東大生飲酒死亡:両親が提訴 「むちゃ飲みに警鐘を」
毎日新聞 2015年07月22日 20時51分(最終更新 07月22日 21時31分)
テニスサークルのメンバーらと飲酒中、急性アルコール中毒で死亡した東京大2年、高原滉(あきら)さん(当時21歳)の両親が22日、死亡は酔いつぶれた後に放置されたのが原因として、参加していた元学生21人を相手取り、計約1億7000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。提訴後に両親が記者会見し「むちゃ飲みや集団の無責任に警鐘を鳴らしたい」と話した。
訴えによると、高原さんは「東京大学グリーンテニスクラブ」(解散)に所属。クラブは伝統的に、飲酒中にフォークダンスを踊り、音楽が止まれば中央で焼酎をラッパ飲みする飲み方をしていた。高原さんは2012年7月、学生とOBら約40人で飲み、酔いつぶれた後、約4時間放置され死亡した。
当時2年生以上の学生ら31人のうち10人は両親に弔慰金を支払ったが、21人は「法的責任はない」と応じなかったため、提訴した。父、俊彦さん(52)は「大事になるから救急車を呼べないという心理が働いたのかもしれないが、放置された息子は見殺しにされた」と話した。
遺族らでつくる「イッキ飲み防止連絡協議会」によると、飲酒による若者の死者は14年までの10年間で34人に上り、飲ませた側に賠償を命じる判決も出ている。今成知美事務局長は「『場を盛り上げないといけない』と自ら飲んで死亡するケースが多く、『空気を読め』という雰囲気が飲酒の強制になっている。参加者には責任が生じることを自覚してほしい」と指摘する。【島田信幸】