マネー教育

あなたは「自分の収入」を子どもに教えようと思いますか?

両親がどれくらい稼いでいるのか、子どもは知っておいたほうがいい──そう考える親は日本ではまだ少ないでしょうが、米国では増えつつあるようです。
From The New York Times(USA)
Text by Ron Lieber

6人の子どもたちにお金の価値を知ってほしいと思ったスコット・パーカーは、普通の親なら「やり過ぎ」だと思いそうな行動に出た。彼の稼ぎそのものを子どもに見せたのだ。

彼は銀行で、自分の月給を全額現金で下ろしたいと頼んだ。しかもすべて1ドル札で。窓口の係員から「それだけ多くの1ドル札を揃えるには24時間かかる」と言われたので、翌日また銀行に出向き、100ドルごとに束になった現金を布製のバッグに入れて持ち帰った。

当時15歳だったスコットの長男のダニエルは、帰宅した父親がおよそ1万ドルをテーブルの上にどんと置いたときのことを覚えている。「まるで銀行強盗をして帰ってきたようでした」と彼は言う。

家族が事の成り行きを飲み込むまで一呼吸おいてから、スコットは札束をほどき始めた。税金の話をし、その額を取り分け、住宅ローン分の札を高く積み上げた。1ドル札の山は、サッカースクール代やボーイスカウト代、外食のハンバーガー代の分も作られた。

すると、最後にはいくらも残らなかった。「できるだけ子どもたちの印象に残るようにしたかった。その点では大成功でしたよ」と、それから20年経った今になって彼は振り返る。

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PHOTO: STEPHANIE DIANI / THE NEW YORK TIMES / AFLO

COURRiER Japon Vol.129 21世紀の「ホワイト企業」