中江有里です。
今日のテーマは…私たちがふだん話したり書いたりする事つまり表現には脳が関わっていますよね。
今日は少し趣を変えて表現を科学の目で考えていきます。
(2人)かもめんたるです。
はい。
脳。
脳のはたらきとかすごく興味ありますね。
不思議だよね。
脳がどういうはたらきをしてこういう格好にたどりついたのかっていう…。
うるさいわよ。
いいのよ。
不思議です。
私もいろいろ考えてこういう格好してんの。
みんな!みんなの脳はちゃんと活発に動いてるか?
(一同)動いてます。
(岩崎)よし。
石垣先生どうぞ。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
脳と国語表現具体的にはどんな関わりがあるんでしょうか。
その解く鍵はことばにあります。
私たちは見たものや感じた事をことばで表します。
その時脳の中では一体何が起こっているんでしょうか。
今日はその事について考えてみたいと思います。
それではここで実験してみましょう。
さて僕が今着けてるネクタイ…。
(生徒一同)え〜。
覚えてるよな。
俺の今日の柄。
なあ秀太朗一番近くで見てたもんな。
はい。
え〜っと…。
青色だった印象があります。
真っ青のネクタイ?だったかな…。
(岩崎)う〜ん。
じゃあ萌弥。
(萌弥)はい。
(岩崎)女性はね見てるよね。
俺のねネクタイとかね。
まあ…はい。
え〜っと…。
紺に何かいた…。
(岩崎)いた?何かが…。
いたら教えて。
何かいたんですよ。
いっぱい。
(岩崎)模様があった?はい。
じゃあ正解見てみましょう。
正解はこちらです。
(一同)あ〜。
いや〜でも意外と記憶に残っていないものですね先生。
はい。
皆さんほとんど覚えていなかったですね。
覚えていないので当然表現する事はできません。
そこで最初の演習は…最初の演習に使うのはこちらの写真です。
これは仏像の写真ですね。
この写真を見て感じた第一印象をキーワードにしてみましょう。
(槙尾)考え事してるみたいな…。
そうですね。
(槙尾)制限時間は10秒とさせて頂きます。
じゃあ…。
10秒だけ見るんだよ。
さあもう始まりました。
ちゃんと受け取って。
はいそこまで。
はい終わり。
イメージをキーワードに表す事でどんな効果があるのでしょう。
では発表してもらいましょう。
じゃあ宏紀。
(宏紀)はい。
(槙尾)あ〜。
これはタイトルですね。
もうね。
そうです。
何かキーワードですね。
考え事してるっていうか…。
あれが美術館に飾ってあってタイトルが「うわの空」っていったらそういう事なんですねって何か納得しそうな気がするよ。
(笑い声)すぐ見た瞬間に「物理の時間こうだな〜」とか。
物理なんだ。
(萌弥)物理ですね。
「国語表現」は違うね?国語はもうばっちりです。
みんなさっきの仏像の写真は覚えてますか?
(一同)はい。
やってますね。
やっぱりね岩崎さんのネクタイの時と違ってみんなしっかり覚えてますね。
そうだね。
はいそれはキーワードにするというプロセスがあったからなんです。
イメージをキーワードにするのに脳のはたらきがあるんですね。
はい。
脳のはたらきを見てみましょう。
私たちの脳は右脳と左脳に分かれています。
イメージをキーワードにする上では右脳と左脳が一緒にはたらきます。
(理乃)言葉の…。
(一同)言葉のプロに聞いてみよう。
脳の研究の中で言語言葉に注目されたというのはどうしてなんですか?やっぱり人間の一番基礎にあるのが言葉であり言語なんですね。
だからやっぱり人間が何が一番大切かっていうとやっぱり言葉を使えるというところなんでしょうね。
だから逆に言葉がどうなってるか脳で分からなければほかの機能を見ても結局それが言葉とあまり変わらないかもしれない訳です。
例えば赤いリンゴを見てもそれは確かに赤いリンゴだとか甘酸っぱいとかいろんな記憶も駆け巡るんですけどやっぱり「ああこれはリンゴなんだ」という時点でもう言葉になってしまいますね。
我々はあらゆるものを目にしてもしくは耳に聞こえたりした時にそれを言語にして理解している事を考えるときっかけはやっぱり言語ですね。
それからそれを外に表出するという今回表現というのが話題になってる訳ですけどそうすると当然ながらいかに自分で言葉にしていくのかという事がきっかけになりますね。
だからやっぱり人間の脳をやる上では言葉は決して避けて通れないという一番大切な部分。
言葉を使う事そしてそれを考える事ですねこれは人間の特質っていわれていますけれどもそれは脳の中でどんなふうにつくられているんですか?恐らく我々言葉を話す時にそれほど言葉の使い方自身は意識しないと思うんですが一番それが意識されるのは例えば外国語を話さなきゃいけない時でしょうね。
ボキャブラリーだけではなくて文章としての意味というものを一回あらかじめ考えた上でそれを組み立てていくというプロセスが必要ですね。
おっしゃるとおりですね。
英語に置き換えた場合は日本語と組み立て方が違いますから…。
ええ。
ですから言葉の表現というふうになった時点で我々は本当に瞬時にそこを考えて実はうまく組み合わせて構成していくんですね。
つまりどんな単語を使うのか。
それをどう効果的に並べるのか。
もちろん文法的にかなった並べ方が必要ですしそれが全体として意味をなさなくちゃいけないですし…。
ですから非常にそういう意味では思考と切り分ける事が難しいくらい言葉というのは脳の中であらゆる事を総動員してやっているという感じでしょうね。
人が表現する事にどんな魅力があるというふうにお思いですか?ああなるほど。
やっぱり脳というのは自分で何か相手に伝えたいと思うんでしょうね。
つまり脳っていうのは自分で自立して動く事もできますがやっぱり他者にそれを何か分かってもらいたいと。
そうした時に脳が持っている心の状態を相手になんとか伝えようとするのが表現であり言葉なんですね。
東京・巣鴨で聞きました。
ある音から思い浮かんだイメージを絵とことばに表してもらいました。
2人に出した音は…何て言うか鐘が鳴ってると夕方とかそういうイメージなんで夕日とかそういうのを連想しました。
新年初詣。
そのままなんですが初詣でイメージが湧きました。
お母さんと娘さんに出した音は…踏切。
カンカンカ〜ン。
踏切の下りる音…。
で電車が通ってるところです。
瓶と瓶をたたいた時にカンカンって鳴らす音です。
(母)あ〜瓶と瓶は思いつかなかった。
ご夫婦に出した音は…水道。
ポタポタポタ。
ありきたりかな?同じです。
ただイメージ的には学校の洗面台みたいな。
並んでる感じですね。
(妻)あ〜絵心全然違う。
後半の演習は…さて皆さんには2組に分かれてもらいます。
秀太朗君と宏紀君と茉愛羅さん。
後ほどという事で。
はいでは残った3人の方には今から絵を見てもらいます。
そしてそれを文にしてもらいます。
見てもらう絵はこれです。
はいでは制限時間20秒です。
用意スタート。
しっかり見て下さいね。
じ〜っと見てますね。
(岩崎)はいそこまで。
(一同の笑い声)そんな…そんな厳密に…。
絵から受けたイメージをまずキーワードにします。
更にそれを基にして文章をつくります。
(槙尾)おったくさん出てるね。
そうか…。
大好きな人とのデートって捉えた訳だ。
(萌弥)はい。
(岩崎)恋人って事だね。
(萌弥)はい。
恋人と。
まずキーワードはこれだよね。
(佳波)はい。
(槙尾)そしてそこからつくった文章が…。
これやっぱり人は2人なんだ。
恋人同士なんだ。
カップル。
さあ圭祐。
(圭祐)はい。
キーワードはどれになるの?
(圭祐)キーワードは閉園です。
(岩崎)閉園ね。
ああ…。
人とかは特に見えなかったんで。
人いたよでも。
でも面白いかもね。
女性2人はカップルの別れ際っていう捉え方をしてたのにただ閉園として…。
どんな文章が出来たでしょうか。
まずは萌弥さん。
続いてかなみんさん。
最後は圭祐君。
脳の中では言語を使う時場所によって単語や文法などの役割が決まっています。
文章からイメージをふくらませる時は脳のはたらきに加えて記憶という過去の経験や体験が大きな役割を担います。
今度は生徒が入れ代わります。
交代した3人には残されたキーワードと文章を基に絵を描いてもらいます。
どんな絵になるのでしょうか。
では一斉にオープン!
(槙尾岩崎)お〜!秀太朗君はこんな絵になりました。
この絵を描く時にどのキーワードが一番引っ掛かったとかある?やっぱり印象が一番受けたのが…
(秀太朗)やっぱり夕焼けと遊園地ってすごい想像しやすい場面なのでそこから描き始めました。
そのあとにカップルにシルエットとか付けてさみしさも加えてみようかなって思って…。
(槙尾)宏紀君見てみましょう。
宏紀君はこんな絵。
最初に遊園地っていうのでまず楽しいんだろうなっていうイメージがあって…。
で夕日がやっぱりすごいイメージが浮かんだんですけど…。
でドキドキするっていうのもすごい印象に残ってて。
で最後にもう終わっちゃうからさみしいっていうのですごい思春期っていうか初々しい恋みたいなイメージをすごい受けたんで…。
(槙尾)自分としてはどういう所がポイントですかね?そして茉愛羅さん。
遊園地と夕焼け沈むと風船っていうワードで私は親子が浮かんだので…。
何て言うんだろう。
これはお父さん目線で子供が遊園地楽しんだっていったら気が緩んじゃって風船が手から離れちゃうっていう感じを私は表したかったので…。
(槙尾)圭祐の文章を見てさ何か思った事とか…。
圭祐君の文章はカップルとかがなかったので…。
ほかの2人に比べてなかったね。
(茉愛羅)でも一番好きなのは「風船が左上に飛んでいる」じゃなくて「いく」っていう感じの表し方が好きです。
本当にね文章から絵を想像するというのは難しいですね。
随分楽しませて頂きましたが…。
だからこそふだんからさまざまな表現に触れておく事がとても大切ですね。
いろんな映像を見たりまた本を読んだりというそういった経験や体験というのが記憶となって表現に結び付く訳ですね。
はいそのとおりです。
「三人寄れば」。
(2人)「文殊の知恵」。
皆さんどうでしたか?じゃあ秀太朗君。
はい。
ことばっていうのがすごい大事だなと思いました。
やっぱりあの絵を見ただけだと絶対にこの絵に表せないなと思ったんですけどでもやっぱりことばがある事によって印象をすごい受けられたのでとても面白かったです。
似たようなことばで表されていてもそれぞれの経験によって全然違う絵が描かれていたのでこれからもそういう経験をちょっと意識しながら過ごしていきたいなと思いました。
同じような絵を見てそのことばから自分がどこをイメージするかっていう事でも随分変わってきますよね。
かもめんたるの2人いかがでしたか?そうですね私も改めてこの人の脳のはたらきちょっとおかしいんだなと思いましたね。
僕もことばで伝えてそれを絵にしてもらうっていうのでその人の人間性とかを知れる気がしたんでこれから会う人にはそのテストをして自分とつきあうのにふさわしい人間かどうかを…。
随分上から目線ですよね。
(槙尾)本当よ。
これでみんなも「大脳と表現すること」の達人じゃ〜。
じゃ〜。
それではみんなさよなら〜。
(生徒一同)さよなら〜。
イメージに関係する右脳とキーワードに関係する左脳…
(礼央)僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
2015/07/21(火) 14:10〜14:30
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 国語表現「大脳と表現すること」[字]
読む、書く、聞く、話す。あらゆる教科で必要な表現の基礎力を養います。ユニークな演習や様々な分野で活躍する表現の達人へのインタビューで、表現のコツを学びます。
詳細情報
番組内容
私たちが物事を考えるときには、言葉を使って考えている。同じように物事を認識し表現するときには、映像や音声を頭のなかで置き換えている。そのとき私たちの脳では何が起こっているのだろうか。大脳と表現の関係について知る。【出演】中江有里、かもめんたる【ゲスト】酒井邦嘉【講師】石垣明子(つくば国際大学)
出演者
【講師】つくば国際大学教授…石垣明子,【ゲスト】東京大学准教授…酒井邦嘉,【司会】中江有里,かもめんたる,【出演】モーガン茉愛羅,遊馬萌弥,佐奈宏紀,薗佳波,斉藤圭祐,吉田秀太郎,【語り】田中杏沙
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格
バラエティ – その他
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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