身につける小型のコンピューター…ペットの気持ちを教えてくれる首輪や手術に必要な道具を教えてくれるメガネ。
その市場規模は大幅に拡大すると予測され今年はウエアラブル元年だともいわれています。
既に活躍しているのがスポーツ界。
特に体に関するデータを取るウエアラブルセンサーが注目されています。
研究中のセンサーでは故障を未然に防ぐ事ができちゃったり…。
なんとメンタルの状態まで分かるかもしれません。
今はかなり緊張している状態になっています。
今身につけるセンサーで何がどこまで分かるのか。
今日はスポーツ界を変え始めたウエアラブルセンサーの最先端に迫ります。
今日はスタジアムからですね。
私スポーツ好きなんですごいワクワクします。
スポーツ界も最新科学でだいぶ変わりそうですよね。
そのスポーツ界で特に注目を集めているのが…実は今日僕もウエアラブルセンサーつけてるんですよ。
えっどこですか?いつの間にか…。
こんな感じですね。
これは歩数計ですよね?だからこれも身につけて歩数を計ってくれるという事で立派なウエアラブルセンサー。
あ〜。
今このウエアラブルセンサーに大進化が来てるんですよ。
へえ〜。
去年国際試合で破竹の10連勝という快挙を成し遂げたラグビー日本代表。
今最も活躍が期待されるナショナルチームの一つです。
しかし4年前までの20年間ワールドカップで一度たりとも勝利した事はありませんでした。
その打開策として取り入れたのがこの…GPSや速度の変化を測る加速度計が内蔵されています。
このセンサーを背中に装着してプレー。
本番の試合中にも測定しています。
走った距離スピードタックルの衝撃の強さまで分かるんです。
データを分析し指導しているジョン・プライヤーさんです。
ジョン・プライヤーさんは世界の強豪からトライを決めるためには秒速9.5メートルつまり50メートルを5.3秒以内で走るトップスピードが必要だと考えています。
すごい。
そのスピードにおいて彼が注目したのは山田章仁選手。
チームトップレベルの俊足です。
しかし山田選手が代表入りした頃のトップスピードは最高で秒速8.5メートルにとどまっていました。
そこで取り組んだのがトップスピードに素早く到達できる爆発的な加速力をつける事。
下半身の筋肉を徹底強化しました。
これは去年5月の国際試合で計測した山田選手のデータです。
なんと秒速9.7メートルまで高める事に成功しています。
指導者と選手が目標や達成度を共有するためには具体的な数値を用いる事が大切だとジョン・プライヤーさんは確信しています。
そのためにウエアラブルセンサーは欠かせないのです。
すごいですね。
見事トップスピードが上がりましたね。
やっぱりデータで分析されると説得力が増しますよね。
その注目のウエアラブルセンサーについてこの方々にお話を伺いましょう。
スポーツコメンテーターの武田修宏さんと神戸大学工学研究科の寺田努さんです。
武田さんが選手だった頃もこういう事ってやってたんですか?昔はどちらかっていうと精神論。
頑張れ走れっていう感じですけど選手にとっては例えば50メートル7秒で走れ8秒で走れって…Jリーグの海外の監督と話した時に日本人の選手はしっかりと理論的にこうだからこうなんだよという事を言うとすごい選手が一生懸命やる国民性なんですって。
だから今みたいな事を言うとすごい多分分かりやすいんじゃないですか。
これは何て言うかトップスピードと非常に単純な例でしたけどももっと複雑なデータを取っていくという事も可能なんですかね?装着型のセンサーといいますのは人間の体の動きなんていうのを細かく取る事ができますので…例えば大リーグなんかだとバッターのフォームって何かすごく変なフォームに見えるような形で打ってらっしゃる方いらっしゃいますけれども実はセンサーを使って細かい動きを取ってみるとこの腰がこうなっているのが実は大事なんだとか…というところが結構大事になってくるんじゃないかなと思います。
じゃあそのデータをどういうふうに見ればいいのかっていうのも大事ですよね。
そうですね。
本当にたくさんのデータが取れます。
ただこのデータというのがやっぱり数字が並んでいるだけなのでこれが何を意味してるのかどう分析してそれをどう練習に応用していくかが大事なんですね。
そうなってくると一般に…両方がちゃんとできる人を育てていかないとこういうデータをうまくトレーニングに活用していくっていうのは難しいんじゃないかなと思います。
一方ウエアラブルセンサーを使って故障を防ぐ取り組みも始まっています。
スポーツドクターの橋本健史さん。
足首を痛めやすい歩き方を初めて論文にまとめた第一人者です。
ではどんな歩き方が足を故障させてしまうのでしょうか。
橋本さんが注目したのはこの女子サッカー部員です。
こういう歩き方をするんですよ。
これが…う〜ん。
素人が見ても分かりませんよね。
しかし歩いている時のセンサーのデータを見ると一目で見抜けるのだそうです。
横軸は時間縦軸は上下方向の加速度。
力に対応します。
グラフで下にとがった部分が足が地面に着いた瞬間。
左足を着いた時はすごくとがっていますが右足を着いた時にはあまりとがっていません。
左右がアンバランスですね。
一方正常な歩き方だと左右に均等に力がかかっています。
違いは一目瞭然です。
このデータどんなセンサーで測ったのかというと…。
えっあのメガネで?そうこのメガネがウエアラブルセンサーなんです。
秘密は耳当ての部分。
加速度計などが埋め込まれています。
このメガネをかけると上下前後左右にかかる力とそれぞれの軸での回転のデータがリアルタイムで分かります。
こちらのサッカー部員故障しやすいと指摘され更に詳しく見てもらいました。
まずは正常な左足。
そんなに動かない。
ほら。
ガックンとこんなに動いちゃう。
左足は動かないのに対し右足がこんなにぐらついている事が判明。
このぐらつきこそが足首などを故障する原因です。
過去のねんざでこのじん帯が緩んでいる人はスポーツをする人には珍しくありません。
しかし異常歩行で痛みが出るまでには何年もかかるため気付いていない人が大半だといいます。
橋本さんは今こういったメガネをかけて歩くだけで足を故障する危険性を知らせてくれるアプリケーションを開発中です。
自分で分かっていく。
僕なんかプロでやってたんで毎日トレーナーさんだったりチェックで分かるんですけどメガネ一つでドクターとかいなくて分かれば本当に画期的だと思いますね。
これセンサーつける場所はどうして足じゃなくて頭なんですかね?多分一番最初に思いつくのは靴につけたらいいじゃないかと思うと思うんですけれども靴につけちゃうとまあ簡単な話靴を履き替えると駄目ですよね。
あと例えば靴を脱いで家の中で歩いている時はもちろん取れない訳です。
メガネっていうのはすごくよくてメガネはほとんど外さないんですよ。
なのでこういうのっていうのは…メガネっていうのはすごくいいと思いますね。
この間僕ぎっくり腰になっちゃったんですけどそれもこのメガネで測ってるともしかして防げたりしますかね?恐らく例えばデータをためていくともしかしたらぎっくり腰の1日前には必ず重い荷物を持っているとかそういうデータが取れるんですね。
そうすると重い荷物を持ったタイミングであなたは1日後にぎっくり腰になる可能性がありますからストレッチを例えばして下さいとか…そういうところがやっぱりいいところかなと思いますね。
だけどそもそも歩き方で故障しやすいかどうかって分かるっていうのがすごいなと思ったんですけどそれはメガネを使って測った事で分かった事なんですか?実はねそうではないんですね。
これまでは歩き方を客観的に測定するためにはモーションキャプチャーという機械を使っていました。
立体的に動きを解析するための8台のカメラ。
そしてたくさんの赤外線マーカー。
精密な機械ですので準備も一苦労ですよね。
しかも機械を使えるのは専門の医師や技師だけ。
はいストップ。
特別な場所で特殊な機械を使わないと測定できなかったんです。
結構大がかりですよね。
一方やはりあのスペースでしか使えないであるとかやっぱり山ほどものをつけて歩かないといけないという事で自然な動きっていうのはなかなかならなかったりしますので…ここまでは身体能力を高めるためのセンサーとケガから守るためのセンサー見てきたんですけど武田さんはスポーツする上でほかにどんな情報を知りたいですか?やっぱりねどんなに技術があってもメンタルが大事だね。
どんなにうまい選手がいても6万2,000の大観衆であがっちゃったりとかそういうメンタルっていうのはスポーツ選手に一番大事ですよ。
僕はメンタル強かったですから。
大手電気通信会社の研究者…新島さんは今心の状態を読むウエアラブルセンサーを開発しています。
えっこのシャツで緊張状態を推定するってどういう事?測定するのは心電位。
つまり心臓のドキドキの事です。
胸の部分の特殊な布が心電位をキャッチします。
これで緊張状態を推定しようという試みです。
この研究新島さんは特に深い思い入れを抱いています。
画面手前の選手は6年前の新島さん。
スポーツチャンバラの世界大会。
しかも決勝戦の映像です。
この大会で優勝。
つまり新島さんはスポーツチャンバラの世界チャンピオンだったんです。
しかし国内の大会では準優勝止まり。
本来の実力を発揮できなかったのはメンタルにも一因があったのではと考えています。
では心電位からどうやって緊張状態を推定するのでしょうか。
新島さんたちが注目したのは単純な心拍の速さではなくばらつきです。
心拍の間隔の変化を表すために使うのがポアンカレプロットという図。
横軸が最初の間隔。
縦軸は次の間隔です。
もし心拍の間隔が一定だと常にここに点が打たれます。
ところが微妙に間隔が変化した場合は例えば間隔が0.8秒の次が0.6秒になるとここ。
次の間隔が1.0秒だったらここ。
というふうに点にばらつきが出ます。
つまりこのグラフには心拍間隔のばらつきが表れるのです。
ではこれが心理状態とどう関係するのでしょうか。
新島さんたちは英語の試験中の心電位を記録して実験してみました。
リスニングの時のデータです。
聞き逃してはならないと緊張するはず。
この時心拍間隔はほぼ一定です。
しかし自分のペースで臨めるリーディングに入ると心拍間隔はばらつきました。
試験終了まで残り5分のチャイムが鳴るとまた一定に。
そして試験が終わるとまたばらつきました。
こうして見てみると緊張するような時は心拍間隔が一定になり反体にリラックス状態になると心拍間隔にばらつきが出ています。
新島さんたちは心拍間隔が一定の範囲からどれだけ外れているかでリラックスと緊張を推定できると考えました。
そこで心拍100回のうち黄色の帯からはみ出した割合を指標にしたのです。
この日新島さんはこのようにして推定するリラックスと緊張の指標をスポーツにどう生かせるのか検証してみました。
使うのは開発中のアプリケーション。
数字が低いほど緊張している事になります。
あらどうした?
(取材者)実際にいかがですか?実際に緊張していますね。
それもそのはず。
相手は今年度のスポーツチャンバラ全日本チャンピオン。
新島さん現役から離れていたとはいえども元世界チャンピオン。
簡単に負ける訳にはいきません。
頭の中で試合をシミュレーションしあえて緊張状態をつくります。
表示される数値も緊張している事を示しています。
始め!スポーツチャンバラは剣が相手の体に触れれば勝ちです。
強気で攻めていき勝負あり。
新島さん見事勝利です。
ではシャツで測定された緊張の指標のデータを見てみると対戦前急激に緊張状態になった事が表れています。
こうして緊張状態をつくった事がこの試合での勝利につながったと新島さんは考えています。
僕もJリーグの試合の時に優勝戦の前にメンバー発表ってあるんです前の日に。
僕はベンチだったんですけど…その選手はそういった緊張のし過ぎて…。
そういう事もあるんだなっていうふうにビックリしたんですけど…僕はそういうふうな感じで僕の試合の持っていき方はそういう形にしましたね。
奈央さんは?私は舞台とか本番前は結構…客観的に分かるなら私もちょっと検査してみたいですね。
今日は皆さんどちらかというと緊張してない感じですもんね。
何かね武田さんの緊張してない感じが…。
はい。
影響を…。
でも一般的に考えると心臓がドキドキするのは緊張していてよくない。
だから鼓動が速いのが駄目なんだと思ってましたけど…なのでうまくコントロールできてる時がその間隔が揺らぐのは当たり前という事になります。
なので先ほど揺らいでいる時はリラックス状態となってたんですね。
一定になる時はどういう時かという事なんですけれどもそのコントロールがうまくいかなかった時。
先ほどのVTRでは緊張した時に起こるという説明をされていたんですけれども体の中ってすごく複雑なのではっきりした事は分からなくて緊張でももちろんなるでしょうしあるいは純粋に集中しているという状態でもなるでしょうしストレスがかかっている状態でもなったりします。
なので平常な状態ではないぞという事は分かるんですけれども緊張か集中してるのかストレスがかかっているのかその辺はちょっとまだ正確には分からない状態だと思って頂ければと思います。
ちなみに今回紹介した新島さんが言うリラックス緊張の度合いなんですけれどもこれあくまでも研究段階という事でして今回のような実験を重ねて改良を加えていきたいという事なんですよね。
ちょっとこちらをご覧下さい。
今回実はチャンピオンとの対戦以外にも2人。
合計3人とそれぞれ2試合ずつ対戦してもらいました。
数字が小さい方が緊張している事を表すとされています。
中級者の方に負けちゃってますよね。
しかも緊張状態なのに負けてしまったっていうのどういう事なんでしょうね。
今回中級者に1回負けてしまったのがたまたまなのかそれとももう何回やっても大体そんな感じになっちゃうのかというのはデータがあればあるほど分かりやすくなりますのでデータを積み重ねるのが大事になってきますね。
今回のデータって…そうですね。
これまでデータを取るのがすごく大変だったのでもう本当に目的を決めて仮説を立ててそれを検証するみたいなアプローチでスポーツの分析とかも行われてたんですけれどももうどこにでもつけれるようになってデータが勝手にたまっていくようになれば例えば練習期間のデータ全部ためておいて後から分析で何かを見つけるというアプローチが有効になってくると思います。
それが最近キーワードとしてはビッグデータといわれているようなものになる訳ですが我々の研究分野ではライフロギングというんですが…それこそ先ほどのぎっくり腰になる前に分かるかもしれない。
やっぱりその時だけ取っても駄目なんですよね。
ぎっくり腰になった時にその時のデータを取っても原因はやっぱり分からなかったりするのでず〜っとデータを取ってる事がすごく意味があったりします。
なってからじゃなくてやっぱり予防医学っていうかなる前がすごい大事だなって僕も思いますね。
でもあまり知らない方がいいデータもありますよね。
そうですね。
数字を見るっていうのは本当に人間にとってすごく大きな影響を与えると思われます。
いい状態の時はやっぱり見せるとうまくいくっていう事がありえると思うんですけれどもあなた悪い状態ですよというのを見せられてしまうと本来これを見なかった時の方がうまくいく可能性もやっぱりある訳ですよね。
まだうまく分かってないところなので今後スポーツの領域とかにどんどん応用されていけばいいデータの使い方っていうのが出てくると思います。
武田さん今日新しいセンサー見てきましたけれども…。
やっぱ時代はどんどん進化していきますしスポーツもトレーニングの中もどんどん新しいものになりますし…寺田さんは?例えば子どもたちですねもし体育の授業中にちょっとしたセンサーをつけてそれによって走る速さが例えば0.何秒もし全員が上がったとすればこれはあらゆるスポーツにとってすごくいい事だと思うんですね。
そういう意味では…そういうところが技術革新のスポーツに関してすごくいいところかなと思います。
武田さん寺田さんどうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
それでは「サイエンスZERO」。
次回もお楽しみに!2015/07/19(日) 23:30〜00:00
NHKEテレ1大阪
サイエンスZERO「ウエアラブルセンサーが起こすスポーツ革命」[字]
体に身につけるセンサーがスポーツの現場で大活躍。実際の運動能力が数値化されることで効果的な指導につながる。故障の予防やメンタル状態を把握できるようになるかも。
詳細情報
番組内容
歩数計をはじめとする身につけるセンサーが大進化し、スポーツの現場で大活躍。ラグビー日本代表では練習だけでなく試合中も装着していて、トップスピードなど詳細なデータを取得。実際のプレー中の数値を使った効果的なトレーニングにつながっている。さらに近い将来、意外なセンサーとビッグデータから、故障を未然に察知することや、なんとメンタルの状態を把握することもできるかもしれないという。
出演者
【ゲスト】スポーツコメンテーター…武田修宏,神戸大学准教授…寺田努,【司会】竹内薫,南沢奈央,【キャスター】江崎史恵,【語り】中山準之助
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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