イスラム国のテロ輸出と日本人の危機
(文・菅原 出)
止まる気配がない「イスラム国」の勢い
昨年6月29日、過激派組織「イスラム国(IS)」がカリフ国家樹立を宣言してから1年が経過した。
この間、米軍を中心とする国際有志連合軍はイラクとシリアのISに対して6000回以上の空爆を実施し、戦闘員1万人以上を殺害したと伝えられているが、ISの勢いは止まる気配がない。
各国が自国民のシリアへの渡航規制を強化しているにもかかわらず、毎月2000名以上の若者たちがシリアに渡り、その多くがISに加わっていると報告されている。「これだけ多くの外国人戦闘員が1つの戦場に集まるのは、過去20年を見ても例がない」と米国務省は発表している。
中東、アフリカで、国家の統治能力が弱まり中央政府の管理の行き届かない「無統治空間」とでもいうべきエリアが広がり、そうした地域にIS型のテロが「輸出」される現象も起きている。
いまやISは、イラクとシリアの直接支配地域だけでなく、リビア、エジプト、アルジェリア、ナイジェリア、イエメン、サウジアラビア、アフガニスタンなどに傘下組織を抱え、これらの国々でテロ活動を展開している。
私は過去15年以上、国際テロ、中東・南アジアの安全保障情勢を追い続けてきた。1990年代終盤には、ユーゴ紛争、とりわけコソボ紛争で、アルバニア系武装勢力が当時アフガニスタンに根を張っていたオサマ・ビン・ラディンのアルカイダとつながり、バルカン半島でテロ・ネットワークを形成していく状況を取材した。
米国は当時、「セルビア憎し」でアルバニア系武装勢力を軍事支援していたが、彼らが一方ではアルカイダと組んでいたことにはまるで無頓着だった。
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