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狂想は亡国の調べ 他

「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」原作:士郎正宗 シリーズ構成:神山健治 ストーリーコンセプト:押井守 キャラクターデザイン:後藤隆幸 西尾鉄也 オリジナルキャラクターデザイン:下村一 メカニカルデザイン:寺岡賢司 常木志伸 美術監督:竹田悠介 音楽:菅野よう子 監督:神山健治 制作:Production I.G

「狂想は亡国の調べ Pu239」 ☆☆☆☆
脚本:藤咲淳一、神山健治 絵コンテ:西村純二 演出:川崎逸朗 作画監督:村田俊治

 ボート上。商人から武器を買う男(三宅健太)。
 男がスーツケースを開けると受領書だけで金は入っていなかった。その受領書には個別の十一人のマーク。
 そして物品受領書には「1702式自動ライフル 200丁、18式無反動対戦車砲 22丁、手榴弾 180発、
ガンシップ 4隻、 ジェットスキー 8台、携帯式ミサイルランチャー 15丁、義体用フローター 48機」とある。
 海上保安庁がやってきて商人達を一掃するが、男はそれを予期しており、無事逃れる。

 公安9課は新宿大深度地下原発のプルトニウム燃料棒の移送をまかされる。
 実は別の者が極秘裏に海路を使って移送するはずだったのだが、テロリストの脅迫状が来たのだ。
 そこには「新たな国民として開放が待たれる難民の足元で政府が行った愚行に対し、
我々は天罰を加える所存である。
 難民の手で難民の土地より掘り出されし物は難民の手に返されることが妥当であると我々は考える。
 個別の十一人」と書かれてあった。
 テロリストの残した受領書から海上での襲撃が予測されるため、陸路での移送となったのだ。
 移送には合田一人(西田健)も同行する事になっていた。

 陸自から燃料棒が入ったトランクを預かり、移送開始。難民達が見守る中走るバス。
 車と並んで走る少女を見て陸自の隊員が言う。「無邪気なもんだな」
 それを聞いた合田が「おい、知ってるか?
 長崎の難民居住区じゃ、あの位の少女が警官に発砲した事件が起きたばかりだ」と言う。

 前の方に横倒しになっているトラックと数人の難民達。
 草薙素子(田中敦子)とサイトー(大川透)が難民に対処する事にする。
 合田も同行を申し出、陸自からも一人連れて行きたいと言う。
 得物を持って近づいてくる難民達。
 中の一人がおそらくパイプの一部を持って横倒しになっている自動車に降り立つ。
 それを見て合田が陸自の隊員に「おい、あいつ銃を持っているぞ」と言う。隊員、銃を乱射する。

 スーツケースにはプルトニウムは入っていなかった。陸自の第2架設小隊が海上に送ったのだ。
 バトー(大塚明夫)が「俺達を何だと思ってやがるんだ」と言うと、
合田は「お前達こそ自分を何だと思っているんだ。少数精鋭の選りすぐり部隊か?
 そんなもの流出した重火器で武装した難民共が大挙して押し寄せていたら手も足も出なかっただろう。
 私の演出で囮役を演じられただけでもありがたいと思いたまえ。失礼する」と言い放つ。

感想

 合田を初めて見た時セクシーだと思った。でも今回の合田は平気で人の心を操り楽しんでいた。好きではない。 人死にも出したし。必要とは思われない。
 彼は頭が切れるし、一見穏やかそうに見えるのだが、なぜ公安9課の心証を必要以上に悪くするのだろう。
 必要なのか?そうとは思えない。最後の彼の言葉、少数精鋭を気取っている公安9課が癇に障るのだろうか。

 イタリア人質事件。彼女は自分と知っていてわざとやったのだと言っているがそれは信じられない。
 しかしアメリカ軍の言う事も信じられない。
 車に乗っていた人達がわざわざ危ない真似をする必要性はないからだ。
 今のアメリカ軍は疑心暗鬼に囚われていて、大勢の何の害も無いイラク人を殺しているのだと思う。
 テロでピリピリしている。イラク人にとってはたまったもんじゃないだろう。

「素食の晩餐 FAKE FOOD」☆☆☆
脚本:佐藤大、神山健治 絵コンテ・演出:布施木一喜 作画監督:新野量太 

 警察庁指定広域重要104号事件こと個別の11人事件。
 「JNNテレビ義援金不正流出事件」、「難民支援組合爆破事件」、
「無償義体を難民に提供していたNPO団体脅迫事件」、「闇義体医師溺死事件」、「ネットバンク頭取轢殺事件」、「民政党代議士刺殺事件」、「人気電脳ラッパー『デンセツ』射殺事件」、「南陽新聞社脅迫事件」、
そして「茅葺総理暗殺未遂事件」が個別の11人と名乗る者達が起こした事件だ。
 これらの事件のうち容疑者が目撃されている事件は首相暗殺事件のみとされていたが、
他にも容疑者らしき人物が目撃された事件が見つかった。
 南洋新聞は今までに3度社屋に銃弾を撃ち込まれているが、
その全ての事件発生時に防犯カメラに映っていた男がいた。
 名前はカワシマショー。一月ほど前から台湾素食の調理人として南洋新聞社近くの料理店に勤めている。
 元自衛官だ。
 バトーとトグサ(山寺宏一)、サイトー、パズ(小野塚貴志)がカワシマショーの身柄を確保するよう素子に命じられる。

 カワシマはアパートには四日以上帰っていないし、店にも出てきていなかった。
 数をカバーするためにタチコマ(玉川紗己子)三機を送る素子。
 危ぶむトグサにタチコマ達は自分達が機能アップされた事を強調する
 (まあ、情報欲しさにトグサから離れたタチコマがいたからな。彼の危惧は当然…)。
 「やだなぁ、トグサくぅ~ん。
 僕達、個体差を維持したまま並列化できるようになって、エージェント機能が追加されたんだよぉ~。
 エッヘン~!」
 「いわば幽体離脱できるようになったって感じー」
 「これで身体を現場に留めたまま、絶えず情報の摂取に行けちゃうんだよねぇ」
 「僕達はこれを情報の宴と呼んでいるんだ」

 イシカワ(仲野裕)が合田の学生時代の卒論を見つける。
 「電脳は社会性を営む上で個性と協調性のどちらを尊重するか。
 プロデューサーとしての立ち位置からの英雄論」というものだ。
 「意外に興味深い内容だ。
 タイトルにもあるように今の社会構造には電脳が個の消失と共に無意識下での協調性を望む傾向にある事を示唆しているんだが、
そいつを応用して大衆の無意識を意識的にコントロールするリーダーをシステムの一部として創造するという内容だ」
 素子「笑い男事件を構造解析したような内容ね」
 「あぁ。だが日付を見る限りでは、こいつが書かれたのは笑い男事件より随分前ってことになるな。
 その後ヤツは情報科学、情報倫理、応用情報論などを学び、1度民間企業に就職している」
 「民間?」
 「今や義体技術やマイクロマシン製造でその名を知らないものはいない超多国籍企業ポセイドン・インダストリアル。
 当時の大日本(にっぽん)技研だ。」

 店に設置したカメラに映っている料理を見てうらやましそうなトグサ。
 その料理はウナギの料理に見えたが、実はグルテンとシイタケを素材にした偽ウナギ料理だった。
 台湾素食とは僧侶が編み出した料理で、豆やキノコの類を細工して肉や魚を再現しているものだった。
 トグサ「でもさ、なぜ台湾の坊さんはそんな面倒な料理法を思いついたんだ?
 初めから肉の味を知らなきゃ、そんな必要ないわけだろ?」
 バトー「そりゃそうさ。だがな、誰だって仏門に入る前はなんでも食えるんだ。
 いくら修行の身でもその頃の記憶を消すことは出来ねえよ」
 「なるほどね。でも、やけに詳しいんだな。もしかして、旦那も本物の味が懐かしくなるとか」
 「たとえサイボーグでも脳が求める食欲はある。だからこそ娯楽としてのサイボーグ食も作られるって事だ」

 テレビの討論番組を見ている合田一人。
 「今夜のテーマは難民問題とテロリズムですが、この所の流れをもう一度整理しておきたいんだけれど、
政策目標を失った政府の怠慢が個別主義者の台頭を促し、義心に答えを見出す過激因子が登場してきた、
ということでしょうか?」
 土橋文也(保村真)「それは違う。今の政権が弱いから出てきたわけじゃないです。
 現政権が発足する前から国防族議員は新日米安保の締結を考えていた。
 今ならアメリカからイニシアチブを奪えるってね。個別主義ってのはその流れに並行して既にあったわけ。
 むしろインディビジュアリスト達を過激にさせたのは、税金を無駄に食いつぶす三百万の難民だ。
 いい加減奴らを何とかしなきゃならない時期に、この国は来てるってことですよ」
 土橋の前に置かれているネームプレートの「土」という文字が見ようによっては十一とも見える。
 それを見て面白いとつぶやく合田。録画させる。
 「もし難民を急速に刺激したら、それこそ彼らも収まりが着かなくなる。
 俗にいう自爆テロなんかは、自らの未来に一筋の希望も持てなくなった時に起こす最終手段なんです。
 だから彼らには自発的に自立を促していく必要があるんです。解放という名の自由を与えてね」

 やはり同じ番組を見ているトグサ。土橋に気づく。
 「恐らく事件自体は皆さんも知っているとは思うんですが、
中国大使館立て篭もり事件以後に8件ほどテロ事件が起きているのをご存知ですよね」
 「電脳ミュージシャンや、難民に対して宥和政策を掲げていた議員が刺殺された事件のことか?」
 「そうです。それらの事件で警察庁はマスコミに対して全く発表していない事実があるんです」
 「勿体つけないで、早く教えてよ」「このマークを見たことはありますか?」個別の11人のマークを見せる。
 「犯行声明文として送りつけられた手紙に、全て共通して書かれていたマークなんです」■
 「では、このマークの読み方を知ったら、あなた達も少し驚くかもしれませんよ。
 このマークは個別の11人と読みます。
 この呼び名は半世紀前に書かれたある評論集のタイトルから取られたものですが、
この名を使って事件を起こしている者達は、難民を解放するという動機の下に、
横のつながりを持たずに現れた個別の集団なんです。
 難民街の上空を自衛軍のヘリが飛びまわったのを機に姿を見せ始めたインディビジュアリスト、
彼らは難民を本気で解放しようとする動機を持った…」

 黄村(朝倉栄介)が合田に南洋の感染者に関しては公安一課を操作しているから、
じきにパージ出来ると言っている。
 首相暗殺事件の感染者はPKFで半島に行っていて、名はクゼヒデオだと。

 荒巻大輔(阪脩)は久保田(鈴木泰明)から、
公安一課がウォン・チューレンという殺し屋がカワシマの顔を盗んで中華街に潜んでいるから顔のデータをくれと言ってきたと聞かされる。
 それを素子に伝える荒巻。ウォン・チューレンは台湾出身の国際的テロリストで暗殺命令が出ていた。
 一課によりカワシマは殺される。カワシマの顔は義体化されておらず、彼はウォン・チューレンではなかった。

感想

 個別の11人の仕掛け人は合田達なのか?
 今のところ難民自身が動いている感じではない(それとも動いている?)。
 こうやってテロを起こし、政情を不安定にして、そして狙っているのは何?
 土橋が言っていた新日米安保が狙い?クーデターする気じゃないよね、いくら何でも。
 合田が義体技術やマイクロマシン製造で有名な企業に就職していた事も関係あるのかな。

 合田のような仕事で目立つ容姿と言うのはデメリットの方が大きい気がするが、
前の平凡な容姿がイヤだったのかな。
 インパクトの影響力の方をとったか…。事故にこだわりがあるのか…。

 全然関係ないけど轢死体と言うと下山事件を思い出す。調べれば調べるほど闇が深いとわかるとかいう事件。 うん、日本の黒い霧って感じ。他にはマルコムXの父親が轢殺されたという事も思い出す。
 何か轢死体って言うといや~な感じがしてしまう私。
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 04

参考になるサイト
攻殻機動隊PKI-B-Wiki
野良犬の塒
攻殻機動隊の日本地理


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