乳児死体遺棄:市民「おなか大きかったが赤ちゃん見ない」
毎日新聞 2015年07月21日 10時00分(最終更新 07月21日 12時08分)
◇逮捕のきっかけ 市民から通報「おかしい」「不思議」
愛媛県警捜査1課が乳児1人の死体遺棄容疑で14日に緊急逮捕した同県八幡浜市江戸岡2、無職、若林映美容疑者(34)。若林容疑者の逮捕のきっかけは、市民からの通報だった。「何度もおなかが大きくなっていたのに、おかしいと思っていた」「赤ちゃんを見たことがなく不思議だった」。新たに乳児とみられる4遺体が見つかり、近所の人たちは口をそろえた。今月3日に女児が生まれる前には行政も同様の情報を入手していた。だが「妊娠ではない」と否定され、事件は防げなかった。
◇「おしめを干しているのを見たことがない」とうわさに
「ああ、やっぱり」。近所の50代の女性は事件の一報にそう思ったという。「毎年のようにおなかが大きくなっていたのに、おしめを干しているのを見たことがないから」
近所の60代の男性は「3〜4年前におなかが大きかったが、赤ちゃんを見なかったので施設に預けているのかなと思っていた」などと語った。「2〜3年前までに2回、おなかが大きくなっているのを見た」と話す女性もおり、近所では「おかしい」とうわさになっていたという。
◇「母子手帳を発行していない」 行政も把握
八幡浜市によると、今年5月19日、民生委員から「若林容疑者のおなかが大きくなっているのに母子手帳を発行していない」との情報が寄せられた。市は6月24日、保健所や県警八幡浜署の担当者らと会議を開き、対応を協議した。同26日には保健師が自宅を訪問したが、若林容疑者は「太っているだけで妊娠ではない」と否定したという。
若林容疑者は7月3日に女児を産み、自宅押し入れに遺棄したとされる。市職員と保健師が自宅を再訪したのは同6日。腹の膨らみはなくなっており、「卵巣の病気で薬を飲んだ。妊娠ではない」と繰り返したという。若林容疑者の自宅押し入れから女児の遺体が見つかり、緊急逮捕されたのは14日だった。
若宮高治・市民福祉部長は「産婦人科を受診せず、母子手帳も発行していない今回のようなケースでは情報把握は困難。権限上調査にも限界がある」と振り返った。女児以外の4人については「分からない」という。
◇近所付き合いなく
近所の人によると、若林容疑者は約10年前に引っ越してきたといい、きれいに化粧をし、ミニスカートや黒っぽい服を着て夜に歩く姿が見られた。近所付き合いはあまりなかったという。
若林容疑者の自宅は20日、ブルーシートや県警の白いテントで覆われ、捜査員が出入りするなど物々しい雰囲気に。近所の80代の女性は「そんなにたくさんの遺体が見つかるなんて……」と声を詰まらせていた。【渕脇直樹、三上健太郎】