(テーマ音楽)
富士の雄大な姿
その麓にある山梨県富士吉田市
なだらかな高原におよそ5万人が暮らしています
町を歩くと聞こえてくるのが…機織りの音
糸を染めるところから製品にするまで。
この地域で織物に関わる工場はおよそ350を数えます
ここで作られるのは郡内織物。
色鮮やかできめ細かな柄
しっかり目の詰まった織り方は柔らかさを保ちながら型崩れしにくいのが特徴です
服の裏地やネクタイの生地など全国有数の生産量を誇っています
郡内織物の伝統を守り続ける人を訪ねました
機織りの音が聞こえますね。
こちらかな?すいませんこんにちは。
ちょっと中拝見してもよろしいですか?どうぞどうぞ。
おじゃまします。
いや〜にぎやかですね。
ちょっとねうるさいけども。
中今ここは何を織ってらっしゃるんですか?基本的にうちはネクタイ生地専門でやってるんですわ。
ネクタイ生地。
はい。
父親の代から織物工場を営んできました
この工場では国内外の有名ブランドに納めるネクタイ生地を作っています
生地は郡内織物の伝統先染めで作ります
先に糸を染めてから織るため深みがあって艶やかな色合いになります
結構分厚いですね。
すごくしっかりしてますね。
もう工場の技術がぐ〜っとこう注ぎ込まれてる。
要は密度の濃いというものはやはりカチッとなってますから型崩れしないんですよね。
多少粗くなるとやはり柄の表現が粗くなったりするわけですよね。
うちとしては製造元としてはやっぱりそれなりのねこだわりですかそれが。
江戸の初めから続く郡内織物。
戦後洋服の需要が高まる中急成長します
最盛期は昭和40年代。
生産額は380億円に上りました
しかしその後輸入品に押され生産額は最盛期の3/3以下に落ち込んでいます
コストを重視した生産が求められる中父親を手助けしようと10年前から実家の工場で働いています
家業の方を見た時にすごくやっぱり一生懸命やってるなっていうのとこれだけの設備をして地場の産業っていうものを担ってるっていうところはすごく格好よく見えましたし。
地に足を着けながらですね物作りの方をしっかりやっていけたらなと思っております。
やっぱり心配な気持ちの方もありましてやはり今までのように頑張ればなんとか結果とかがついてくるという仕事でなくなっただけに頑張ってもどうしても努力しても数字がついてかないという事も多々ありますからね。
息子が入ってくれてなお一層小さい企業ですが少しでも伸びたらどうかなという面ではちょっとうれしかったですよね。
この工場では去年から太郎さんが中心になって自社ブランドのネクタイを作っています
自分たちが納得できる製品を作る事で伝統の技術力をアピールできると考えています
ある程度光沢も出てるし。
うん。
サテンはやっぱりさちょっと違う。
それだけじゃ面白みのない。
一歩間違えるとしわが出たり。
この前のね。
合わなかったりするから。
その辺は慎重にしないと。
郡内織物の伝統を守り続けたい。
太郎さんの願いです
こういった自社製品が出てくる事によってこの産地を皆さんに見て頂いて。
ここの産地の事を知って頂く事でこの産地自体の伝統っていうのは更に新しい意味で受け継がれていくんじゃないのかなと思っております。
織物の町富士吉田
織物工場で使う機械を専門に修理してきました。
この日訪ねたのは一見普通の民家
しかし家の中には機織り機がありました。
この地域では副業で機織りをする家が少なくありません
徳重さんはこの日「機械が動かなくなったので見てほしい」と依頼を受け訪れたのです
壊れていたのは30年以上前の機械
手早く故障している場所を探します
これも駄目って事?
(徳重)見なきゃ分かんない。
見なきゃ分かんない。
作業を始めておよそ3分
(徳重)こうなってるものがこういうふうにほら半分に…。
歯車の一つがすり減っていたのです
周りの部品も傷んでいるのに気付いた徳重さん
歯車やその周辺の部品を交換し7時間かけて修理しました
だから修理してくれる人がいないと困っちゃうよね。
元気でいてもらわなきゃ。
修理してもらう人に。
重たい仕事だから大変でね。
どうにもならない時にはこういう頼みです。
先生頼みですね。
お医者さんがいるから。
機械も年を取るからお医者さんにかかるわけよ。
我々もそうだから。
若いうちは少しくらい無理しても平気だけど。
そんなようなもんだ。
機械の修理を手がけて50年になる徳重さん
織物工場の中には半世紀以上も前の機械を使い続けるところが少なくありません
そこで徳重さんは古い部品も数多くそろえています
何種類ぐらい部品ってあるんですかね?分からない。
数がありすぎて。
もう数がありすぎて分かんない?うん。
でもこれだけあって例えばやりながらどこに何の部品があるかって分かんなくなっちゃったりしないんですか?ないよ。
もう大体分かる。
かつてこの地域に数十人いたという機械の修理専門の職人
今では僅か3人になりました
職人の心意気が織物の町を支えます
6月中旬
郡内織物の見学会が開かれました
集まったのは都内のデパートのバイヤーなどおよそ20人
持っていても楽しくて広げた時も楽しいような傘。
こんなような。
ちょっと北欧っぽいような感じの傘で。
デザイナーの…
去年から西桂町にある織物会社で働いています
東京出身の井上さん。
もともと大学院でデザインを学んでいました
郡内織物の商品開発を行うプロジェクトに参加した事をきっかけに織物会社に就職。
この町に移り住みました
ドレス生地を作っていたり傘地を作っていたりネクタイを作っていたりいろんなアイテムになるものを作っている産地って他にはないと思って。
でその産地に魅了されてっていうんですかね。
産地っていう面白さ。
いろんな事ができるっていう面白さがあるのかなって思ってます。
井上さんが取り組んでいるのは新たなデザインの日傘
作品のモチーフは野菜。
自然豊かな町をイメージしたものだと言います
あんまり極端にここ狭くするとこっちとの兼ね合いがあるから難しいとこだよね。
そうですよね。
職人の…
35年間傘作り一筋です
井上さんは野菜の質感を出すため立体感のある生地を使いたいと提案
しかし一般に傘作りには向かないとされる生地でした
とんでもない事だと。
そんなもの出来るわけないじゃんって思ったですよ。
それでも井上さんは諦めませんでした
若いデザイナーの思いに応えようと幡野さんは生地の織り方からカットのしかたまで工夫を重ねました
取りかかって1年井上さんの傘が完成しました
若い感性と伝統の技術が生んだ新しい郡内織物です
いやもうほんとに頭が上がらないなって感じで。
全てにおいてプロなので。
皆さんがいなければ作れないものだなっていうのは一番です。
そうですねもう頼らずには出来ないです。
発想が違うから楽しいですよね。
「こういう傘を作りたい」と。
これはもう今言ったとおり我々想像ができないものですから。
それがこうやってものになってきたって事は私もうれしいですよ。
まあ今後とも頑張ろうね。
頑張ります。
分からない事はどんどん聞いて。
俺に分かる事はみんな教えてあげる。
ご迷惑いっぱいかけてます。
いえいえ。
こまやかに力強く。
富士の裾野で思いを紡ぎます
(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2015/07/18(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「夢 ひと織り〜山梨県 富士吉田市界わい〜」[字]
富士山の麓に広がる富士吉田市は、全国有数の高級織物「郡内織物」の産地。富士の湧き水で染められた色鮮やかな糸は美しい織物を生む。織物に込めた人たちの思いに出会う旅
詳細情報
番組内容
富士山の麓に広がる富士吉田市は、江戸時代から400年続く“郡内織物”の産地。富士の湧き水で染められる色鮮やかな糸。その糸から作られるのは、高密度・高品質な織物。かつて、盛んに作られた絹織物の技術は、現在に受け継がれています。伝統の技術を守り、ネクタイを作る親子。織物の機械を専門に直す職人。さらに、新たなファッションを生み出す若い世代など、美しい自然と、織物に込めた一人一人の思いに出会う旅です。
出演者
【語り】真下貴
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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サンプリングレート : 48kHz
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