なので、泳ぎ方にも気を使う。顔は進行方向に向け、伸ばした右手に耳をぴったり付ける。左手と足で波を立てないように水をかく。日本の古式泳法を思わせる泳ぎ方だ。
ブイまでの間を2往復。息も切れ切れになりながら、陸に上がってまた、3キロのランニングに出る。
「ラン・フィン・ラン」トップのタイムは合計42分だった。脱落者はいなかった。