美の壺・選「京の浴衣(ゆかた)」 2015.07.19


(テーマ音楽)
(フクロウの鳴き声)草刈さん何を熱心に読んでるんですか?怪談。
今夜も蒸し暑いしね涼もうと思ってね。
もっと涼しくしてあげましょうか?おっ…停電?え…何?うわ〜っ!あなた〜それ私の浴衣よ。
今夜花火大会に行くって言ったじゃな〜い。
なんだびっくりした。
へえ!あれ?奥さんお出かけのはずじゃ…。
草刈さん見えちゃってるし…今日はホントに涼しくなりそう。
暑い季節。
さっぱり浴衣が似合いますよね。
縁側でのんびり夕涼み。
日本の夏の風物詩ですね。
浴衣はそもそも「湯帷子」と呼ばれ江戸時代湯上がりに着るバスローブのような存在でした。
着物文化の都京都では独特の浴衣の美が花開きます。
江戸のさっぱりした浴衣とは違いあでやかで優美。
京都らしい着物の伝統を受け継いでいます。
優しくはんなりとした浴衣です。
京都はやはり着物と同じように浴衣も華やかな感じ。
色をいろいろ使って華やかに見せる。
東京のほうはやはりシンプルに単彩でシンプルに見せるという大きな違いがあります。
京都の昔ながらの浴衣から最新の個性派まで。
今回はちょっと大人の京の浴衣に迫ります。
京都の中心部にたたずむ町家。
伝統の柄で浴衣を仕立てる呉服屋です。
大正時代を中心とした戦前の伝統柄を復刻。
モダンな味わいが特徴です。
更に本来絹の着物に用いられる友禅染が贅沢にも綿の浴衣に施されています。
ご覧下さい。
さすがは京都。
ちょっと浴衣らしからぬシックでおしゃれな雰囲気です。
友禅染で浴衣を作るのは…川崎家は幕末から長襦袢を手がけてきました。
そのこだわりは古都の美意識から生まれました。
どっちかというと東京の街並みにはですねシンプルな柄って洋服感覚のほうがよく似合うと思うんですけど京都はやはり街並みがどうしても町家とか古い構成になってますのでやはり…一つ目の壺は…川崎さんの浴衣は型友禅の手法で作られます。
切れ目のない一続きの柄。
26メートルの生地を続き柄に染めるには工夫があります。
まずは作業台に生地を広げます。
染料と糊を混ぜ合わせ模様が刻まれた型で生地に刷り込むのが型友禅です。
続き柄の場合一つおきに染めていくのがポイント。
反物が汚れないようにするためです。
わざと飛んでいって…染料が乾いてから型をぴったりと重ね合わせ柄をつなげます。
継ぎ目のない模様が現れました。
秘密は型の両端にあります。
凹凸が複雑にかみ合って境目が分かりにくくなるのです。
細かいところまで手間をかけるんですね。
ではもう一つ型友禅の技を見ていきましょう。
白地のぶどう柄。
これがどうなっていくのでしょう。
ローラー式の機械で地染め。
紺色の染料に白い反物をくぐらせます。
全体が紺色に染まり柄が見えづらくなりましたがここから激変します。
職人さんが反物の切れ端を使って説明してくれました。
洗剤の入った水で洗うと紺色の染料がどんどん抜けていきます。
あっぶどうの柄が浮き出てきました。
柄に塗られていたのは「防染糊」。
紺色の染料が生地に染み込むのを防いでいたのです。
浴衣生地のどこを染めてどこを白く残すかがセンスの見せどころ。
型友禅ならではの美しい明暗が映える大人の浴衣です。
それ奥様の…ですよね?ああこれから一緒にね花火大会に行くんですよ。
えこれからですか?だって奥さんは…。
若いころも浴衣着て花火見たなぁ。
あのころはかわいかったなぁ。
今は怖いばっかり。
すぐ怒るし。
あなた〜聞こえてるわよ。
おお…「きょうとのゆかた」じゃなくて「きょうふのやかた」だ。
やっぱり何かいる…この館。
夏になると舞妓さんたちは浴衣姿で稽古に励みます。
夕方からはお座敷。
暑い日中に踊りの稽古。
浴衣は舞妓さんのもう一つのユニフォームなのです。
洗いやすいとこ。
汗かいてもすぐに洗い替えができるとこですね。
涼しくて普通のお着物よりは着やすいとこどすね。
そうどすね着てて涼しいとことやっぱり見てて夏らしいとこがうちは好きどすね。
二つ目の壺は…京都で活躍する新進のデザイナー寺本幸司さん。
数々の浴衣を手がけてきました。
これが全国で反響を呼んだ寺本さんの浴衣。
アールヌーボー調の幾何学模様が斬新です。
既存の発想を打ち破り絶えず新しさを求めるのもまた京好みです。
この浴衣。
実はさまざまな地方の技がちりばめられています。
京都の型友禅で染めた生地を滋賀の近江ちぢみで加工。
しぼの効果で蒸れにくく肌触りが快適です。
浴衣に合わせるのは博多帯。
透明感があるため見た目にも涼しそう。
全国からえりすぐりの素材と技術を集め浴衣を作るのが京好みだと寺本さんは考えます。
東京だったり大阪だったり浜松だったりそういう所から……というのは京都の浴衣の一番の特徴かなと思いますね。
更に憧れの京女に近づくためには究極の帯を合わせるのがとっておきの技。
京都・西陣織の帯です。
着物文化の粋を集めた帯をお太鼓に結べば浴衣でもフォーマルな印象にがらりと変わります。
帯に合わせて半襟更に足袋を履けばもはや着物のよう。
レストランや観劇にも行ける落ち着いた装いです。
でも西陣織の帯って高級品ですよねぇ。
織り元を訪ねました。
西陣の帯は多い物で5,000本を超える糸で織られています。
ここではなんと1,000色にも及ぶ糸が用意され絵柄を豊かに表現します。
帯職人の馬場洋次郎さんは織り元の会社に黄綬褒章をもたらしました。
西陣の帯は裏返しに織るのが特徴です。
表で織る構造だと膨大な数の糸が絡まりやすいので糸が切れないように裏返して織るのだそうです。
糸が複雑に交差する中でどのようにして表の柄を確認しているのでしょうか。
ここに鏡がありますからこの鏡をず〜っと見て糸が切れてないか配色はこれでいいか色がきれいに出てるかということをず〜っとこれで見ていくんです。
絹糸は繊細で切れやすいため絶えず細心の注意が必要です。
会話するのは…切れる前なんかは「おうもうちょっと我慢せえよ」って。
で切れたら「ごめん」って言うぐらいやってるという。
僕なんか46年やってますからね。
この織物しか知らないんですけども。
熟練の職人の情熱が惜しみなく注がれた織物。
京都きっての逸品を京女は誇りを持ってまとうのです。
本当に出かけるんですか?やっぱり花火は浴衣じゃなきゃ。
うん。
でもさっきから何かおかしいですよ。
日本男児たるもの帯ぐらい結べなきゃ。
よし完成!お〜い花火行くよ〜!どうしたの?行くなってことですよ〜。
浴衣姿に欠かせないのが髪飾り。
つまみかんざしを挿せば舞妓さん気分で楽しいですね。
つまみかんざしを作る北井とき子さん。
この道25年です。
小さな布を折り畳んで一枚一枚仕立てます。
さまざまなかんざしを創作する自由な発想はどこから生まれるのでしょうか。
楽しいです。
はい。
今日最後の壺は…ちょっと面白い着物工房を訪ねました。
ここでは型染めが行われていますが京友禅とはひと味違います。
浴衣に合う日傘やバッグ。
夏物の帯なども作られています。
「和染紅型」と名付けられたユニークな染め物。
大胆な配色に目を奪われます。
遊び心あふれるデザインの誕生には意外なルーツがありました。
京都から南へ1,200キロ。
沖縄には伝統的な染め物があります。
「紅型」という型染めです。
18世紀に今の形になりました。
もともとは王族の衣装でした。
鮮やかな色合いが特徴です。
描かれるのは花や魚鳥の姿など。
昭和初期力強い紅型に魅せられその手法を京都に持ち込んだ人物がいます。
京都の染色家です。
栗山は20代のころ民芸運動に参加していた陶芸家河井寛次郎と共に沖縄を訪ねます。
そこで紅型に出会ったのです。
京都に戻ると栗山は斬新な着想を得ます。
京都の友禅に沖縄の紅型を取り込んだのです。
それが和染紅型でした。
魅力は色にあります。
琉球紅型は顔料の濃厚な色彩。
油絵のよう。
対して和染紅型は京友禅の染料を採用。
水彩画のような繊細な風合いを確立したのです。
沖縄でも京都でもないユニークな染め物。
新しい京の伝統が生まれました。
和染紅型を引き継いだのは栗山のまな弟子大箭秀次さん。
手堅そうに見えて意外にも柔軟な発想を持っています。
それをそのままもあるしそれをいろいろアレンジするとか。
むしろうちのほうは自由に。
京都の地ですからいろんな柄を勝手に自由にさせてもろうてます。
現在工房の職人は14人。
大箭さんの娘裕子さんもその一人です。
父親に弟子入りして15年。
絵柄一つ一つに色を付けていく膨大な作業に打ち込んでいます。
いやあ…。
褒められたことがないので褒めないで普通って言ったら最大です。
けなしてなければもう十分です。
軽い仕事のようでね体力的なハンディもありますしねこの染め物はね。
弟子への伝え方もまた職人の美学ですね。
厳しい手仕事と自由な発想。
そして継がれる思い。
着物の都に生まれ着物の伝統から飛び立った浴衣。
この夏は京の浴衣を遊んでみませんか?あれ?誰に結んでもらってるんですか?いや自分でできないからさ妻にやってもらってんのよ。
奥さんはだから…。
(チャイム)おっお客さんかな?・ただいま〜。
あなた帰ったわよ。
えっ?今君僕の帯締めてるじゃない。
・何言ってるの?私今日はお昼からずっと出かけてたわよ。
じゃあ僕の帯締めてるの誰?あ〜っ!2015/07/19(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「京の浴衣(ゆかた)」[字]

身近なテーマを3つのツボで観賞指南する新感覚美術番組。今回は「京の浴衣」。江戸のさっぱりと違う、はんなりみやびをお楽しみ下さい。案内役:草刈正雄 語り:木村多江

詳細情報
番組内容
着物の都ならではの独特の浴衣文化を堪能します。▽レトロモダンな柄をあしらった型友禅の「はんなり」浴衣とは?▽しぼは近江から、帯は博多から。日本各地の選りすぐりの素材と技を、京都固有の美学の元に融合した「京好み」浴衣とは?▽沖縄から京都へ、職人の遊び心と技術が生んだ、染めのハイブリッド浴衣小物とは?▽京女のしっとり浴衣着こなし術も! 江戸のさっぱりとひと味違う、古都の浴衣を映像美と共にお楽しみ下さい
出演者
【出演】草刈正雄,【語り】木村多江

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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