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お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん(35)が書いた「火花」が芥川賞に…
お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん(35)が書いた「火花」が芥川賞に決まった。
笑いの世界での成功を目指してもがく2人の若者を描いた中編だ。人気芸人が書いた初の小説は、今年1月の発表時から注目されていた。掲載した文芸誌「文学界」は普段の読者層とは異なる10~20代にも売れ、創刊以来初めて増刷された。3月に出た単行本もベストセラーに。受賞決定で増刷され、発行部数104万部に達した。
書き手の名前や話題性にひかれて、本を手に取る人も多い。そうした読者を思い、又吉さんは、受賞決定後の記者会見でこんなことを言っていた。
「面白い小説はたくさんある。僕の小説に合わない人も、他の小説は合うかもしれない。1人目で読んでいただけるのはうれしいが、100冊読めば、絶対小説が好きになる。そこまで頑張ってもらいたい」
彼がこれほど信頼する小説の力とは何だろう。
又吉さん自身は少年時代、自分の中に渦巻く疑問や葛藤が、芥川龍之介や太宰治の小説に表現されていることを見つけ、文学に傾倒していったという。
日常に違和感を覚えたり、生きづらさを抱えたりしている人は少なくない。特に若い世代では、孤独にさいなまれたり、同調圧力の強い人間関係の中で、周囲に合わせることに疲れたりしている人もいるだろう。
文学は、そうした苦しみを直接解消できるわけではない。しかし、古今東西の小説には、おびただしい数の先人が向き合ってきた悩み、悲しみ、喜びなどが詰まっている。それに触れることで、登場人物への共感を通して自分自身を肯定したり、困難を乗り越える知恵や勇気を得たりすることはできる。
「火花」と同時受賞は、失業中の青年と介護が必要な祖父との暮らしを見つめた「スクラップ・アンド・ビルド」。作者の羽田圭介さん(29)は会見で「高齢者対若者といった対立構造を作る言説が幅をきかせているが、顔を見ないで何か言うのはすごく簡単。顔が見える状態で、異なる価値観の相手にどういう行動を起こすのかを書きたかった」と語った。
小さな家庭の物語が、読み手の想像力で、社会全体にも、国同士の関係にも広がり、考えを深めさせる。
これもまた、文学の力だ。
話題性と若い世代に届く言葉を持つ芥川賞作家の誕生で、小説に光が当たる。これが幅広い人が文学に親しみ、何かを発見するきっかけになるといい。
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