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安倍晋三首相がフジテレビで安保持論を異例の90分

日刊スポーツ 7月21日(火)10時10分配信

 安倍晋三首相は20日、フジテレビ系の報道番組に出演し、今国会中の成立を目指す安全保障関連法案について、自分で持ち込んだ模型を使って説明に追われた。分かりやすさを強調しようと「攻撃」を振り込め詐欺や火事にたとえる、現実感に欠けた説明も。「支持率だけのために政治をやっているのではない」と、述べる場面もあった。出演枠は、1つの報道番組としては異例の90分。多くの時間が、首相の主張に割かれる形になった。

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 首相は、フジテレビ系「みんなのニュース」に生出演した。自身が考える法案の意義が、国民に理解が広がらないジレンマが背景にある。「テレビに出(て説明し)たいが呼んでくれない」とぼやいていたが、フジ側の打診で出演が実現。午後4時50分ごろから90分に及ぶ枠で持論を展開した。

 「戦争法案とか徴兵制とか、全部間違っている」と主張し、野党に「軽い」と批判された、集団的自衛権限定容認の「たとえ話」を、この日も多用。「かつては雨戸だけ閉めておけば家の財産を守ることができたが、今は振り込め詐欺の電話もかかるし、自分の口座から(現金が)電子的に取られてしまう事態にもなっている」と指摘。「攻撃」例に、振り込め詐欺など犯罪を引用した。

 スタジオにジオラマ(模型)も持ち込み、米国が攻撃を受けたケースを「米国家という母屋」に火を付けられた火事に例示。米国家の離れや「日本家」に火が移るケースを、煙火を思わせる赤黒い綿菓子状の装飾を用いて説明。「自分の家が火事になるかもしれないのに、何もしなくていいのか」と理解を求めたが、真正面からの説明には遠かった。

 冒頭ではFNN世論調査で、内閣支持率が39・3%に落ち込み、不支持が52・6%に達したことが発表された。報道各社で同様の結果が発表されているが、首相に近いとされる同局グループでも不支持が支持を上回り、首相は「厳しい数字だ。法案への理解が進んでいない中、こういう結果になっている」と述べた。

 支持率低下に関して、漫画家やくみつる氏に「このまま進むと裸の総理になってしまう」と、漫画で指摘されると「支持率だけを大切にするなら、こういう法案を通そうとは思わない。支持率のために政治をやっているのではない」と反論。「その(支持率)ための政治をやるなら事実上、人気だけを目当てにした政権になる」と息巻いたが、「国民の理解が進んでいないのはそのとおりだ。努力を進めたい」と矛を収めた。

最終更新:7月21日(火)16時28分

日刊スポーツ

安倍晋三

安倍晋三(あべしんぞう)
所属院 選挙区 政党:
衆議院 山口県4区 自民党
プロフィール:
1954年9月21日生 初当選/1993年 当選回数/8回