きょうの健康 メディカルジャーナル「慢性疲労症候群 最新調査」 2015.07.20


「きょうの健康」です。
今回は最新の医療情報をお送りするメディカルジャーナルです。
テーマは「慢性疲労症候群最新調査」です。
慢性疲労症候群は強い疲労感が長期にわたって続いてしまう病気なんです。
実は今年の4月に慢性疲労症候群の患者さんが日常生活でどれだけ困難に直面しているか新しい調査結果が発表されました。
それによりますと…今日はこの慢性疲労症候群について詳しくお伝え致します。
お話は…厚生労働省の慢性疲労症候群研究班の中の治療ガイドライン作成グループのグループリーダーでもいらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
遊道さん今回厚生労働省の委託を受けまして実態調査行われた訳なんですけれどもどういう調査を行ったんでしょうか?慢性疲労症候群の患者さんに対する調査が行われたのは今回が初めてではなくて関西福祉科学大学の倉恒教授らによってもこれまでに行われてきました。
今回は251名の患者さんを対象としまして家庭訪問なども行う事によって重症な方々の実態がこれまでより明らかになったと思います。
3割という事ですもんね。
ではまずその慢性疲労症候群どんな病気なのかそこから教えて頂けますか?慢性疲労症候群は筋痛性脳脊髄炎と呼ばれる事もあります。
この筋痛性脳脊髄炎と呼ばれる事もあるんですね?はい。
この病気はある日突然全身の強い疲労感を感じそれ以降疲労感とともに…不眠や眠り過ぎなどの睡眠障害。
「長期間続く」というこれはどれぐらい続くんですか?6か月以上こうした症状が続くという事が特徴といわれておりまして患者様によっては何年も続いている方もいらっしゃるようです。
つらいですよね。
この強い疲労感ですねこれはどういうものなんでしょうか?患者さんの訴える事が多いのが回復に24時間以上かかり悪化する疲労や消耗または疲労が回復しない睡眠障害などといった症状といわれております。
患者さんはどれぐらいいらっしゃるんですか?国内では24万人から38万人いるというふうに推定されております。
随分いらっしゃるなという印象なんですが…それでもあまり知られていませんよね。
私も今回初めてでしたし。
その理由の一つとしてはこの病気が病気の概念として比較的新しいという事があると思います。
1988年にアメリカで初めて提唱され国内にこの疾患概念が導入されたのは1991年です。
そのためまだ広く知られていない現状にあります。
そういう中で原因というのはもう分かってるんでしょうか?原因はまだ明らかにはなっておりません。
ただいくつかの研究から脳内の炎症が関係しているという事が明らかになりつつあります。
脳の中の炎症はい。
国内の研究で2014年の研究で症状が重い患者さん9名に脳内の炎症の有無を調べる特殊な検査を行ったところ脳の複数の部位に炎症があるという事が報告されております。
こちらは患者さんの脳を断面にした画像であります。
ご覧のような場所に炎症が起きていて炎症が起きている場所と患者さんの症状に関連があったというふうに報告されております。
これは少なくとも重症の患者さんでは脳内に炎症が起きているという事を示唆しているものと思われます。
ほかに分かっている事まだあるんでしょうか?これまでの調査からインフルエンザなど急性の強い感染症や発熱などを起こしたあとに慢性疲労症候群を起こす人が比較的多い事が分かりました。
例えば感染症が1〜2週間で治ったのになぜかぐったりとした消耗感などが消えずに残り続けるといったような症状であります。
残り続ける訳なんですね。
そういう事から分かる事ってどういう事なんでしょうか?一つの仮説としていわれている事をご説明致しますと炎症を抑えるために起こった免疫反応が感染症が治ったあとも何らかの原因で治まらないために脳や神経にダメージを与えているといった事が考えられております。
ただしこれはあくまでもまだ仮説の段階であります。
ここまでは分かっている事と伺ったんですが今回の実態調査で分かった事を教えて頂けますか?主な点を挙げますと…まず症状を悪化させる原因からお願いできますか?…といった訴えが多く挙げられておりました。
無理をせざるをえないというのは例えば?やはり日常生活を送る上でまたお仕事なりをする上で症状が悪化しているのに続けなければいけないという事であります。
今度は2つ目になりますか。
2つ目の重症の方の割合ですね。
これはこんなふうになってますね。
慢性疲労症候群はパフォーマンスステータスと呼ばれるものを使って重症度を分類致します。
その前に重症と答えた人が30%もいるんですね。
非常に多いという事が分かりました。
中等度が35%そして軽症の方が32%でありました。
重症が30%いらっしゃるという事なんですね。
この重症というのはどういう状態なんでしょうか。
これは日常生活や動作の困難度を10段階で分類するパフォーマンスステータスというものを使って調べて分類したものでありますが…。
パフォーマンスステータスというのは初めて聞くんですが。
これは…いずれかに当てはまりますと重症というふうに分類されます。
調査では一日の半分以上を横になっている患者さんが重症の方が3割もいるという事が明らかになり深刻な状況であるという事が分かりました。
ここから重症の方についてお話を伺う訳なんですけどもこの次の歩ける距離ですねこれはどういう?重症の人では0mと答えた方が15%。
0mというのはこれは?これはほとんどご自身では立ち上がれずに介助の方に支えられなければ立位もとれないというふうな状態の事であります。
立てないという事。
また1から10m未満の方が28%いらっしゃいました。
これは?これはつかまり立ち等でやっと洗面所等に移動できるという事であります。
多くの重症の方は家を出る事もままならないような状況にあるという事が分かりました。
次の就労ですとかお仕事とか学校の状況はどうなんですか?当然厳しくなっている状況にありました。
実際に現在働いているかという質問をしましたところ「いいえ」と答えた方が重症では95%に上っておりました。
また就学についてですが中には小学生のうちから発症している患者さんもいて子どものうちに発症した患者さんの多くがその後通学できなくなっているという事も分かりました。
子どもさんもいらっしゃるという事ですけれども全体としてどういう年齢の方が発症するんですか?今回の調査では小学生から80歳代までの方が調査の対象となりまして平均が42歳代とちょうど働き盛りの人に多い状況でありました。
大変ですよね。
今度はまた重症の方のお話なんですけども「家事で悪化する」ですね。
これも今回の調査で明らかになった事の一つであります。
働けない人が多いため当然家にいる事が多くなりますので家事についてお聞きしましたところ家事をしたあとに症状が悪化する人が重症の方では99%に上っておりました。
これどういう事を表してるんでしょうか。
患者さんにとりましては料理や洗濯掃除などが非常に困難な大変な作業であるという事を示しているものと思います。
そして慢性疲労症候群は…中等度重症の患者さんの多くは家事を含めて日常生活をご家族や介護する人の支援に頼らざるをえない状況にあるという事が分かりました。
そういう場合難病に指定されたりはしないんですか?現在のところはまだ指定されておりません。
公的な支援等につきましては今後の大きな課題と考えます。
5番目まで伺ってまいりましたが今度は本当に皆さん困ってらっしゃると思うんですが「困っていること」ですね。
困っていることをお聞きしましたところ……というところは大きくお答えになっているポイントでありました。
専門医がいないという事が2番目で2人に1人の方が答えてらっしゃるんですがそういう意味でこの病気を疑われた場合どういう所を受診したらいいんでしょうか?この科に行けば必ず診断してくれるという専門科がある訳ではないのですが調査では疲労外来やストレス外来といった所にかかっている人が多い傾向にありました。
疑わしい場合に手がかりとしてこうした外来を受診されると相談できる可能性が高いと思われます。
あるいは総合診療科や内科などで相談できる医師がいるという事も明らかとなっております。
総合診療科や内科でも一部相談できる医師がいらっしゃるという事ですね。
是非疑わしいと思われた場合にはご相談されるといいと思います。
治療ですけれども治療はどんなふうに行われるんですか?まだ残念ながら確立した治療法はない現状にあります。
例えば治療薬の開発などは病気の原因と病態などが明らかになるまでは待たないといけないというふうに考えます。
今回の調査からも言える事は休養は症状の緩和に役立つ。
そしてまた体を温める保温という事も症状の緩和に役立つという事が分かりました。
一方で運動療法に関しましては重症の人では症状を悪化させる事も多いために行わない方がいい。
ただし症状がよくなってくる回復期にはこうした運動療法が有効であるという報告もございます。
これを見ますと運動療法一つ見ても時期によって悪化させる場合それから有効な場合と分かれますよね。
先ほどのお話でとにかくまだ治療が確立していないという事で早く確立してほしいと思うんですけどもね治療法。
今年度から始まった厚生労働省の慢性疲労症候群の研究班がございまして私もそのメンバーですけれども3年後の治療ガイドラインの策定を目指して今後進んでいくものと思われます。
3年後のガイドラインの策定を目指してらっしゃる。
統一したガイドラインができれば医師がそれを使って治療や診断を行いますので病気を診察してくれる医療機関が増えていくという事になると思います。
今日お話を伺って改めてこういう病気があるという事を知りましたし本当にずっと横になっていなければならない重症の方が30%もいらっしゃるという事を知った訳なんですけれどもそういう意味で早めにガイドラインも含めていろいろ対策が確立していくといいと思うんですけどいかがですか?おっしゃるとおりで一刻も早くこの診断と治療のガイドラインを策定して全国津々浦々どこででも同じような医療診療が受けられる体制が確立されるのが望まれると思います。
今日はメディカル情報としまして慢性疲労症候群の最新調査についてお伝え致しました。
お話は聖マリアンナ医科大学の遊道和雄さんでらっしゃいました。
本当にどうもありがとうございました。
「きょうの健康」今日はこちらで失礼致します。
2015/07/20(月) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 メディカルジャーナル「慢性疲労症候群 最新調査」[解][字]

厚生労働省の最新調査で慢性疲労症候群の患者251人を調べた結果、1日の半分以上横になっている重症の患者が3割いて、厳しい状況に置かれていることが明らかになった。

詳細情報
番組内容
厚生労働省の最新調査で全国の慢性疲労症候群の患者251人を調べたところ、1日の半分以上横になっている重症の患者が3割いることが明らかになった。重症患者では、95%の人が働くことができず、99%の人が家事をするだけでも症状が悪化するという厳しい状況に置かれていることがわかった。慢性疲労症候群は筋痛性脳脊髄炎とも呼ばれるが、重症患者では脳に炎症が起きていることがわかった。調査を行った専門家に聞く。
出演者
【講師】聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター長…遊道和雄,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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