がん手術に強い“味方” 胆沢病院 「ダビンチ」9月始動へ
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県立胆沢病院に導入された内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ」。コックピット(左)から手術台のアーム(右)を遠隔操作する医師ら 奥州市水沢区字龍ケ馬場の県立胆沢病院(勝又宇一郎院長)に導入された内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ」が16日、報道関係者に公開された。県南地区では初めての導入で、同病院では泌尿器科医師ら5人の専門チームが9月前半の手術開始に向けてトレーニングを積んでいる。ロボットによる前立腺がん手術は国内唯一の保険診療が認められており、勝又院長は「県南部の患者の方々には朗報。ダビンチによる高度医療を提供したい」と期待を込める。 ロボットは米国医療メーカーの製造で、日本国内では今月1日現在で202台、うち東北では14台が導入されている。県内では岩手医科大付属病院(盛岡市)に続いて2例目で、県立病院では初めて。 医師が電気メスや内視鏡など手術台に設置されたアーム4本を、コックピットから3次元(3D)画像を見ながら遠隔操作。鉗子(かんし)など手術器具を取り付けたアームと内視鏡を腹部に開けた穴に挿入して手術を行う。アームは人の手より可動域が広く、手振れも補正されるため、出血などを抑えた安全な手術が可能という。 また、アームでさまざまな角度から細かい血管や膜構造が見えることでより精密な手術ができる。 ダビンチによる腹腔(ふくくう)鏡手術は、開腹手術よりも手術時間が長いとされてきたが、同病院によると、操作技術の進歩で開腹手術と同じ程度の2時間から2時間30分を目指している。 胆沢病院では下田次郎副院長兼泌尿器科長をチームリーダーに、泌尿器科医師1人、手術室看護師2人、臨床工学技士1人の5人のチームが手術を行う。ダビンチで執刀するには所定の訓練を受け、認証を取得するのが条件となっている。 国内ではダビンチを使った前立腺がん手術の保険適用が2012年4月に始まり、手術を受ける患者が増加傾向にある。胆沢病院での前立腺がん手術件数は14年度は過去最多の50件超、今年度は今月16日現在で21件を数える。 下田泌尿器科長は「ダビンチ手術は大変有用で価値の高い治療になり、今や標準治療になりつつある。今後、県南や奥州地区の医療の発展と充実のため手術を成功させたい」と語る。 |