Updated: Tokyo  2015/07/22 00:41  |  New York  2015/07/21 11:41  |  London  2015/07/21 16:41
 

東芝:利益の修正額は7年で1518億円、組織的関与認定-第三者委 (2)

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  (ブルームバーグ):不適切会計が発覚した東芝 の税引き前利益の要修正額は2014年第1~3四半期までの約7年間で1518億円だった。第三者委員会が報告書をまとめ、田中久雄社長や佐々木則夫副会長ら経営首脳を含む組織的関与があったと結論付けた。発表を受け、21日の株価は上昇した。

同社が20日、第三者委から報告書を受け取り、概要を公表した。調査期間は09年3月期から14年1~3四半期。再発防止に向け第三者委は、関与者の責任の明確化と懲戒などを提言した。第三者委が調べた範囲以外で、同社の自主調査に基づき44億円の修正が必要となる。同社は21日に全文を公表し、田中社長が同日午後5時から記者会見する。

東芝の不適切会計問題は4月に発覚。5月に委嘱した弁護士や公認会計士で作られた第三者委員会が規模や原因を調査していた。東芝は問題を受けて前期(15年3月期)の決算報告を延期しており、上場維持のため、8月末の期限までに有価証券報告書を提出する計画だ。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、発表で修正額が示されたことで、「これ以上の売り材料はないという意味で短期で取引をする投資家が買い戻している」と分析。東芝は会社の風土や文化を変えなくてはならず、日産自動車のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)のように、外部から経営者を招くことになるだろうという見通しを示した。

株価は一時、前営業日比5.8%高の398.6円となり、5月14日以来、2カ月ぶりの日中上昇率となった。午前9時24分現在は同3.4%高の389.7円。

目標必達のプレッシャー

第三者委は不適切会計が発生した原因として、経営陣の「当期利益至上主義と目標必達のプレッシャー」があったと断定。同時期に多くの部門が関わっていることから、不適切会計は「経営判断として行われた」と記載した。また取締役会や監査委員会も機能せず、問題を防止できなかった。

東芝は9月下旬に臨時株主総会を開催し、決算報告と新取締役を選任する。今回の問題を受けて社外取締役を増員し、企業統治体制を強化する方針だ。6月の株主総会では現取締役16人を暫定的に再任した。

問題発覚直前の4月3日の終値は512.4円だった。7月17日の終値は376.8円となり、問題発覚後、26%下落した。

田中氏は副社長などを経て、13年6月に社長に就任。収益体質の強化を掲げ、テレビ事業やパソコン事業の構造改革に手を着けた。佐々木氏はリーマンショックの影響で営業赤字を計上した直後の09年6月に社長に就任し、田中氏に社長を引き継いだ後は副会長となっていた。

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記事に関する記者への問い合わせ先:東京 天野高志 tamano6@bloomberg.net;東京 Pavel Alpeyev palpeyev@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Michael Tighe mtighe4@bloomberg.net 中川寛之, 淡路毅

更新日時: 2015/07/21 09:41 JST

 
 
 
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