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大学中退、立ち上げた事業は解散……。1通ずつ書いた営業メールはトータル2000通。挑戦し続ける”スキャンマン”杉本氏の情熱(スキャンマン株式会社 杉本 勝男CEO)【festivo起業家インタビュー】

一歩先行く先輩起業家、事業家や特異な視点をもつ起業家の今を切り出すインタビュー企画、festivo起業家インタビュー『Our life is our flame.-情熱に生きる僕らの今-』。今回はスキャン代行サービスという時流に乗ったサービスに特化して成長する展開するスキャンマン株式会社の杉本氏に登場していただきました。

”スゴい人は、「起業とか楽勝だよ!」とか「頑張ればできるよ!」と言っちゃうけど、ボクたちは違う。”そんなスキャンマンの起業ストーリー。


成功する秘訣は「人に幸せを与えること」。資本主義の本質をかいま見た起業前夜

 

もともとボクは、起業家を志してはいませんでした。むしろ、公務員とか学校の先生とか数学者とか、あとは普通に役所に勤めるといったような、平々凡々とした職業を目指していたんです。

それが浪人をきっかけに、人生について深く考えるようになったんです。大学受験が迫ってきたときに、「これは人生を真面目に考えなければならないぞ」と思って。両親には「医者になりたいから浪人させてくれ」と言い、受かった大学をけって、浪人しました。

そのとき、「とりあえずお金持ちになりたい!」という考えに行き着いたんです。思春期でしたし、やっぱり若いうちはお金持ちになりたいなと思うじゃないですか。それで、そうなるにはどうすればいいかと考えたんです。

一時は株も検討しました。でも、ボクなりにいろいろと突き詰めて考えてみると、医者を志していては金持ちにはなれない。ならば起業するしかないな、と思うようになりました。

結局、僕が考える資本主義の正体は「人を幸せにする競争」なんです。たくさんの人を満足させることによって、たくさんのお金がもらえる。ポイントは、長期的に人を幸せにするということです。

その後は、一旦、国立大学の学生になりました。学生のとき、電子書籍関連のサービスをはじめましたが、うまくいかずに挫折。サービスを閉じて、上京したのが3年ほど前のことです。

上京してからは、ある人にビジネスモデルのアイデアをいただき、それが現在の事業、スキャンマンの元になっています。設立してからは2年ほどですね。ちょっとずつちょっとずつ事業を拡大し、今に至ります。

仕事がなくなり2000通の営業メール。気づいたら「今日、何も食べていなかった」

 

最初はぜんぜん仕事がとれませんでした。この記事を見ている方は起業を志している方が多いかと思うので、ヒトコト言っておくと、無視されますから。市場から無視されます。そもそも、こんなサービスがあることなんて誰も知りません。

ですので、何もしなければ売れません。ただ、逆に言えば、何かすれば売れる可能性はあります。創業当初こそ、紹介もあったり、TechCrunch東京などのイベントにブースを出して、口コミで拡散したときもありましたが……。その後はさっぱりです。

ひどい時には2ヶ月ぐらい受注がないこともありました。「このままではやっていけない!」と思い、さすがに焦りましたね。でも、打つ手はいっぱいありました。なにしろ営業をほとんどしていなかったので。

それで当時、一緒にやっていた、現在の副社長である金くんからアドバイスをもらったんです。彼は当時学生だったので、「研究室にはめちゃくちゃ紙資料がありますよ!」、と。それで、大学にスキャンの潜在需要があるという仮説を立てて、攻めることにしました。

調べてみると、東京大学、早稲田、慶応クラスともなると、ご丁寧にデーターベース化されてるんですね。研究室と、教授の先生と、あとはメールアドレスと。それを1個1個スプレッドシートに抜き出しました。

そして、1件1件、一斉送信ではないですよ、1件1件「◯◯先生へ」というように、ちょっとずつ文言を変えつつ、メールを2000通ほど作成・送信ました。明日の食い扶持も稼げないほどだったので必至です。

そのような危機的状況は、今考えるとけっこうありがたいんですが、でも当時はキツかったですね。夜も満足に眠れませんし。メールを作成し続けて、気がついたら夜。「今日いちにち何も食べてない!」ということもザラで……。

その後は努力が報われて、東大や早稲田の研究所から依頼をいただけるようになり、導入事例も増えていきました。「営業すれば売れる!」ことを知った体験です。

 

「起業したい人の悩みは“わからないことが分からない”こと。
だからメンターの存在が必要なんです」

 

その当時、得た教訓が「メンターは絶対に必要」ということ。ひとりでやっていると、精神的支柱がないのでけっこう追い込まれるんですよ。それでメンターは必要だな、と。

あとは仲間です。仲間はひとりでも集めなければなりません。それからタイミング。時流から考えて、あまりにも早すぎるビジネスはダメです。「5年後10年後はこういう世界になっているはずだから」みたいな夢物語は失敗しやすい。

やっぱり、目の前にある需要、その一歩先ぐらいからやっていくのが固いです。初期投資もかからず、シンプルであればベストですね。

スキャンマンのビジネスモデルも、事業リスクから考えて、難しくなさそうだなと思ったからスタートできました。一気に資本を入れて、溶けていくのを見守りつつ、なんとか死の谷を越え大きくなる、という事業ではなかったので。

 

「成功に魔法はない」。1つ1つの仕事をしっかりとこなしていくだけ、泥臭く

 

起業前には、いろいろな方に話を聞きに行きました。訪問先で「どうやってそんなに成功したんですか?」と聞くと、ほぼ全員が共通して、次のような趣旨の話をしてくれました。つまり、「魔法はない」ということです。

コレをやったから成功したというような魔法はなく、一個一個の案件をしっかりと処理しつつ、泥臭く営業した、と。成功するためには、一歩一歩、積み重ねるしかないというのが全員に共通していることでした。

本当にスゴい人は、「起業とか楽勝だよ!」とか「頑張ればできるよ!」と言っちゃうんです。でも、“楽勝”の定義、“頑張る”の定義は、ボクたちとは異なります。とてもじゃないけど、マネできるレベルじゃない。

彼らの意図は、とにかく一歩を踏み出す人を増やしたい、ということ。ボクもそれには賛成です。でも同時に「本当はキツいからね」と、言ってあげるようにしたいですね。

 

一緒に働くメンバーを選べる喜び。
起業の醍醐味は“何をやるか”よりも“誰とやるか”ということ

 

起業前は、「わからないことがわからない」状態です。だからメンターの存在がありがたいんですよ。ステージによって、適切なアドバイスももらえますし。

一番良いのはベンチャーコミュニティに入ることです。メンターを見つける近道になります。今は、Facebookとかtwitterとか、便利なツールもたくさんありますよね。ダイレクトで連絡がとれます。積極的に連絡してみることが大切です。

起業して良かった点は、自分がやりたいことができること。あと、一番大きいのは、一緒に働けるメンバーを選べるということです。何をやるかというよりも、誰とやるかが大事ですね。

スキャンマンの今後は、スキャンだけでなく、いろいろなサービスをアドオンしていって、最終的には家事代行サービスも無料で提供したいと思っています。GoogleがWEBサービスを無料にして事業を拡大したような、広告モデルをイメージしています

リアルのサービス、そして派遣業を主軸としながら、検索連動型広告のようなモデルを、対面で提供できれば。よりたくさんの方を幸せにできるのではと思っています。

 

【おまけ企画】起業家の一日ウォッチング
「杉本 勝男さん」の一日

 

1日の流れはバラバラです。基本的には休みはありません。仕事の合間に友人や知人とのランチを入れたり、夜は飲み会などが入ることもあります。デフォルトは仕事ですね。ずーっと仕事をしています。アポイントや商談はスキャン作業と合わせて行うこともあるので、そういった部分で効率的かもしれません。趣味はフィールドワークです。


【起業家プロフィール】 スキャンマン株式会社 杉本 勝男CEO

愛知県出身。名工大中退。大学在学中の2009年、電子書籍関連のプラットホーム会社を立ち上げるが、その後、解散。2013年8月にスキャンマン株式会社を設立。代表取締役社長に就任。スキャン代行を主軸に、あらゆる派遣事業の無料化を目指す。

 

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(編集:山中 勇樹