阿久津篤史
2015年7月21日19時03分
新国立競技場建設の事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は21日、ザハ・ハディド氏のデザインに基づく旧計画で、デザインや設計などで計約59億円の契約を結んでいると明らかにした。計画は白紙になったが、これらの業務は出来高払いのため、相当部分が戻らない見込みだ。
JSCがこの日、民主党の「東京オリンピック・パラリンピックに係る公共事業再検討本部」に提出した資料によると、ハディド氏のデザイン監修が約14億7千万円。日建設計、梓設計、日本設計、アラップ設計共同体の設計業務が36億5千万円。施工予定業者で設計にも携わった大成建設、竹中工務店の技術協力が約7億9千万円。
ハディド氏との契約は17日の同本部の会合では17億円と説明していたが、この日は、13億円を支払い済みで、さらに今年度分1億7千万円のうち契約解除前の業務の報酬が必要なうえ、業務中止のための追加費用が発生すると説明。損害賠償を請求される可能性もあるとした。また設計業務については「若干残っている部分があれば返還をお願いする」、技術協力は「一部削る余地があるかも」としており、関係各社と協議する。
新国立競技場をめぐっては、文科省が当初想定の2倍近い2520億円で建設する計画を6月29日に発表。JSC有識者会議も今月7日に了承した。しかし建設費が膨らんだことに批判が集中したため、安倍晋三首相が17日に計画を白紙に戻すと表明した。デザインや設計業務の約59億円とは別に、有識者会議の了承を受けて9日に大成建設と契約したスタンド部分の工事約33億円分については、JSC幹部は「資材調達していなければキャンセルできるはず」としている。(阿久津篤史)
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