名古屋大の豊国伸哉教授らの研究チームは、電子部品などへの応用に期待されるナノテク素材のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)の太さと発がん性とに強い関係があることを動物実験などで突き止めた。直径が50ナノ(ナノは10億分の1)メートルのナノチューブの毒性が最も高かった。
アスベスト(石綿)のように細くて丈夫な構造をしているため、加工中などに体内に入ると、細胞のがん化を招きやすいとみている。論文が米科学アカデミー紀要(電子版)に15日掲載された。
人間の胸膜などにある中皮細胞を培養し、直径10ナノ~145ナノメートルのナノチューブを投与した。同50ナノメートルの細長いナノチューブが細胞に突き刺さりやすいことが分かった。ラットの腹腔(ふくくう)に投与すると強い炎症を引き起こし、がんの一種である中皮腫の発生率も高くなった。
直径が50ナノメートルより太いと細胞に刺さりにくく、逆に細いと丸まってしまうので、どちらも細胞への影響は少なかった。
豊国教授は「直径による毒性の差が分かったので、大きさなどを制御して安全性の向上を期待したい。人間へのリスクを評価するには、ナノチューブが中皮細胞などにどう到達するかを改めて調べる必要がある」と話している。
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