電子書籍がそろそろ急激に普及しそうな気がしてきた

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そもそも、その前提を確かめる実験が行われたことなんてあるのか、という疑問です。

これまで紙の本で、片方で無料で本を配りながら、もう片方で有料で本を売っていたことはあるでしょうか。

R-style » 無料公開、人がお金を払う、かといっても

この記事はいちいち考えさせられました。上の指摘ももっともです。

ただ、記事を読んで無料公開について考えているうちに、違うことに思考が脱線してしまいました。

Apple MUSICのことです。

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あれのKindle版が出てきたら、もう紙の本は吹き飛びそうな気がしてきました。

たとえば月額2000円で30万点が読み放題、となったら、どうなるでしょう。もちろん著者への還元率など、法的にクリアすべきハードルはあります。しかし、技術的には明日にも可能なことです。

この状況はしかも、昨日今日出現したものではなく、ここ数年来のことです。

もちろん30万点の書籍が選び放題なだけではなく、「あなたがお読みに内容から、次の本にも興味がありそうです」がついてきます。AppleMusic方式なら、そっちもただで読めてしまいます。

それどころか、最近の「読んでいるページ」まで解析できる技術からすれば「あなたがお読みになったページから、次の本の3章付近をお読みいただくと面白そうです」がつけられそうです。ワンクリックでそれを表示させることだって苦もなくできそうです。

紙陣営はそういう状況に、対抗する気はなさそうです。デジタルで文字を読んでいるとあなたのお子さんはバカになりますキャンペーンを打ち続け、何とか退職金までは現状を維持したいといったところでしょうか。

この状況においては、読者に「面倒な思いをさせない」というのが何より大事だという気がします。ここで話は冒頭の引用に戻るわけですが、差額がさほどでないなら、ポイントは有料か無料かより、はるかに「楽に読みたい本ではなくて文章に行き着ける」というのがキモという気がするのです。

ブログで読むのは楽なようですが、ブログが増えてくると、そうでもありません。それにブログにはやはり適切なサイズというものがあります。

本を読むにしても長いから大変なのではなく、大変な文章を読まされたら本はそもそも長すぎるのです。『オリエント急行』を佳境で隠されたら拷問でしょう? 問題は長さではなく、期待と意欲にサイズが見合っているかどうかだけです。

紙だけの時代に比べ、デジタルでいくらでも「好きな文章」に手が届く時代に入っている以上、ものを書いて生きるには、いかに面倒な思いをさせず読者にたどり着いてもらって、そのまま読んでもらえるようにできるか、です。

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著者:佐々木 正悟
1973年(昭和48年)生まれ。心理学ジャーナリスト。ビジネス書作家。
人を子ども扱いするのは好きではありません。
もっとも語りたくないのは人生哲学です。