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「ひよこ」でも離島防衛の精鋭だ! 不時着ヘリから水中脱出 300キロ丸太ボート運搬 夜間の海に数時間 西普連の命懸け訓練
こうした一連の動作を隊員は、目はつぶったまま行う。実際の不時着現場は、機体から漏れたオイルなどが水に混じっていることが予想されるからだ。
浮上までの間、15秒。教官の1人が、一部始終をシュノーケルをくわえて、水中で見守る。
浮上後、気を失っていないことを証明するため、隊員は右手で頭を押さえ、「異常なし!」と教官に報告した。
同連隊の「ひよこ」計約80人は6月末から、2グループに分かれてこうした訓練に取り組んでいる。2等陸士から1尉まで、年齢も19~44歳と幅広い。訓練は8月上旬までの5週間だ。
プールから上がった男性陸士長(20)は「長時間、潜水を続ける訓練などに段階的に取り組んできた。訓練はつらいですが、これも任務です」と語った。
破れたTシャツ
プールから上がった隊員は、屋外に向かう。過酷な「ボート障害走」が始まった。
偵察用ボートに見立てて4本の丸太を組んでいる。重さは実際のボートと同じ300キロ。これを8人1組で運ぶ。
記者も含め、報道陣8人も持ち上げようとしたが、地面に置かれた丸太はびくともしない。
一方、隊員は「イチ、ニ、サン」との掛け声とともに、丸太ボートを胸元まで一気に引き上げた。膝の高さまでゆっくり下ろし、再び胸元に上げる準備運動を繰り返した後、肩に担ぎ、走り出した。
駐屯地内のグラウンドなどを走るが、学校の平らなグラウンドとは違い、障害物や坂道がある。