タクシードライバーの推理日誌 2015.07.20


(夜明日出夫)
タクシードライバーは仕事柄冠婚葬祭に縁がある
運転手さん急いで。
10時から告別式なのよ。
急いでって…。
お寺の名前思い出してくださいよ。
だってお葬式の案内状持ってくるの忘れちゃったんだよほら〜。
でもね私ね絶対ねこの辺だと思うの。
私ねこの辺だってね土地鑑があるの。
土地鑑?うん。
あれ〜?なんか全然違う。
あらっ?ここどこ?あら〜わかんなくなっちゃった!どうしよう〜。
この辺ねお寺多いんですよ。
そうなの?だったらね片っ端から回って。
運転手さんあなたプロフェッショナルでしょ?私が行きたいお寺見つけてください。
お願いします!いやプロって言われても…。
(乗客)あっここ!ここ!こんなとこにあったんだ。
はぁよかった。
運転手さん開けて。
早く開けて早く開けて。
開いてる開いてる。
お金お金。
運転手さん手出して手出して。
はいはいはい!チップも入ってっから。
チップも入ってっから。
ね。
最悪。
何が土地鑑だよ。
(クラクション)危ない!
(石野小百合)乗ります!開けてください!早く!!
(町田恵美子)小百合さん。
私も行きます。
ど…どこまで?目黒本町7丁目8の5。
はい。
ここからだと15分ぐらいで着きますよね?急いでください!式まであと1時間しかないんです!何があったんです?新郎の方がまだお見えにならないんです。
え?
(携帯電話の呼び出し音)
(小百合)どうして出ないのよ…。
何してるのよ!次の角を右に曲がってください。
あはい。
彼がいたらすぐ式場に戻りますのでここで待ってていただけますか?はい。
昇さん病気か何かで倒れてるんじゃないかしら。
運転手さん。
すみませんけど部屋まで一緒に来ていただけませんか?はい。
わかりました。
昇さん!?昇さん!ハッ!
(東山秀作)ああ全く!誰だよ!ダメじゃないかこんなところにタクシー停めちゃ。
(国代義明)オレンジ色ですねえ。
バカバカ。
いつもいつもそんな…。
あ〜!
(国代)先輩…。
(秋元)玄関の鍵はかかっていなかったそうなんです。
はあ…。
すると今日の午後1時から結婚式を行う予定がギリギリになっても新郎が来ない。
それで新婦が気になってタクシーでマンションを訪ねた。
その運転手さんが…。
すいません。
あの…。
この方が姿が見えなくなった婚約者の保阪昇さんですか?そうです。
あっあの失礼なんですけど…。
式を担当する事になってましたウエディングプランナーの町田と申します。
ウエディングプランナー?はあ…。
これは血の乾き具合から見て半日は経ってるな。
すると昨夜遅くか…。
刑事さん。
昇さんは…?断言は出来ませんがなんらかの事件に巻き込まれた可能性があります。
昨夜保阪昇さんとは…。
夜10時頃電話をしたのが最後です。
その時の様子は?…別に。
あと誰かが訪ねてくるような事はおっしゃってませんでしたか?いいえ。
それと…。
またどうして…。
どうして夜明さんなんだよ!?どうしてって言われたってそんな…。
そんな事言ったってしょうがないだろう。
な国代。
はい。
しょうがないと思います。
(西村あゆみ)恵美子さん。
(恵美子)あっ大丈夫。
あゆみちゃんはお昼食べてきていいわよ。
お父さん!?あゆみ?あゆみ。
ブライダル会社でアルバイトしてるってここで?そう。
じゃあお父さんが恵美子さんたち乗せてったの?うん。
でどうだったの?新郎の人。
なんとも言えない。
今日は悪い日。
あっ。
ちょうどいいや。
ちょっといい?お父さんに言いたい事があるの。
で話って何?うん…。
電話かかってきたよ。
お母さん?うん。
あゆみに新しいボーイフレンドが出来たみたい。
今度は本気みたいって。
すごい心配してたよ。
出来ちゃったの。
ん?ああ。
新しいボーイフレンドが出来たってのはわかったよ。
話って何よ。
だから…出来ちゃったの。
え?病院には行ってないんだけど。
検査薬で調べたら陽性反応が出て。
赤ちゃん…出来たみたいなの。
ええっ!?彼大学の時の同級生で再会して1年くらい前から付き合ってたの。
えっと名前は…。
聞きたくない。
そいつと結婚するの?うん。
でもお父さんには迷惑かけないから。
結婚するにしても式は挙げないで籍だけ入れる…。
ダメ!絶対認めない!何が出来ちゃっただよ。
ものには順序ってものがあるだろ!そんな奴と会いたくない。
お前も。
出来ちゃったか…。

(保阪志津代)結婚式がキャンセルに?保阪昇さんがいなくなったんです。
昇が…?警察の方が言うにはなんらかの事件に巻き込まれた可能性があるという事なんです。
(国代)偽装って事はないですかね?式の当日新郎がいなくなるっていうのはあり得ない話じゃありません。
最近じゃ男の方がマリッジブルーになるって言うし。
保阪昇は石野小百合と結婚するのが嫌になった。
それで事件を装って姿をくらました。
…って事?
(国代)はい。
国代君。
鑑定の結果聞いたでしょう?現場の血痕は全て昇と一緒のAB型。
ヘアブラシから採取した毛髪とDNA型も一致してる。
だからこの血は全て昇の血。
間違いないんだよ!
(国代)いやでも…。
(神谷警部)保阪昇と小百合の関係はどうだったんだ?はい。
特に問題はなかったようです。
ただ気になるのが昇は中野にある建設会社に勤めていたんですが3か月前に辞めて現在は無職の状態だったらしいんです。
いやだから妙だって言うんですよ。
結婚を控えた人間が急に仕事を辞めるなんて…。
昇はきっと何もかもが嫌になったんです。
で事件を装って失踪…。
いや。
この血の量からして偽装はあり得ない。
昇は何者かに襲われた。
ケガをしたまま連れ去られたかあるいは…。
うわっ!うわ…!ああっ…!何かわかったらすぐに知らせて。
いいわね?はい社長。
あっ夜明さん。
迎車の指名いただきましてありがとうございます。
ええ。
先日はご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
いえ。
あゆみちゃんのお父様だとお聞きしまして。
ああそれで。
滋賀の大津市までお願いします。
え?大津って琵琶湖のそばの?
(恵美子)ええ。
あゆみちゃん。
行くわよ。
(あゆみ)はい。
え…?運転手さん運んで。
披露宴の後半スライド上映後クライマックスにメーン料理を出す。
はい。
そのタイミングだけは守っていただきたいんです。
あっ今日の午後にはそちらに到着しますんで。
詳しい事はまたその時に。
はい。
失礼致します。
進行表これでいいでしょうか?あゆみちゃん文章まとめるのうまいわねえ。
ありがとう。
助かった。
(携帯電話)はい。
町田です。
例のテーブルクロスの件どうなりました?はあ…。
それじゃダメだって言ったじゃないですか。
お客様の注文された色を用意してください。
はい。
とにかく急いでお願いします。
(恵美子)失礼します。
ウエディングプランナーって大変なお仕事なんでしょうね。
結婚式と披露宴の企画運営進行まで基本的には1人で行いますので。
大変と言えば大変です。
でもお客様の要望に応えて新郎新婦の新たな人生の門出に立ち会う。
やりがいのある仕事だと思ってます。
新たな人生の門出か…。
今はリゾートウエディングがはやってて。
琵琶湖を望む滋賀県も人気があるんです。
明日大津市のホテルで3組の結婚式を行う事になってて。
それで。
そうなんですか。
披露宴の最後花嫁が父親に花束を贈って感謝の気持ちを述べる時私いっつももらい泣きしちゃうんです。
あゆみちゃんから聞きました。
以前刑事さんなさってたそうですね。
失礼ですけどどうしてお辞めになったんですか?答えればいいでしょ。
別に隠す事じゃないんだし。
昔事件の捜査で知り合った女の人との関係を誤解されて。
週刊誌に書かれて。
それで刑事辞めちゃったんです。
仕事を辞めるなんて大事な事普通まず家族に話しますよね?なのに父は相談もなしです。
何?その言い方。
物事には順序ってものがあるんでしょ?だから母が怒っちゃって。
それで離婚。
ごめんなさい。
私が変な事聞いちゃったから。
あっいえいえ…。
いいんです。

(恵美子)あっすいません。
このホテルで結婚式やるんですか。
(恵美子)はい。
そうだ。
よろしかったら式の準備ご覧になっていきません?
(リモコンのスイッチを押す音)え?なんなんですか?これ。
遠隔操作でキャンドルを点火させる仕掛けになってるんです。
遠隔操作?進行表をプリントアウトしてきます。
嘘!?あっ。
また?あっああ…。
どうする?まただぞ。
アハハ…またまたですねえ。
あっいえ…。
あっ町田さん。
ちょっとよろしいですか?昇さんの死体が?今朝方信楽町の山林で発見されました。
信楽で?信楽って何?滋賀県甲賀市信楽。
この滋賀県内で発見されたんです。
これからは殺人事件として捜査を行う事になります。
遺体が発見されたのは滋賀ですが犯行現場が東京である以上捜査は我々が行います。
そこで町田さんにちょっとお話お伺いしたいんですよね。
記録。
はい。
これは…保阪昇さんの最近の携帯電話の通信記録です。
この3か月昇さんあなたに何度も電話をかけてます。
それは結婚式の事でいろいろと確認事項があって。
はあ。
それだけですか?…どういう事でしょう?失礼ですがこれまで昇さんのマンションに行かれた事は?ありません。
打ち合わせは結婚式場で行いましたし。
式の打ち合わせでしたら婚約者の石野小百合さん普通同席されるはずですよね?式場のバンケットルームであなたと昇さんが2人だけで会っているのを見ていた人がいるんです。
刑事さん何をおっしゃりたいんですか?事件があった18日の夜あなたはどちらにいらっしゃいましたか?自分のマンションにいました。
申し訳ありませんけど仕事があるのでホテルに戻ってもいいですか?ああどうぞ。
あっ。
あの…。
東京お戻り…明日ですよね?お話は改めて。
東山。
はい。
お前恵美子さんを疑ってるの?捜査に関する事ですからこれ以上は夜明さんにお話しするわけには。
いやそりゃ殺人事件だから関係者に話聞くのは当たり前だろ。
けど今の質問はおかしいだろ。
彼女ウエディングプランナーだよ?結婚しようっていう人とさ打ち合わせのために電話したり会ったりするの当たり前だろ!?はい。
失礼します。
東山!民間人が刑事怒鳴らないでください。
ごめん。
1つ教えて。
恵美子さんを疑う根拠は何?式場のバンケットルームで昇が恵美子に言ってたらしいんです。
(保阪昇)まさか恵美ちゃんと会うとはな。
恵美ちゃん?2人知り合いだっていうの?はい。
こういう事は考えられないでしょうか。
昇と恵美子は以前付き合っていた。
再会してよりが戻りまた付き合うようになった。
それがこの3か月の電話のやり取りで。
ところが昇は石野小百合との結婚を取りやめようとしなかった。
だから恵美子さんが昇を殺したっていうの?短絡的だなあ。
わかった。
わかった。
なんでお前が警部補になれないかってそれだわ。
それ禁句なんです!先輩先月警部補の昇任試験を受けて結果もうすぐなんです。
絶対無理!お前が警部補なんか絶対無理!そんな短絡的で絶対無理!先輩。
1つ聞いてもらっていいですか?じゃあ。
問題は昇の遺体が信楽町で発見されたという事です。
所轄の話によるとその山道は地元の人間でもめったに通る事のない道だそうです。
という事は犯人は信楽町に土地鑑のある人物です。
だから何?恵美子は滋賀で生まれています。
信楽町には今でも恵美子の実家があるんです。
恵美子の故郷は滋賀なんです。
だから何よ。
恵美子さん田舎滋賀だっておっしゃってましたよね?そう。
信楽に父がいるの。
じゃあ今日帰られるんですか?まさか。
もう随分帰ってない。
嫌いなの父の事。
お父さん何されてる方なんですか?あゆみちゃん信楽焼って知ってる?はい。
狸の焼き物で有名ですよね。
(あゆみ)町田庄三…。
町田って…えっ?まさか?うん。
そう。
父の作品。
父陶芸家なの。
へえ〜。
有名な方なんですねえ。
せっかく滋賀までいらしたんだし顔だけでも見せられた方がいいです。
お父さん喜ばれますよ。
じゃあ一緒に行ってくれる?え?
(陶器を割る音)
(陶器を割る音)
(町田庄三)う〜っ!ふんっ!あ〜っ!
(庄三)はあ…はあ…!何しに来た!仕事で大津に来たの。
だから…。
俺はこれから寝る!帰れ!
(ラジオ)「本日滋賀県甲賀市信楽町の山道で発見された男性の遺体は東京都目黒区に住む保阪昇さん32歳と判明しました」「警視庁では発見された状況から信楽町に土地鑑のある人物の犯行と見て滋賀県警と連携して捜査を進めています」
死体が出たのは山の中だ
昔信楽町に住んでいたからといって恵美子さんに土地鑑があるとは限らない
土地鑑…。
失礼ですがこれまでに昇さんのマンションに行かれた事は?ありません。
打ち合わせは結婚式場で行いましたし。
次の角を右に曲がってください。
昇のマンションにタクシーで向かった時恵美子はそう言ったんですか?昇のマンションがどこにあるか少なくともその土地鑑は彼女にある。
神谷。
俺恵美子さん疑ってるわけじゃないからね。
一応耳に入れとこうと思って。
民間人からの貴重な情報提供感謝します。
嫌味な言い方。
(浅倉洋助)ああ。
社長に会いに何度か見えてましたね。
それはいつ頃?3か月ほど前からでしたか。
(浅倉)おかえりなさいませ。
滋賀へ行っていろいろ調べてきました。
昇さん滋賀県の出身だったんですね。
それも…信楽町。
まあ何より驚いたのは昇さんとあなたの関係です。
25年前昇さんはその信楽町…あなたと一緒に住んでいた。
昇は私の息子ですから。
もっとも血縁関係はありませんけど。
昇さんは25年前亡くなられたご主人の連れ子さんだったんですね?そうです。
昇が7歳の時まで一緒に暮らしていました。
そのあとの事もお調べになってるんでしょ?はいもちろん。
昇さんはその後滋賀県内の養護施設に入り高校を卒業したあと東京に出て専門学校で建築士の資格を取り建築会社にお勤めになった。
随分ご苦労されたようですね。
25年前施設に入れられたのは?当時は私も大変な思いをした時期があって。
女一人で子供を育てていくなんて事出来なかった。
だから養護施設に預けて…。
結局はそのままで。
その昇さんが結婚式の相談であなたの会社来られた…。
その時は驚かれたでしょう?ええ…。
その後3か月ほど前から昇さんは何度かあなたに会いに来た。
何しにいらしたんです?
(志津代)そう…昇結婚するの?それはおめでとう。
(昇)1つだけお願いがあるんだ。
俺をこの会社で働かせてくれないか?わかったわ。
(浅倉)社長!至急目を通してほしいんですが…。
紹介しておくわ。
専務の浅倉さん。
こちら保阪昇さん。
保阪…?私の親戚なの。
近々うちで働いてもらうようになります。
そうですか…失礼します。
(国代)じゃあ昇さんがあなたに会いに来たのは就職の事で?
(志津代)ええ…。
あ〜いやあ…。
ほんとにそうだったんでしょうか?昇さんがあなたに会いに来たのは25年前の事を恨んでたからじゃないんですか?恨み…私を?はいそうです。
我々にはそうとしか思えません。
だってそうでしょ?再会したのにあなたは昇さんの結婚式に出ようともしなかった。
刑事さん…私と昇はもともと他人なんです。
その事は昇もよくわかってます。
正直言って私と昇の間に親子の愛情はありません。
その分恨みや憎しみもないんです。
お疲れさん。
(橋本係長)ちょっとちょっと…。
何?いいからいいから…!大丈夫だから大丈夫だからこっち来て大丈夫…。
夜明さんあのですねちょっと野村さんを慰めてもらえませんかね?野村さんがどうしたの?マリッジブルー。
えっ!野村さん再婚するの!?…全然違うよ。
娘の潮美ちゃんが結婚する事になったらしいんですけども…。
だったらめでたいじゃない。
でしょ?でもね野村さんねここんとこ仕事に身が入らないみたいで売り上げもめっきり落ち込んじゃってるんですよねぇ。
野村さんは男手ひとつで潮美ちゃんを育ててきた。
気持ちはよくわかるんですけどねぇ。
慰めるのはそれはあんたの仕事じゃない?そうだけど…。
ああの…野村さん…。
あの洗車…ねえ急いでやりましょうかねぇ。
(野村)わかってるよ!うるせえな!ねえ聞いた今の?ねえ…。
当たり前じゃない。
お前慰めてないじゃん。
からかってるじゃん。
もう私の言う事はねなんも聞いてくれないんですよ。
だからここはひとつねっ夜明さんからお願いしますよ。
酒でも飲みながら。
酒でも飲みながら…。
うまいもの食いながら?そうそうそう…。
オッケー。
領収書回すね。
まあそれはしょうがない。
昇さんのマンションへは行った事がない…。
どうして嘘ついたんですか?夜明さんがそうおっしゃったんですか?ふた月ほど前昇さんから式の事で話があるからマンションまで来てほしいと言われました。
でも部屋には入ってません。
近くの喫茶店で打ち合わせしました。
部屋には入ってないという意味でマンションには行った事ないと言ったんです。
解剖の結果昇さんの死亡推定時刻は18日の夜10時から深夜24時の間という事がわかりました。
改めてお聞きします。
その時刻あなたどちらにいらっしゃいましたか?ですから川崎の自分のマンションに…。
その事を証明してくれる人はいますか?いいえ。
でも私は事件とは関係ありません。
ほんとです。
へぇ〜恵美子さんの会社の社長昇のお母さん?
(2人)はい。
保阪志津代。
まあ実の母親ではないんですが。
何かわかったらすぐに知らせて。
いいわね?におうな。
昇と志津代もっと突っ込め!はい自分もそう思うんですが神谷がどうしても恵美子の方を重点的に調べろと…。
神谷はすぐ脇道に入りたがる。
恵美子がどうして昇のマンションにまで行ったのかそれが気になるみたいです。
言うんじゃなかったよ。
まっ自分も全く気にならないわけではありません。
電話の事だろ?結婚式っていうのはさ打ち合わせが多いんじゃないの?じゃあ聞くけど…。
恵美子さんがなんのために昇を殺さなきゃいけないの?そうなんですが…。
それにアリバイは?昇が殺された18日の10時から深夜0時。
志津代のアリバイは?いや自宅にいたって言うんですがそれを証明する人はいません。
志津代は昔信楽に住んでた。
土地鑑はある。
はい。
アリバイはない。
はい。
神谷に言っとけよ。
脇道入らないで本道を行け!って。
(東山・国代)はい!伝えておきます。
あれ?あれどうなった?昇任試験の結果。
あっ!いや…あのそれはまだ…月末には出ると思うんですが。
大丈夫!絶対大丈夫!お前なら絶対大丈夫!ありがとうございます!まさか先輩にそう言っていただけると…。
帰っていいよ。
呼びつけて悪かった。
あっ俺出かけるから。
はいご苦労さん。
はい…。
はい…。
(ため息)結局さ俺たちはいつもペラペラペラペラ喋っちゃうんだよなぁ。
喋っちゃうんですよねぇ。
はぁなんだかなぁ…。
昇任試験の結果大丈夫かな…。
大丈夫だよね?
(野村)夜明さんさぁ昨日滋賀に行ったんだって?うん。
娘の潮美の婚約者がさ滋賀出身なのよ。
へぇ〜。
俺ね夜明さん…娘が欲しかったのよ。
だから潮美が生まれた時は嬉しかったな〜。
女房が死んだあとはことさらそう思ったな。
だって潮美の中に女房を見る事も出来る…。
でもね今になってつくづく思うな。
娘はつまらん。
だってさ結局よその男に持っていかれちゃうわけでしょ。
結婚式なんて冗談じゃないよ。
俺は絶対に出ないよ!そんな事したら潮美ちゃんがかわいそうじゃない。
夜明さんならわかってくれるでしょ?同じ娘を持つ父親として俺の気持ち…。
勝手に結婚なんてすりゃあいいんだよ。
俺は出ない絶対に。
ぜいたく言うんじゃないよ!ぜいたくって何?潮美ちゃん筋通してるじゃない。
好きな人が出来ました。
結婚します。
順序立ててやってるじゃない。
それの何が気に入らない?うちなんかさ出来ちゃっ…。
なんかあったの?俺でよかったら話聞くけど?ないよ。
なんにもないよ。
なんにもないよ。
はいありがとうございました。
お世話さん。
赤坂…。
あゆみ?近くまで来たから一緒に昼飯どうかなと思って。
いいけど…。
ちょうど今恵美子さんとお昼食べに出ようとしてたとこなの。
お父さん?病院行った?まだ…。
早く行けよ。
いいでしょ別に。
あゆみちゃんどこか悪いの?いいえ!あっ恵美子さん滋賀田舎でしたっけ?ええ。
お父さん有名な方なの。
陶芸家で。
へぇ〜。
私はあゆみちゃんが羨ましい。
夜明さんのような優しいお父様がいて。
私の父普通じゃないんです。
昔は優しい時もあったんですけど…。
母が亡くなってから私が5歳の時…。
(庄三)恵美子!あっ…何やってんだ!ごめんなさい…。
(恵美子の声)子供心にもこの人には私より大切なものがあるんだって思ったんです。
その時から私は娘である事諦めました。
わかる気がします。
父も仕事で忙しくて参観日とか運動会とかほんとにいてほしいって思う時にいてくれなかったから。
いつまでそんな事根に持ってるの…。
事実を言ってるだけでしょ。
すいません私先に戻ります。
ごちそうさま〜。
ケンカ出来るだけ仲がいいって事です。
羨ましい。
(美術商)盛況で何よりですね。
(美術商)新作も出展されると聞いてましたが…。
どうも私の納得いくものが出来なくて…。
そうですか。
それは残念ですなぁ。
しかしこのシャクナゲの器はいいな。
昇さんの事件の事で私疑われてるんでしょうか?昇さんとは…。
昔近所に住んでて小さい頃一緒に遊んだ記憶があります。
(昇)恵美子行くぞ!
(恵美子)うん!信楽…。
ええ。
でももう25年も前の事です。
5か月ほど前昇さんが小百合さんと一緒に結婚式の相談にいらした時は私も昇さんも全然気がつきませんでした。
(恵美子)それからふた月ぐらいしてから…。
まさか恵美ちゃんと会うとはな…。
君があの恵美ちゃんとは思いもしなかった。
おふくろの事何か知らないかな?おふくろが今どこで何をしてるのか…。
この25年…俺はずっとおふくろの事を捜してきたんだ。
(恵美子の声)25年前昇さんが施設に預けられた事志津代さんをずっと捜していたと聞いて驚きました。
昇が?ああ…。
あ…昇に私の事は言わないでちょうだい。
昇に今さら会わせる顔なんかないもの。
このまま会わずにおきたいの。
わかりました。
だから昇さんには何も知らないと言い続けました。
それで何度も電話を?ええ。
昇さん私が隠してる事わかったみたいで…。
志津代が社長である事を突き止め会いに行った。
その事警察には?全てお話ししました。
だったら大丈夫です。
心配いりません。
なんで滋賀なんだ…。
犯人は昇の死体をどうして滋賀に埋めたのか…。
昇の殺害時刻は18日の夜10時から深夜0時の間。
翌日19日午前9時恵美子は結婚式場に出勤してる。
小百合さん。
私も行きます!仮に18日の夜10時恵美子が昇を殺したとして結婚式場に現れる午前9時まで11時間。
11時間あれば昇の死体を信楽町へ運び山中に埋めて東京へ戻ってくる事は可能だ。
…にしてもなぜなんでわざわざ滋賀なんだ…。
警部!婚約者の小百合から新たな情報が得られました。
この3か月保阪は急に金回りがよくなったそうです。
何か服でも買えよ。
どうしたの?そのお金。
昇は退職金だと言ったそうですが建設会社に確認したところ退職金は微々たるもので…。
しかもその時期に昇は目黒のマンションに引っ越してるんです。
志津代の家も目黒にあります。
昇はまるで当てつけるように志津代の家の近くに越してきた。
警部金の出どころは志津代じゃないでしょうか?まあ志津代本人は恨みも憎しみもないと言っていますが…。
ですがそれが昇の脅迫によるものだったとしたら…。
わかった。
志津代を徹底的に調べろ。
(東山・国代)はい。
(浅倉)お疲れ様でした。
(社員たち)お疲れ様でした。
先生どうです?これから食事でも。
あ…申し訳ない。
今日は予定があるので。
(恵美子)お疲れ様。
お先に失礼します。
迎車をお願いしたいんですけど。
こんばんは。
川崎までお願いします。
はい。
いつもご指名いただいてありがとうございます。
お礼を言うのは私の方です。
夜明さんのおかげで1件契約する事出来ました。
はい?夜明さんに紹介されたと昨日野村様が娘さんと一緒にいらして。
この間の滋賀のホテルで来月式を行う事に。
へぇ〜あのホテルで野村さんが…そうですか。
しんちゃんもう7時半よ。
塾に遅れちゃうから車に気をつけて。
うん行ってきます!
(恵美子)じゃあこれで。
ありがとうございます。
(恵美子)ありがとうございました。
夜明さんよろしかったらコーヒーでも飲んでいかれません?ああはい…。
どうぞ。
いただきます。
うん美味しい。
このカップは安物ですよ。
陶芸家の娘といっても私は器には興味ありませんから。
あれは?昔私が作ったお茶碗なんです。
これなんの花だかわかんないでしょ?フフ…シャクナゲ描いたつもりなんですけどね。
シャクナゲ…そうなんですか。
僕に偉そうな事を言う資格ありませんけど…。
お父さんと仲直りされた方がいいんじゃないですか?あなたおっしゃってましたよね。
結婚式の披露宴の時新婦が父親に花束を贈呈する…いつももらい泣きするって。
あなたいつも仕事の向こうにお父さん見てるんですよ。
違います。
私がそばにいたら父の仕事の邪魔になる。
そう思った私は高校を卒業したあと家を出たんです。
でも父は見送りにも来てくれなかった。
私は父を捨て父は私を捨てたんです。

(庄三)早く大きくなるといいなぁ。
(恵美子)うん!ねっ。
よし。

(チャイム)社長!浅倉です。
社長!いらっしゃるんですか?社長!社長…!?誰かっ!誰かー!!
(浅倉)今日は…大事な役員会があって…。
なのに社長は午後になっても出社なさらないし携帯はつながらないし…それで…。
(秋元)浅倉さんが訪ねた時玄関の鍵はかかっていなかった。
家の中の明かりはついたままだったんですね?そうです。
保阪志津代さんは昨日は何時頃会社を出られました?えっ?昨日?確か夕方の5時半頃だったと…。

(ため息)昨日帰宅したあと風呂の用意はしたんだよ。
だけど誰かが訪ねてきた。
そうとしか考えられませんね。

(カメラのシャッター音)土砂の鑑定結果?ええ保阪昇の事件の方ですが。
はい。
昇の遺体が発見された滋賀県信楽の山林は鉄分の少ない粘土質の土です。
ですが昇のズボンのポケットからは違う成分の土が出てきました。
違う成分?火山灰を含んだ赤土で関東ローム層。
えーサンプル照合した結果神奈川近辺の土砂である事がわかりました。
どういう事?言ってる意味がわかんないよ。
つまり昇は二度埋められたんです。
犯人はまず神奈川のどこかに昇の死体を埋めた。
それを掘り起こして信楽に埋め直したっていうの?そうなるとやはり町田恵美子の犯行としか考えられない。
最初に死体を埋めた神奈川。
次に死体を埋めた滋賀県信楽。
恵美子はそのどちらにも土地鑑があります。
神谷…。
で今度の志津代の事件です。
解剖の結果死亡推定時刻は昨日午後6時から8時の間である事がわかりました。
犯行時刻についてはより狭める事が出来ます。
向かいの家の住人が昨夜7時半頃志津代の部屋に明かりがつくのを見ています。
ですから夜7時半志津代はまだ生きていた。
つまり犯行時刻は午後7時半から8時の間です。
で恵美子に確認したところその時刻夜明さんのタクシーに乗ってたと言うじゃないですか。
乗ってたよ。
乗車したのは7時10分すぎ。
川崎のマンションに着いたのが8時すぎ。
本当ですか?神谷…。
恵美子さんを疑うのは勝手だけどじゃあ聞くけど動機は?恵美子さんなんのために志津代とか昇殺さなきゃいけないの?動機についてはまだなんとも…。
でも土地鑑があるのは…!それに神奈川に埋めた遺体を掘り起こしてなんで信楽に運んで埋め直さなきゃいけないの?俺のタクシーに乗ってた恵美子さんがどうして目黒の志津代の家で人が殺せんの?でも土地鑑が…。
土地鑑土地鑑ってうるさいんだよ。
お前の頭がトンチンカンなの。
なぁ〜?お前たち…!ちょっと。
東山。
はい!他に怪しい人物いないのかよ。
あ…専務の浅倉ですか。
昇と志津代2人が殺されて誰が得をするか考えてみたんです。
浅倉は経営の方針をめぐって社長の志津代ともめていたといいます。
ま仮に志津代を退任に追い込めたとしても今度は昇に会社を乗っ取られるのではないか…。
もしそう考えていたとしたら…。
浅倉にとって志津代と昇は邪魔な存在だった。
はい。
そうか。
神奈川や信楽に昇の死体を埋めたのは容疑を恵美子に向けるため…!よし浅倉洗え!はい!はい!
(2人)いただきます!お前たちの上司は誰だと思ってんだ!東山国代!神谷…神谷神谷。
用が済んだら帰りなよ。
はぁ…まあお茶でも。
あゆみちゃんから電話がありました。
神谷のおじさんからお父さんを説得して欲しいって。
あゆみが?隠しても仕方ないでしょう。
いずれわかる事ですし。
出来ちゃったぐらい許してあげなさいよ。
お前ひとごとだと思ってそんな事言ってられんだよ!私最近長女に言われましてね。
「お父さんは入学式にも卒業式にも出てくれなかった」。
「だからいつか私が結婚する時は必ず式に出て欲しい」って。
堪えましたわ…。
俺もあゆみに言われるよ。
「一緒にいて欲しいと思った時にお父さんはいてくれた事がない」って。
いいじゃないですか。
出来ちゃった婚。
盆と正月が一緒に来たと思えばいいんですよ。
盆と正月が一緒に来てそんなに嬉しいか?盆のクソ暑い時にクソ熱い雑煮食ってそんな嬉しいか?子供みたいな事言わないでくださいよ。
それじゃ。
神谷。
これからの捜査方針どうするの?私はやはり恵美子が気になります。
昇が志津代をゆすっていたとしてそのネタは25年前志津代が昇を捨てた事と関係あるんじゃないのか。
その事に恵美子が何かかかわってるんじゃないのか。
明日東山たちをもう一度滋賀へ行かせるつもりです。
え?東山たちまた滋賀へ行くの?まそういう事です。
ふ〜ん…。
京都?お前たち京都も行くの?あ…はい。
25年前志津代と昇が信楽で一緒に暮らしていた頃当時志津代は京都の料亭で働いていたんですがその京都で志津代の夫が事故死してそれで昇を手放す事になったんですが。
京都と滋賀か…。
なんか盆と正月が一緒に来ちゃったなぁ。
どうもお忙しいのに申し訳ありません。
(矢口栄次)ああいやいや。
京都府警の矢口です。
25年前の事案についてお聞きになりたい事があるとか。
(矢口)その男性が保阪秋夫。
その子が当時7歳だった昇です。
私がここへ来て最初の事案だったんでよ〜く覚えてます。
保阪秋夫の事故死というのは…?転落です。
(矢口)25年前嵐山の保津峡近くで。
当時保阪秋夫は滋賀県大津市で機械部品の会社を経営していたのですが会社が倒産してかなりの負債を抱えていました。
自殺…?いや…自殺だったのか事故だったのか断定は出来ません。
ところが保阪秋夫に当時の金で6千万の生命保険がかけられていたんです。
6千万…!?受取人は?妻の志津代です。
当然我々は志津代を調べました。
ところが保阪秋夫が死亡した時刻志津代は勤め先の料亭に出ていて…。
じゃあアリバイがあった。
ええ…。
いや共犯者がいるのではないか?志津代の交友関係を当たったんですが不審な人物は浮かんできませんでした。
それで結局は事故死扱いに。
あここです。
ここが当時志津代が働いていた店です。
(谷畑千江)古い話どすなぁ。
あの時は刑事さんが何遍も来やはって大変どした。
店に志津代さんと親しくしていた人はいないか。
お客さんで特に懇意にしていた人はいないかと。
そういう人はいなかったんですか?ええ。
あの志津代さんご本人はどんな人だったんでしょうか?仕事はよう出来た人どした。
例えばお客様にお料理をお出しする時料理の置き方ひとつにしてもきれいな動作がおす。
志津代さんはいちいち言わんでもそういう気配りの出来る如才ない人どした。
けど…。
(千江)このアザどないしたん?
(志津代)なんでもありません。
ちょっと転んでしまって…。
(千江)あの頃ご主人借金で苦しんではったみたいで。
志津代さんにつろう当たってはったみたいどすわ。
でそのご主人が亡くなったあと志津代さんは店を辞めて東京へ出られたんですか?そうどす。
志津代が夫の保阪秋夫に生命保険をかけていた事は気になりますがそれと今回の事件は関係ないんじゃないですかね。
まして恵美子さん全く関係ない。
はぁ…はずれ。
はずれはずれ…。
ありがとうございました。
すみません。
何か?これも信楽ですか?ええ。
縁起物どすさかいに。
そういうたら志津代さんに陶芸家を紹介された事がおした。
信楽焼どすか?よろしおすなぁ。
あの頃はもうひとつやったけど今は随分偉うならはって。
なんて方ですか?町田庄三さんどすえ。
俺に何か聞きたいのか。
ですから志津代さんとはどういう関係だったのかと。
昔近所に住んでた。
俺の作品を気に入ってあちこちに紹介してくれた。
…それだけだ。
一昨日東京で志津代さんが殺されました。
その1週間前には息子の昇さんの遺体がここ信楽町で発見されてるんです。
だからなんだ。
近所付き合いされてるんでしたら何かお話伺えないかと思いまして。
昔の事だ。
その昔25年前保阪秋夫さんの事件についてはいかがですか?もう話す事は何もない。
私夜明っていいます。
タクシーの運転手をしてます。
縁あって恵美子さんをお乗せして知り合いになりました。
私焼き物の事全くわかんないんですけど何が一番大事なんですか?信楽焼を作るのは私だが育てるのはその焼き物を使ってくれるお客です。
土物は使えば使うほど味が出ます。
使えば使うほど味が出る…。

(庄三)土物は「一焼き二土三細工」というが違う。
「一土二土三に土」だ。
いい土に導かれて作品が出来ます。
恵美子さん後継がないんですか?恵美子の事は何も知らん。
俺は土物を作るためだけに生きてる。
焼き物と関係ない事はどうでもいい。
どうでもいいって…ご自分の娘さんでしょうが。
俺は子供を育てるために生きてるんじゃない!用が済んだんならさっさと帰ってくれ!25年前の事件に町田庄三がかかわってるとしたら…。
庄三は志津代と出来ていた。
志津代に頼まれて庄三が保阪秋夫を殺したって言うんですか?ああ。
昇は25年前の真相を知っていた。
だから志津代を捜し続けた。
それで志津代と会い25年前の共犯が庄三であるという事を知ったとしたら…?だとしたら昇は志津代だけじゃなくて庄三もゆすった。
はい。
昇の事件に町田庄三がかかわってる可能性はあります。
18日…え〜先週の月曜日なんですけど。
月曜日…18…。
あ!庄三さん家にいてはりました。
登り窯の煙が上がってましたもん!
(国代)登り窯の煙…?ええ。
陶器は窯入れをしたあと5日ほど窯焚きするんです。
もうそれこそ寝る間を惜しんで薪をくべ続けて。
窯のそばから離れる事は出来へんのです。
そやから会ってはいませんけどいてはったと思いますよ。
一昨日26日はどうですか?26…あ!26は東京で個展を開いてたはずです。
はぁ〜じゃあ庄三さん26日は東京にいたんですか?
(主婦)ええそうです。
そうなると18日に昇を殺したのは志津代で26日に志津代を殺したのは庄三って事ですかねぇ?推測だよ。
みんな推測。
証拠なんかなんにもない。
(ため息)あのトンチンカン何か言ってたよね。
25年前の事件と恵美子さんがつながってるって。
なんで昇と志津代を殺さなきゃなんないの?
(ため息)恵美子はこの事件に関係がない。
まあそれがわかっただけでもよかったじゃない。
はい。
売り上げも上がったしさ。
全ては推測…。
はぁ…。
確かに物証はなんにもないんですよねぇ…。
なぁ〜。
で先輩…。
なんで自分たち風呂入ってるんですかねぇ?だよなぁ。
なんで泊まりになっちゃうんだろうな。
あ!国代。
はい。
神谷警部から聞いた事絶対言っちゃダメだぞ!あゆみちゃんの事ですよね?うん。
いや驚きましたよ。
あのあゆみちゃんが出来ちゃった婚なんて。
ああ〜信じらんない!いやだから夜明さんの前で「赤ちゃん」とか「出来た」とか「出来ちゃった」とかそういうの絶対禁句な!もちろん言いません!デン!うわぁ…。
よ〜し食べよう。
領収書は神谷に回す。
領収書…。
(携帯電話)
(携帯電話)神谷です。
はいもしもし警部。
あ…はい。
あ…恵美子に関する情報はこれといって…。
え?今ですか?今は夜明さんとホテル…。
あっ…!怒鳴らないでください。
とにかく明日の朝一番で帰ります。
ったくお前たちは…!ああ東山。
警部補に昇進したそうだ。
よかったな。
ありがとうございます!はい!感謝してます!はい!わかりました!パスしたんだ昇任試験。
はい!やった〜。
よかったですね!ありがとう。
お酒追加。
じゃんじゃん持ってきて。
飲もう飲もう。
ありがとうございます。
お祝いだ。
今夜お祝い。
警部補のお祝い!な!よ〜し飲もう!はい乾杯!ほんとにありがとうございます。
乾杯!どうもありがとうございます!けどおいよく出来たなぁ。
試験難しかったろう。
ああの〜ほんと言うとまあほんの少しなんですけれども自信あったんです。
あの〜不思議と試験問題出来ちゃって。
出来る時あれすっと出来るんですね。
いや自分でもわかんないうちに出来ちゃったんだよ。
え?…あ。
すいませんあの…自慢みたい…。
違う…!だっ…いいだろめでたいんだから。
仕方ないだろう出来ちゃったもの…。
キャンセル。
みんなキャンセル。
お酒キャンセル。
お前たちもキャンセル。
2人キャンセル。
海老ダメ!肉もダメダメダメ。
ダメ。
肉も海老もダメ。
2人キャンセル。
またですか。
こちらの会社の経営状況を調べさせていただきました。
ブライダル部門はともかく会社全体で見るとこれ相当な赤字だったようですね。
それは社長が…!亡くなった社長が事業を広げすぎたからです。
近々大規模なリストラが行われる予定だったとか。
そのリストを入手したんですが。
志津代さんはあなたを切るつもりだった。
ま理由は経営方針の違い。
フフ…。
もう一度お聞きします。
保阪志津代さんは26日夕方5時半頃会社を出られたんですよね?そうです。
(浅倉)お疲れ様でした。
はいお疲れ様。
そのあとあなたは…。
6時すぎに会社を出て新橋で酒を飲んだんですよ。
あ〜困っちゃったなぁ〜。
そのお店の名前も覚えてないんですよねぇ〜。
本当の話です!私が社長を殺すなんてあり得ない。
26日の午後7時頃なんですけどねぇ。
さあねえ…。
そういう人は来んかったねぇ。
(ため息)ありがとうございます。
違う。
浅倉でも庄三でもない。
恵美子だ。
動機もわかったじゃないか。
25年前志津代の夫保阪秋夫を殺したのは庄三だった。
その事で昇は庄三を脅してた。
それで庄三を守るために恵美子が…?いや…それはどうなんでしょうか?この父親を守るために殺人まで犯すとは…。
土地鑑だ。
結局そこに行き着くんだよ。
昇の死体は最初神奈川に埋められた。
土地鑑があるのは恵美子だけだ。
でも志津代の事件では殺害時刻恵美子は夜明さんのタクシーに…。
それがそもそもおかしいんだよ。
恵美子は夜明さんを利用した。
何かカラクリがあるはずだ。
運転手さん次を左へ曲がってください。
はい。
次の角を右に曲がってください。
仮に神谷の言うとおり昇を殺したのが恵美子さんだとして…
でも埋めた死体をどうして滋賀県信楽町に埋め直したのか…
いや違う恵美子さんじゃない
志津代が殺された夜俺のタクシーに乗ってたというアリバイがある
(水滴の落ちる音)
(橋本)これみんなからです。
ほんの気持ちですけど。
(田辺)娘さんのご結婚おめでとうございます。
ありがとう。
いやいいのに…。
あそうですか。
じゃ。
いやせっかくですから遠慮なく。
皆さんありがとうございます。
よっ!
(拍手)それで式はいつやるんです?あさって。
ん〜東京でだったらなぁ出席出来たのになぁ〜。
ああいいんですよいいんですよ。
こじんまりとやるんだから。
(朋子)だったら実況中継してくれません?実況中継?そんなさぁタレントじゃないんだから出来っこないよ。
やだなぁ携帯ですよ。
今は携帯でなんでも出来るんですよ。
私なんか…ほら。
私のマンションの実況中継。
留守番させてるんで時々こうやって見てるんです。
部屋にカメラをセットしていて外からでも操作ひとつで見る事が出来るんですよ。
はぁ〜便利でんなぁ!外から…。
ああ来てた。
…うん。
おかえりなさい。
ごちそうさま。
式挙げな。
…いいわよ。
きちんと式挙げた方がいい。
ありがとう。
ごめんなさい。
お父さん。
ありがとう。
あそうだ。
あさっての滋賀行き恵美子さんがまたお父さんにお願いしたいって。
ああそう。
あ!あゆみ…恵美子さんどうして今の会社で働くようになったの?社長に誘われたんだって。
社長って保阪志津代さん?うん。
恵美子さん前違う仕事しててねでも事務仕事で面白くなくて。
そこに社長から電話があったんだって。
「うちの会社で働かない?」って。
志津代さん恵美子さんの会社どうしてわかったの?誰かから聞いたんじゃない?誰かって…恵美子さんのお父さんとか?わかんないけど…。
それにしてもあのお父さんには驚いたな。
恵美子さんと一緒に訪ねた時もう次から次に出来た器を割ってたの。
思うようにいかなかったんだろうけどすっごい怖い顔で。
それいつ?お父さんと一緒に滋賀に行った日。
月曜日なら庄三さん家にいてはりました。
登り窯の煙が上がってましたもん。
出来た焼き物を割ってた…。
(電話をかける音)神谷?調べてほしい事ある。
Nシステム?東名高速の監視カメラですか?
(あゆみ)よいしょ…。
(車のドアを閉める音)
(拍手)客を送ったついでで申し訳ないね。
とんでもない。
夜明さんに出席してもらって嬉しいよ。

(野村)どうぞ。
ふつつかな娘ですがどうぞよろしくお願い致します。
こちらこそよろしくお願い致します。
次のお料理急いでください。
車写ってました。
今東山がそっちに向かってます。
わかった。
昇と志津代を殺害した犯人がわかりました。
犯人がわかったとはど…どういう事だ?25年前昇は志津代が誰かと共謀し自分の父親保阪秋夫を殺した事を知ってたんです。
だから昇は志津代の行方を捜し続けた。
彼女と再会した昇は共犯者をゆすった。
それはあなたです。
あなたの車がNシステム…東名高速の監視カメラですが…写ってました。
昇が殺害された18日午後9時34分。
あなたの車は東名高速から用賀を経由して首都高に入り都心に向かってます。
ところが翌19日2時7分。
この車は神奈川の川崎から東名に入ってるんです。
言ってる意味はわかりますよね?俺が…保阪昇を殺した。
志津代を殺したのも俺だ。
警察へ連れてってくれますか。

(拍手)
(リモコンのスイッチを押す音)
(歓声と拍手)
(拍手)
(野村潮美)「お父さんへ。
お父さん25年間慈しみ見守り育ててくれてありがとうございました」「無事にこの日を迎えることができて心から感謝の気持ちでいっぱいです」「天国のお母さんもきっと喜んでくれていると思います」「お母さんが亡くなって9年間男手ひとつで仕事と父親の二役をこなすのは大変だったと思います」「なのに私はわがままを言ったり…」俺がバカだったんだ…。
25年前…。
(志津代)私主人に殺される。
暴力を振るうだけじゃないの。
このままじゃ親子3人心中するしかないってそう言うの。
本気なのよ!お願い!私と昇を助けて。
ねぇお願い庄三さん。
主人を殺して…。
無理だよ殺すなんて…。
(保阪秋夫)しつこいやないか!おい!志津代から聞いて全部知ってるんやで!お前が志津代にちょっかい出してるいうてな!わしが金策に駆けずり回ってる事をええ事に。
おい!バカにしとんのか?お前なんかぶっ殺してやる!
(庄三)や…やめてくれ。
やめてくれ!
(秋夫の悲鳴)大丈夫よ。
このまま会わずに黙ってたらあなたが主人を殺した事は絶対バレないわ。
必ず迎えに来るからしばらくここで暮らしてな。
いいわね?
(庄三)ちょっと待ってくれ!ちょっと待ってくれよ。
話が違うじゃないか!あんた…俺をハメたんだな?やめてよハメただなんて。
でもそのかわり私はここから出て行く事が出来る。
そのお礼に庄三さんがした事は一生誰にも喋らないわ。
安心して。
(警笛)だが25年経って目の前に現れた昇に志津代はこう言ったそうだ。
そう。
あの晩の電話あんた聞いてたの。
ああ。
7歳だったけどはっきり覚えてる。
ならしょうがないわね。
あんたのお父さん殺したのは町田庄三っていう男よ。
ゆするんだったら私じゃなくて庄三をゆすりなさい。
俺はゆすりに来たんじゃない。
ただ…あんたに会いたくて。
子供みたいな事言わないでよ。
恵美子も昔庄三が人を殺した事があるって言ったらどんな事にも応じるわよ。
(昇)1つだけお願いがある。
俺をこの会社で働かせてくれないか。
わかったわ。
ああ…今日のところはこれしか持ってないから。
毎月100万この口座に振り込んでくれ。
25年前の事だ。
あんたがやった事を俺は全部知ってるんだよ。
昇そっちに行ったんでしょ?もう一度やってよ…昇を。
断る!あんたな…何を言ってるんだ!
(庄三の声)そしてあの日志津代からまた電話があった。
(志津代)昇…恵美子さんに付きまとってるわよ。
あんたの事も喋ったみたい。
(志津代)「今夜マンションに呼ぶって言ってたけど…」昇恵美子さんに何するかわかんないわよ。
その時俺には志津代の企みが全てわかった。
志津代がなぜ恵美子を自分の会社に引き入れそばに置いていたのか。
(庄三)私は恵美子に今まで父親らしい事は何もしてやれなかった。
(庄三)恵美子を守りたかった。
恵美子をどうしても守ってやりたかったんだ。
そのために昇と志津代をあなたが殺害したっていうんですか?ああ。
俺が…2人を殺した。
どうして…?陶器作る事だけで生きてきたあなたがどうして今頃になって私の事かばおうとするのよ!父ではありません。
私です。
恵美子!夜明さん本当の事わかってらっしゃったんですね。
はい。
昇の遺体を神奈川から信楽に運んだのは間違いなくお父さんです。
でもお父さん殺してない。
殺したのは…あなたです。
違う!恵美子は関係ない!あなた昇を殺害後遺体を神奈川まで運びそして埋めた。
…はい。
父が犯した25年前の事で私は昇さんに脅されてました。
金は持ってきたのか?ごめんなさい。
もうこれ以上お金ないんです。
じゃあバラすしかないな。
今度はお前の親父さんが崖から真っ逆さまだ。
(恵美子)お願いですそれだけは。
まあ金は…親父さんからもらってるからいいんだけどな。
父を脅す事しないって言ったじゃない!だから私がお金を…!あんたバカだよ。
親父さんが今まで親父らしい事をした事あんのかよ?昇さんには私の気持ちわかんないわよ。
私は父の焼き物が好きなの。
だったら金じゃないもんで勘弁してやるよ。
(恵美子)やめて…。
やめて!どうして父を…。
どうして…!
(恵美子の声)でも自首する事は出来ませんでした。
私が逮捕されたら父に迷惑がかかる。
父が一生を懸けてきた陶芸を父から奪う事になる。
昇の遺体が信楽から出たと聞いて確認せずにはいられなかった。
ひょっとしてお父さんが遺体を信楽に運んだんじゃないか…。
信楽に行ったあなたは確信した。
それは焼き上がった陶器をお父さんが全て壊してたからだ。
失敗したのはお父さんが窯場を離れたからだ。
私は父が死体を信楽に運んだ事を知りました。
でもどうしてあの夜私が昇さんのマンションに行った事を父は知ってたのか。
(志津代)私恵美子さんには感謝してるの。
私知ってるのよ。
あなたが昇を殺してくれた事。
(恵美子の声)その時初めてわかったんです。
志津代さんが父に話したんだって。
(志津代)私ね子供の頃泥をかむほどの貧乏を味わったの。
この世で不可能な事を可能にしてくれるものが1つだけある。
お金よ。
私はお金を得るためだったらどんな事だってするわ。
(恵美子の声)昇さんに25年前の事を話したのもこの女だ。
私会社辞めます。
ダメよ。
あなたは優秀なプランナー。
貴重な戦力だもの。
それともあなたが何をしたかお父さんにお話ししてもいいかしら。
(恵美子)そもそもあの女のせいで父は…。
25年前の事も全てあの女が仕組んだ事だった。
許せなかったんです。
志津代が殺された26日の夜あなたは私のタクシーに乗ってました。
でもアリバイはありません。
志津代が殺害されたのは7時半から8時の間って見られてます。
それは彼女の家の照明が7時半についたからです。
でもそれは違う。
あれ遠隔操作でつけられたものです。
彼女の家の照明もバスタブへの給湯も外から遠隔操作出来る事がわかったんです。
殺されたのは7時半よりもっと早い時間でしょう。

(志津代)うっ…!
(携帯電話の操作音)あなたは志津代を殺害後会社に戻り…。
お疲れ様。
(恵美子)こんばんは。
川崎までお願いします。
あの時あなたパソコンで遠隔操作したんです。

(恵美子)夜明さんを利用するような事してごめんなさい。
(庄三)恵美子は何も悪くない。
全部…全部俺のせいだ。
25年前あなたお父さんにとって自分は必要のない人間だと思ったっておっしゃった。
それ違う。
人を殺してしまったお父さんあなた突き放すしかなかった。
恵美子さんがどれだけつらい思いをしてきたか。
25年前何があってもあなたたちは家族であるべきでした。
男親ってのはいつも娘の気持ちがわからない。
男親ってのは本当大バカです。
恵美子さん今でもあなたと一緒に作ったシャクナゲのお茶碗使ってます。
恵美子さんはあなたの焼き物が大好きなんです。
そうですよね?恵美子さん。
(パトカーのサイレン)はい…。
私は父に陶芸を続けてほしかっただけなんです。
そのために私は娘である事を諦めたんです。
父が脅されて好きな陶芸続けられなくなったら…。
どうして信楽まで昇の遺体を運んできたのか…。
それは全ての証拠を登り窯で燃やすためです。
恵美子さんあなたを守るために。
しかし最後になって焼物師としての戸惑いが出た。
それで山に埋めたんです。
お父さんにとって登り窯は命です。
その命を汚してもあなたを守るために遺体を信楽に運んできたんです。
お父さんには焼き物より大切なものがあった。
それはあなたです。
夜明さん…。

(あゆみ)ごめんなさい。
うんもういいよ。
お金なんとかするからさ結婚式きちんと挙げた方が…。
そうじゃなくて…出来てなかったの。
え?あの…病院に行って正式に検査したら妊娠してなかったの。
え…?で結婚は?それがさぁ妊娠したって言ったら彼参ったなぁって梅干し食べたみたいな顔したの。
それ見たら一気に冷めちゃってさ。
もう結婚はやめるわ。
あゆみ。
(夜明の声)久しぶりにさどっか遊びに行こうか。
(あゆみの声)どっかってどこ?ああ…水族館とか動物園とか。
何それ?私ね今美味しい焼肉が食べたい気分なの。
上カルビでしょ上ロースでしょ。
あっもちろん最初は特上のタン塩だよね〜。
ねぇどこか近江牛のお店ないかな?あっ!焼肉焼肉。
何…まだ色気より食い気じゃない。
全然成長してないね〜!
この地の代名詞といえば…
ご存じふぐ!
2015/07/20(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
タクシードライバーの推理日誌[再][字]

京都・琵琶湖〜土地鑑のある乗客 花婿の死体が二度きえる!!遠隔殺人された女社長の秘密!

詳細情報
◇番組内容
ウェディングドレス姿の女・石野小百合を乗せたことから、夜明は彼女の結婚相手・保阪が挙式直前に行方不明になったことを知る!!やがて保阪の死体が滋賀県で発見され、ウェディング・プランナーの町田恵美子に疑いが!! 大人気シリーズ第26弾!
◇出演者
渡瀬恒彦、平田満、風見しんご、小林健、林美穂、原沙知絵、中原丈雄、東てる美、榊原利彦

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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