愛媛で行われた現代アートのイベント。
即興の絵と音楽で命のエネルギーを表現します。
はあ〜すごい迫力ですね。
今地方で現代アートのイベントを行う動きが広がっています。
高齢化過疎化などの問題を抱えた地域に現代アートを呼び込む事でその土地の魅力を再発見してもらおうという試みです。
中には数十万人を集めるイベントも生まれ地域活性化の切り札となっています。
四国を中心にこうしたイベントの運営に携わる…一応四国ツアーみたいな感じで今のところ銘打っていて…アーティストをサポートしその魅力を広く伝えるアートマネージメントが仕事です。
地方にも魅力的なアーティストがたくさんいます。
松原さんは彼らと常に情報を交換し作品を発表できるチャンスをうかがっています。
アーティストのスケジュール管理や広報活動も仕事の一つ。
アーティストには制作に専念してもらいます。
明日から1週間なんですけど。
すいませんよろしくお願いします。
そんな松原さん今回自分の企画で展覧会を開く事になりましたが…。
新しい挑戦果たしてうまくいくんでしょうか。
松原さんふだんは松山市内にある会社で派遣の事務員として働いています。
お疲れさまです。
お疲れさまです。
アートマネージメントだけではまだ十分に稼げず派遣の収入で生計を立てています。
会社を出るとここからが松原さんの本業です。
打ち合わせの相手は松原さんが今力を入れてマネージメントしているアーティスト海野貴彦さんです。
3年前東京から愛媛に移住し松山市を拠点に活動しています。
海野さんが得意とするのは街の壁やシャッターを使った大胆なペイント。
アートの力で街に変化をもたらしたいと考えています。
海野さんは地域の人を巻き込む参加型のイベントを数多く企画。
精力的に活動してきました。
松原さんは3年前海野さんに出会いました。
その才能にほれ込み以来タッグを組みサポートしています。
2人の間で2年ぶりに小さな個展を開こうという話が進んでいました。
何やりたいかとかさ…これまでサポートに徹してきた松原さん。
企画から任されるのは初めてです。
松原さんが会場の候補として考えたのは松山市内にある…現在は高齢化と人口流出が進みシャッター街となっていますがかつては港町として栄えた街です。
当時の趣を残す古い町並み。
海野さんが何度かイベントの開催地に選んだお気に入りの場所です。
この日は長らく空き家となっていた物件を見せてもらいます。
普通に店舗なんだ。
元は子ども服のお店だったこの空き家。
あるじを失い20年以上。
奥の居住スペースもそのままになっていました。
時間の流れに取り残された空間に海野さんの絵を置く事でその力がより引き立つと考えました。
早速海野さんにコンセプトを提案します。
言ってる意味分かる?松原さんの提案には見に来てくれる人たちにどう感じてほしいかという視点が抜け落ちていました。
…ですかね。
松原さんは半年前隣町にある実家を出て松山市に住居兼事務所となる部屋を借りました。
部屋には松原さんがほれ込んだ海野さんの歴代の作品が。
ゆくゆくはここで作品を見てもらい買い手を見つけたいと考えています。
これも海野さんのです。
松原さんは大学時代アートマネージメントを専攻。
作家になる才能がなくてもアートを仕事にしたいと考えました。
親に反対され卒業後一度は銀行に就職しましたが夢を諦めきれず1年で退職。
東京の専門学校でアートマネージメントを学び直しました。
地元の愛媛に戻ったのは自分にならふるさとのアートをもっと魅力的に伝えられると考えたからです。
松原さんのふだんの1週間スケジュールはこちら。
昼間は派遣の仕事。
平日夕方からと土日の時間をアートマネージメントの仕事に充てています。
松原さんの月の平均収入は13万円。
派遣で月10万円。
アートマネージメントの収入は0円から10万円まで不安定なのが現状です。
会場は松原さんが提案した三津浜の商店街に決まりました。
しかし肝心のコンセプトについて松原さんから再提案はまだありません。
海野さんは1人で三津浜を訪ねコンセプトを考えていました。
(藤岡)うちはこの時点ではもうやめとったけど。
海野さんが興味を持ったのはこの街の昔の写真です。
写真を手に僅か十数年の間にすっかり姿を変えた街を歩きます。
展示の会場になる空き家です。
海野さん何かいいアイデアは浮かんだんでしょうか。
でもそもそもコンセプトを提案するのは松原さんだったはず。
どうするんだろう?翌日問題が発生しました。
ささいな事をきっかけに海野さんの松原さんへの不満が爆発。
「展示はやらない」と言いだしたのです。
海野さんがいそうな場所を片っ端から探します。
探す事2時間。
行きつけの喫茶店に海野さんの姿を見つけました。
展示の内容について再度提案しましたが全く話を聞いてもらえませんでした。
連絡を待つしかない松原さん。
翌日海野さんのフェイスブックに書き込みを見つけました。
「さっき『やる』て決めたけんな」って書いてる。
いや〜どうなんだろうね?翌朝松原さんは会場へ。
海野さんは既に準備を始めていました。
何とも微妙な空気。
でも海野さんやる気になってくれたんですね。
松原さんはチラシを配りに繁華街へ。
いつもどおり。
そうです。
トラブルが発生したせいで宣伝はまだほとんどできていません。
でも松原さんは最後まで諦めません。
準備は深夜まで続きました。
いよいよ展示の日の朝。
なんとか間に合ったようです。
奥の居住スペースでは以前この街で行ったイベントの映像を上映。
閉店された当時の雰囲気をあえてそのまま残し商店街の現状を知ってもらいたいと考えました。
「そうですねやはり私自身は…」。
展示するのはこれから海野さんが描いていく三津浜商店街の風景画です。
昔の写真と同じ場所を同じアングルで描きます。
展示のタイトルは…今どこで誰が何をしているのか。
その営みを感じてもらう企画です。
展示の内容に関わりきれなかった松原さん。
無力感が押し寄せていました。
もう疲れたよ…。
そこにお客さんが。
松原さん落ち込んでる場合じゃないですよ。
すごいね!右の方にお進み頂けます。
説明に力が入ります。
天井もすごいね。
そうなの。
床も抜けちゃってる。
今の商店街の元気な一面も知ってほしいと近くのお店から出前を頼めるスペースも設けました。
地元の陶芸家の作品で頂きます。
(海野)あっうまい!
(海野)おくら。
…は入ってないか。
(海野)これは三津の魚介だしスープ。
お釣りもらって大丈夫ですか?はい。
ありがとうございます。
また来て下さい。
この日松原さんがやっと見せた笑顔。
今回の悔しさきっと次に生きると思います。
松原さんに最後に質問です。
ペイントでこれが代表的なモチーフになるんですけど。
残していけると街の財産になるんだろうなと思うんですけど。
2015/07/20(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「アートマネージメント」[字]
主人公は愛媛で“アートマネージメント”を手がける松原香織さん(29)。イベントや展覧会の運営や予算管理、広報などあらゆる面からアーティストをサポートしている。
詳細情報
番組内容
主人公は愛媛で“アートマネージメント”を手がける松原香織さん(29)。イベントや展覧会の運営や予算管理、広報などあらゆる面からアーティストをサポートをする。大学時代、現代アートの魅力にはまった松原さんは、銀行に就職したがアートに関わる仕事がしたいという思いを断ち切れず退職。東京の専門学校でアートマネージメントを学んだ後、故郷・松山に戻り、派遣の仕事をしながら地方にアートの魅力を広げようと活動中だ。
出演者
【語り】松坂桃李
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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