不適正な支出が相次いだ地方議員の政務活動費に関し、領収書を含むすべての収支報告書類をインターネットで公開する議会が少しずつ増えてきた。

 都道府県で初めて、高知県議会が今月1日からネット公開を始めた。大阪府議会も30日に続く。兵庫県議会や大阪市議会も来年から公開する。

 朝日新聞の1月現在の調べでは、領収書までネット公開している議会は25市町だけだった。政務活動費を支給している939議会の3%にも達しない。

 こうした中、政務活動費の支給額が多い都道府県や政令指定市の議会がネット公開に踏み出したことは評価できる。ほかの議会も早急に検討してほしい。

 ネット公開の最大の長所は、住民にとっての便利さだ。

 大半の議会では、平日に事務局へ行かないと書類が見られない。領収書のコピーには情報公開請求を、という議会も多い。

 ネットならいつでも閲覧できるし、印刷も簡単だ。

 昨年辞職した兵庫の「号泣県議」をはじめ、最近も神戸市や大阪府東大阪市で政務活動費のおかしな使い方が問題化した。

 議員たちの弁明から浮かぶのは、税金を使っている、という感覚の欠如だ。使途をガラス張りにし、ネットを通じて広く住民の目にさらすことによって、緊張感は確実に高まろう。

 議員も「監視」と身構えるべきではない。政務活動費は、政策立案のための経費である。どう活用しているかは政治家としての腕の見せどころのはずだ。

 高知県議会の公開書類からは、議員がどんな分野に関心を持ち、どこを視察したかがわかる。「議員が何をしているかわからない」という住民の不信感は根強い。ネット公開は仕事ぶりを伝える機会となろう。

 高知県では職員1人が約5600枚の書類をネットに載せ、特別な経費は要らなかった。約3万枚を公開する大阪府は、サーバー代など100万円弱の見込みだ。コストや手間もネット公開を拒む理由になるまい。

 国会議員の経費の使途は地方以上に不透明だ。

 政務活動費に相当する立法事務費は、議員1人あたり月65万円が会派に支給される。政治資金に充てている政党が多いが、収支報告ではほかの収入と一緒にされ、国会での立法にどう生かされたかははっきりしない。領収書の開示請求もできるが、相当な時間がかかる。

 「ネット公開が当たり前」というほど地方議会の透明度が高くなれば、国会に改革を迫る圧力となるだろう。