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 原爆と戦争のむごさを描いた故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」が中国語に翻訳されながら、出版できずにいる。監修した名古屋市天白区の坂東弘美さん(67)は今夏、自ら北京に赴き、出版社と交渉に臨む。「ゲンには戦争のすべてが描かれている。そのメッセージを共有したい」と話す。

 坂東さんが中国に関わる原点は、日中戦争に赴いた父(故人)の体験だ。小さいころ「人を殺したの?」と聞くと、黙ってしまったが、その答えは、自分が母親になってから知った。

 宿題で戦争を知りたいといった長男に、父は何通もの手紙で答えた。逃げ惑う人々を追い込み、容赦なく銃剣で殺したこと。今も思い出してうなされること。「戦争はいけない。だが人間は欲深いから繰り返してしまうだろう」ともつづられていた。