ロンリのちから「仮説形成」 2015.07.21


イメージに関係する右脳とキーワードに関係する左脳…
(礼央)僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
「それ」とはゆがみのない真理。
明快で合理的な思考。
考えを伝えるための強力な武器。
今こそ手に入れよう。
第7話…
(杏奈)やっぱり部室にあった。
あっ…。
(マリー)どうしたの?シナリオが荒らされてる。
(礼央マリー)えっ?これって演出や撮影のアイデアだよね。
「ロングショットを多用」。
「ジャンプカットでつなぐ」。
「シャローフォーカスでマクガフィンを置く」って専門的な事ばかり。
すごい。
僕には難しくて半分も分からないよ。
私全然分かんない。
みんなは?ちょっと準備があるんで…。
という事は僕たち映像部以外の生徒がやったって事?それはありえない。
だって鍵をかけておいたもの。
じゃあ犯人は鍵を自由に使える人物。
そして映画に詳しい。
溝口先生…。
溝口先生の字はこんなに汚くないよ。
わざと汚く書いたのかも。
そうね。
溝口先生より映画に詳しい先生はいない。
これは密室のトリックだね。
つまりこうだよ。
杏奈がいる時に犯人はそっと入ってきた。
そして物陰に隠れている。
そのままこの部屋にいて書き込みをする。
そして僕たちがシナリオの書き込みに驚いている時にそっと出ていく。
(ドアの開く音)
(3人)溝口先生!
(溝口)続けて。
う〜ん…。
礼央が言うような可能性は考えられるけどそこまでしてシナリオに書き込みをする動機が分からない。
面白いわねえ。
あなたたちが今やっている事は仮説形成というの。
(3人)仮説形成?仮説形成とはある事柄に対して…だけど仮説はまだ仮の説にすぎない。
だから仮説を立てたらその仮説が正しいかどうか検証しなくてはいけないの。
あなたたちに有名なエピソードを紹介してあげるわ。
19世紀のウィーンの病院。
ここには第一病棟と第二病棟があってそれぞれでお産が行われていた。
ところが第一病棟の方が第二病棟よりも産後の母親の死亡率が高かった。
それはなぜか。
(マリー)謎が現れた。
謎に対する仮説は通常複数考えられる。
だから想像力を膨らませてさまざまな仮説を考えていくの。
う〜ん…例えば医療設備とか環境の違いが原因かしら。
第一病棟の方が死亡率が高いって評判が立ってそれがお産をする人に不安を与えたとか。
第二病棟の医者はベテランなので第一病棟の医者の方が新米だったのかも。
いいわね。
仮説を考えたらそれを検証していきましょう。
私が立てた「環境の違い」という仮説はどうかしら。
当時もそれが疑われたわ。
だけど調査した結果大きな違いは見いだされなかった。
じゃあ「不安を与えた」という仮説は?それが大きな死亡率の違いにつながるのかな。
そうね。
少し無理があるわね。
「医者の経験の違い」というのはどう?でもね死亡率が高い第一病棟では医者が出産を担当し死亡率が低い第二病棟では医者に比べると医学の専門知識を持たない助産婦が担当していたの。
え?医者が担当した方が死亡率が高かったの?そう。
そこに新たな謎がありそう。
医者と助産婦の違い。
医者はお産以外にもいろいろな病気を診る。
何か関係ないかな。
いいところに気が付いたわね。
第一病棟の医者は解剖などもしていたのよ。
しかも当時は病原体という考え方も感染という考え方もなかったから消毒もきちんとしなかったの。
院内感染だ。
そこで消毒を義務づけたら死亡率が減少した。
仮説が検証された。
これは当時その病院の医者だったゼンメルワイスという人が実際に行った仮説形成よ。
あなたたちのシナリオ書き込み事件もこんなふうに考えていくの。
よし。
私たちも仮説形成でにっくき犯人を必ず見つけてやる。
まず謎を説明する仮説を立てるんだよね。
最初に映像部以外の生徒がやったという仮説が出された。
仮説を立てたら検証しないと駄目だよね。
でも部室には鍵がかかっていたし映像部以外の生徒は部室の鍵を自由に使えない。
そこで密室のトリック。
…も不自然でありそうにない。
だから映像部以外の生徒という仮説は否定される。
次に犯人は鍵が自由に使えて映画に詳しい人物だという仮説が立てられた。
その仮説が正しいとすると犯人は溝口先生しかいない。
だけど溝口先生の字はあんなに汚くない。
とするとこの仮説も否定される。
ここで行き詰まったんだよね。
ではその仮説のどこが間違っているのかそこを修正する新しい仮説はない?鍵が使えて映画に詳しい人物が書き込みをしたっていう仮説が否定される…。
でも映画に詳しくなければあんな書き込みはできないし鍵が使えなければ入れない。
あっ…。
何か思いついた?1人じゃないかも。
えっ?鍵を持ってる人と映画に詳しい人が別々で2人。
鍵を使える先生が映画に詳しい誰かを連れてきた。
なるほど。
複数犯人説か。
そんな事をしそうな先生は…。
やっぱり溝口先生しかいない!あっ!紹介するわ。
転校生の新井波さんよ。
(3人)転校生?
(波)新井波です。
よろしく。
私映像部に入って監督と役者をやろうと思っています。
ちょっと待って。
いきなり監督って…。
もちろん次回作で構わない。
あっ溝口先生。
これ入部届。
書き込んできました。
これ君が書いた字?あなたが勝手に私のシナリオに書き込みをしたの?さっき溝口先生に入部届をもらいに来た時部室も見学させてもらったのよ。
そしたら台本が置いてあって惜しいところがあったからアイデアを書いといたわ。
それじゃあ今日はこれで。
ちょ…ちょっと待って。
何か…すごいのが来たね。
でもきれいな子だなあ。
「でも」って何よ。
なに?あの子。
私絶対負けない。
あの子の父親は私が昔お世話になった映画監督。
彼女の映画に対する知識は父親譲りよ。
これでマリーの仮説は完全に検証されたわね。
やった!大金星!何よ単純に喜んでるけど何だか…。
でも仮説形成って面白いね。
ミステリーファンとしてわくわくする。
謎を解く時こそ論理的に考えていかなくちゃいけないんだね。
確かに仮説形成はシナリオにも使えるし自分の考えを整理する時にも使えそう。
だけど…。
あっ。
あの子何か落としていった。
赤ちゃんのおしゃぶり?何の意味が…。
全く分かんない。
仮説すら思いつかない。
先生これは…。
仮説を思いつくかどうかは発想力の問題。
だから論理だけではどうにもならないわ。
言うなればこれは「ロンリの無力」ね。
(アリス)ねえねえウサギさん。
仮説が正しいかどうかはどうやって確かめるの?
(ウサギ)その仮説が正しいとどうなるかを予想してその予想のとおりになるかどうかを調べるのさ。
やってみるかい?ここはどこ?鏡の国かな?本当に?ここが鏡の国だっていうのはまだ仮説さ。
だから仮説を確かめるのさ。
予想するのね。
もしここが鏡の国ならきっといろんな事があべこべになってるはず。
御飯を食べるとおなかがすくしネズミが猫を追いかける。
じゃあこの井戸に飛び込んだら…。
落っこちないで上に飛び上がってくはず。
(2人)せ〜の。
あ〜れ〜!
(チェシャ猫)ほかの事もあべこべかどうか調べなくちゃいけないのにいなくなってしまった。
(ヤマネ)ヒヒヒ…。
(チェシャ猫)うわ!ヤマネだ逃げろ〜!生き物の不思議を解き明かす「生物基礎」へようこそ。
2015/07/21(火) 14:30〜14:40
NHKEテレ1大阪
ロンリのちから「仮説形成」[字]

論理的思考力を養う番組です。毎回、簡単な例文を題材に、論理的に考えるとはどういうことかを学んでいきます。今回は「仮説形成」について学びます。

詳細情報
番組内容
カギをしめていたはずの部室に置いてあった台本に何者かが書き込みをしていった。憤る部員たち。先生は、考えられる「仮説」をたててそれを一つ一つ検証していくことを促す。今回は、ある事実を説明するために、それを最もよく説明する原因を考えていく「仮説形成」について学ぶ。【出演】緒川たまき、大場はるか、山崎紘菜、植田慎一郎、仁村紗和
出演者
【出演】緒川たまき,山崎紘菜,大場はるか,植田慎一郎,仁村紗和

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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