≫僕が十月の二十七日に出した手紙見てくれましたか。
君から返事がないので毎日毎日心配で心配で、ぢつとして居られない。
もしかしたら病気ぢやないのかと思ふと夜も眠れない。
恋しくて恋しくて、早く會
(あ)はないと僕は何も手につかない。
今夜の幕開きは八代亜紀さんです
生字幕放送でお伝えしています≫あなたの心に名曲を。
7月23日は「ふみの日」です。
そこで今夜は「手紙で綴る愛の名曲集」をお楽しみいただきます。
本日ご出演の皆さんです。
どうぞよろしくお願いいたします。
そして、すてきな手紙の朗読はこの方。
大竹しのぶさんです。
最後までよろしくお願いいたします。
八代亜紀さん、最近はなかなか筆を運んで自分で手紙を書くという機会少なくなってきましたよね。
≫そうですね。
最近はメールだから。
シュッてくるから。
一瞬でしょ。
でも便利とはいえ、自筆で手紙を書くそのぬくもりはやっぱり忘れてはいけないなと思います。
≫届くまでの時間というのもね。
≫ドキドキすることが大事だと思います。
≫愛の手紙だといいますと氷川きよしさん、ラブレターはずいぶんもらっていらっしゃいますよね。
≫いただきまして本当にありがたいことです。
≫あまたあるラブレターの中でも人生で一番最初にもらったラブレターの思い出は?≫16歳のときです。
≫どんなラブレターだったんですか?≫好きですというふうに書いてくださって。
それは返事をさせていただいて。
今でも大切に保管をして。
その方の真心が込められているので大変にありがたいことです。
≫大事な思い出ですね。
今夜ご紹介する手紙は東洋、西洋を問わず歴史上の有名な人物はもちろん無名ながらも人々の心に語り継がれるそんな心打つラブレターの数々です。
一番最初にご紹介したのが小説「雪国」それから「伊豆の踊子」などで知られますノーベル賞作家の川端康成が書いた恋文です。
今度は、この方です。
昭和を代表する劇作家寺山修司が、まだ駆け出しのころ当時、大変人気のあった女優と恋に落ちたんですね。
後に妻となるその恋人に送ったラブレターです。
≫仕事はうまくいってますか?僕のほうは少し落ち着いて勉強しています。
東京は雨がちで急にさむくなったようです。
帰ってきたらクラブへ行こう。
帰ってきたらドライブしよう。
帰ってきたらがしんたれ観
(み)にいこう。
帰ってきたら谷川夫妻と食事しよう。
帰ってきたらしたいこと一杯
(いっぱい)ある。
立てたい計画も一杯ある…。
これから毎日手紙かくつもり。
遊びすぎないこと。
お元気で。
≫映画「七年目の浮気」やセクシーなモンロー・ウォークで知られる女優マリリン・モンロー。
世紀の大女優が当時のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディに送ったラブレターです。
≫恋人たちにため息を。
バラは咲き、音楽が流れる。
唇と瞳に燃えるような情熱を。
喜びにあふれた世界は回る。
太陽よ、大空いっぱいに輝きを。
あなたを愛させて、さもなければ死を!「恋人よ」五輪真弓さんでした。
≫続いてご紹介するのは戦争で亡くなった夫へのラブレターを毎日したため続けていらっしゃるという妻の物語です。
≫福岡県糸島市に住む大櫛ツチヱさん、94歳。
70年前に戦争で亡くなった夫へ去年、手紙を書き始めました。
≫ツチヱさんと夫の仁九郎さんは昭和16年に結婚しました。
結婚生活は僅か1年と2か月。
仁九郎さんは戦争にとられそのままニューギニアで戦死してしまいました。
≫貴方
(あなた)!ラジオから流れる音楽。
「窓を開ければ…港が見える」懐かしい曲が流れてきます。
あの頃
(ころ)貴方とよく歌いましたね。
マリネラ夜のタンゴ蘇州夜曲湖底の故郷口ずさむと貴方と一緒にいるような思いに包まれます。
休みの日の午後、部屋の窓辺で貴方の肩に凭
(もた)れて過ごした時間…。
いま、貴方の優しい眼差
(まなざ)しに見守られているような幸せを感じています。
≫昭和32年タロとジロの物語で知られる日本初の南極観測隊が極寒の南極大陸で越冬していました。
過酷な状況の中で隊員たちの何よりの楽しみは家族からの電報でした。
ただし、当時電報はとても高価で長い電文を送るのは経済的に厳しいものでした。
そういった中、1人の隊員に妻からの電報が届きました。
それは、妻が夫の身を案じ深い思いを託したたった3文字の電文でした。
「ア・ナ・タ」。
≫「智恵子抄」で知られる近代の日本文学を代表する詩人・高村光太郎。
貧しい中でともに芸術を追求しやがて病に侵された妻智恵子への純粋な愛情。
光太郎は愛する妻を大きな優しさで包みあふれる思いを詩に託しました。
「智恵子抄」より。
≫あなたはだんだんきれいになるをんなが附属品をだんだん棄
(す)てるとどうしてこんなにきれいになるのか。
あなたが黙って立ってゐるとまことに神の造りしものだ。
時々内心おどろくほどあなたはだんだんきれいになる。
「やさしさに包まれたなら」クリス・ハートさんでした。
≫今夜は「手紙で綴る愛の名曲集」をお送りしております。
ここまで朗読を務めていただきました大竹しのぶさん本当にありがとうございました。
いろんなラブレターをご紹介していただきましたが中でも、一番印象的なのが南極越冬隊。
≫たった3文字なのに愛がいっぱいあふれていて。
≫「ア・ナ・タ」。
≫たったそれだけなのにすてきですね。
≫実は後日談があるんですけどもう1通、妻から夫に電報が送られましてその文面を用意しました。
こちら、ご披露いただいてよろしいでしょうか。
≫「プンプン」。
≫1文字増えて、「プンプン」。
カタカナで「プンプン」。
実は夫が南極でお酒でトラブルを起こしたときにコラ!という思いを込めてこの文面「プンプン」というのが送られたそうなんです。
≫コラ!だったらもっと短かった。
≫ですが、この4文字に込められた思いというのが2人の愛の深さだったんだと思います。
森進一さんは、どんな手紙が印象に残りましたか?≫戦後70年の戦争で亡くなった夫のことをずっと思い続けている方の話。
胸にグッときましたね。
最後におっしゃった私、若くなるの。
あれがかわいかったですね。
≫氷川きよしさんも、ちょっと涙ぐんでいらっしゃいましたね。
≫ご主人を近く感じるとおっしゃっていた言葉がジーンときて、感動しました。
≫その思いを込めて歌っていただきました。
では、大竹さんにはここまで手紙を読んでいただきましたが歌もご披露いただけるということでどんな思いを込めて今日は歌っていただけますか。
≫振られちゃった女の人の悲しさ。
1人で生きていくぞみたいな。
≫それでは、中島みゆきさんの手による切ないラブソングをお届けしたいと思います。
「かもめはかもめ」大竹しのぶさんでした。
≫森進一さんは時折瞳を閉じながらお聴きになってましたが。
≫やっぱり、女優さんですからね私たち歌手とはちょっと表現というか味が違いますよね。
すばらしかったです。
≫ありがとうございます。
それでは、今度は皆さんの話題の曲を思いを込めて歌っていただきたいと思います。
3曲続けて、どうぞ。
荒波迫る怒とうの海を意地と度胸で乗り越えていく命を張った人生航路氷川きよしさんこん身の男演歌です
愛する人は、お前だけ増位山太志郎さんが甘い歌声で魅了します
不器用といわれようと言い訳をせず自分らしさを貫いた人生
ここでお知らせです≫大竹しのぶさんありがとうございました。
≫ありがとうございました。
楽しかったです。
≫そして本日ご出演の皆さんありがとうございました。
次回もお楽しみください2015/07/21(火) 20:00〜20:43
NHK総合1・神戸
NHK歌謡コンサート「手紙で綴(つづ)る 愛の名曲集」[字]
テーマ「手紙で綴(つづ)る愛の名曲集」出演:五輪真弓、大竹しのぶ、クリス・ハート、柴田淳、新沼謙治、氷川きよし、増位山太志郎、森進一、八代亜紀
詳細情報
番組内容
今回は、女優・大竹しのぶの手紙の朗読とともに名曲の数々を紹介。取り上げる手紙は川端康成、寺山修司、マリリン・モンローといった著名人から、戦争で亡くなった夫にあてたラブレターを毎日つづっている94歳の女性まで多岐にわたる。八代亜紀「愛の終着駅」、五輪真弓「恋人よ」、新沼謙治「嫁に来ないか」、氷川きよし「別れのブルース」、柴田淳「あなた」、クリス・ハート「やさしさに包まれたなら」ほか。
出演者
【出演】五輪真弓,大竹しのぶ,クリス・ハート,柴田淳,新沼謙治,氷川きよし,増位山太志郎,森進一,八代亜紀,【司会】高山哲哉,【演奏】三原綱木とザ・ニューブリード,東京放送管弦楽団
ジャンル :
音楽 – 歌謡曲・演歌
音楽 – ライブ・コンサート
音楽 – その他
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