おうみネット第45号

市民と行政、市民と企業などの新しい市民協働(パートナーシップ)のカタチを紹介します。

全ての入り口である「食」や「農業」を通じて
子ども達に疑似体験でなく本物の体験をしてほしい

子育てプロジェクト里山塾

 スロータウン構想を掲げる新旭町で昨年10月、琵琶湖を望む里山に新旭体験交流館「もりっこ」が開設されました。同時にNPO法人クマノヤマネット(中村美重理事長)が、循環型の里山環境で「子育てプロジェクト里山塾」を開校。町の施設でNPO法人が運営する、人と自然の共生を学ぶ子どもの放課後の居場所は全国でも珍しいと注目を集めています。
スタッフは中村塾長(おっちゃん先生)とアシスタントの寺本マコさん(おばちゃん先生)の2名。塾長は元小学校の校長先生で「しんあさひ農業小学校」(平成7年に開校)の世話人をしていた経験から、「日本ほど食べ物をおろそかにしている国はない。子ども達に食べ物は買うのでなく、作るものであることを伝えたい」と“農業”や“食”をテーマにした教育の重要性を訴え、町が趣旨に賛同し施設を無償で借りることができるようになったそうです。
 里山塾では「工の時間」でなく「農の時間」が基本。カリキュラムが決められているのでなく、天候や季節、子ども達の主体性を大切にしながらその場で組み立てられていきます。田んぼや里山での遊び(体験)を通して、言葉では教えられない自然や人に対する思いやりや五感を育むのがねらいです。「食」は全ての入り口。例えば、自然素材から箸や茶碗などの道具を手作りし、割り箸のムダを学んだり、お米のとぎ汁は琵琶湖を汚すから畑の肥やしに、食器洗いは洗剤を使わず手作りのアクリルたわしで洗うなど、ごく自然に環境問題の解決法を、疑似体験でなく本物の体験の中で身につけてもらう手法です。現在、町内の7〜8名の小学生が月曜〜金曜日の放課後に通ってきています。
今年は、畑や田んぼも借りて、田植えから収穫、食べるまでの全工程を中抜きすることなく、子どもが経験則で多様な時間軸を学べるように本格的な農業体験に取り組む計画です。新旭町は山と里と湖が程よい距離にあり、今も残る水を守るお年寄りの知恵や伝承文化など豊かな地域資源が数多く埋もれています。里山や水辺、人を最大限活用しながら、子どもの感性に磨きをかけて、考える子どもを育てる“スローな教育”の永続性のある実践が期待されます。
【問】NPO法人クマノヤマネット
(新旭里山体験交流館もりっこ内)
TEL・FAX.0740-25-7582