これでわかった!世界のいま▽米国の根深い人種差別・揺らぐ“自由と平等”の行方は 2015.07.19


南アフリカでアパルトヘイト人種隔離政策の撤廃を訴えた故ネルソン・マンデラ元大統領の誕生日を祝う7月18日アメリカでは。
1枚の旗を巡って白人至上主義の団体と黒人民族主義の団体が激しく対立しました。
史上初めての黒人大統領のもと、アメリカはどこへ向かおうとしているのでしょう。
こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
アメリカでは、不穏な動きになっていますね。
先ほどの映像、けさ撮影されたものです。
今のアメリカで起きています。
きょうは、夏期講座として、アメリカの黒人と白人の人種差別について詳しく取り上げます。
1時間目、KKKは今。
2時間目失われた理想。
3時間目オバマなのにです。
きょうのゲストはセイン・カミュさんです。
セインさんはアメリカのご出身ですが人種差別というのはどのように感じてこられましたか。
いまだにありますね。
僕自身が受けたわけではありませんが、周りにいた人たちが差別を受けたりしたことはあります。
アメリカだけではなく日本でも起きている問題ですね。
きょうはいろいろ勉強したいと思います。
まずアメリカで起きている人種問題。
深い闇ですね。
その2つの過激な民族主義団体が憎しみをぶつけ合いました。
日本時間のけさ、アメリカ南部サウスカロライナ州です。
驚くのは、このののしり合いが白昼堂々、議事堂の前で行われたこと。
南北戦争時代に南軍が掲げたこの旗を議事堂から取り除く決定を巡る対立ですが、そのきっかけはある白人の男が引き起こした凶悪事件でした。
先月、サウスカロライナ州の黒人が通う教会で突然、男が銃を乱射。
牧師を含む黒人9人が犠牲になりました。
逮捕されたのは21歳の白人の男。
人種間の戦争を引き起こしたかったと供述しています。
事件のあとには黒人が通う教会で放火とみられる火事が相次ぎました。
こうした中、注目されたのがこの旗でした。
南北戦争当時、奴隷制を支持した南軍の旗です。
教会の襲撃事件で逮捕された男が好んで使っていました。
事件を受けてサウスカロライナ州では、議事堂のそばに掲げられてきた南軍の旗が降ろされました。
これに反発したのがKKK、クー・クラックス・クランと呼ばれる団体です。
18日、議事堂の前で抗議活動を行うと予告。
団体に電話をかけてみると留守番電話にこんなメッセージが。
ヨーソロー。
KKKっていうのは、19世紀に結成された白人がいちばん偉いんだぞっていう秘密結社だ。
トレードマークは白頭巾。
全身も真っ白だ。
時には、黒人たちを殺したり暴力を振るったりしてたんだ。
この十字架を燃やす儀式なんてのも、黒人を恐怖のどん底に落とすためにやってたらしい。
ひゃーっ、怖い。
一説によると、政治家などもメンバーに入り1920年代には600万人もいたとされている。
こうした人種差別などを行う団体が最近また増えてきているんだ。
不気味なKKKですが、セインさん、一般のアメリカ人から見るとこれはどのように見られているんですか。
一般の教育されている僕の周りの友達は、あほらしい、そんなに主張したいならなぜ顔を隠すのかそういった意見があります。
デモは、最初は静かに始まったように見えましたがこのように展開しました。
KKKのデモには大勢の警察官が警戒にあたりました。
KKKのデモを知った黒人の民族主義の団体が対抗するように集結を呼びかけていたからです。
団体が掲げているのは黒人の解放運動を象徴する旗です。
初めは落ち着いた様子で始まったデモでしたが。
時間がたつにつれて双方がヒートアップします。
小競り合いが起きました。
これは今のアメリカですよ。
そもそもアメリカは自由や平等を掲げて、仲よくやっていこうという国ではなかったんですか。
きょうはそこから詳しく聞いていきましょう、きょうの先生はこの人です。
国際部アメリカ担当、花澤雄一郎デスク。
現地では大統領選挙から人種問題まで幅広く取材。
ニュースとコーヒーをこよなく愛するナイスミドル。
どうですか。
いいっすね。
違いの分かる男が苦みを効かせた解説をお伝えします。
国際部の花澤デスクです。
よろしくお願いします。
本当はコーヒー嫌いなんじゃないですか。
おもしろかったです。
それでは聞いていきます。
自由と平等を掲げてきたアメリカでなぜ差別はなくならないんでしょうか。
アメリカは人種差別の存在を認めて、差別をなくすことを目指してきました。
しかし現在も深刻な問題を抱えています。
その問題を考えるためにアメリカにおける黒人差別の歴史をグラフにしてみました。
あくまで私が独断で考えた単純化したグラフです。
黒人差別の解消がどこまで進んだのかを示したものです。
横軸が年代、歴史的な出来事です。
縦軸が、差別の解消度です。
上に行けば行くほど差別は解消されて差別のない理想の社会ということです。
まずここは低いですね。
まず最初は奴隷制度があった暗黒の時代です。
そこにリンカーン大統領が登場し、南北戦争、奴隷解放宣言などを経て、奴隷制度を撤廃します。
憲法の修正も行われて国民に選挙権も認められました。
急激に改善されたんです。
それが1895年、最高裁判所の判決で、人種の分類はOKという判決が出ました。
具体的には、バスの中で白人の席と黒人の席を作ったり、レストランやバーなどで白人と黒人を分けたり、それは違法ではないという判断が出たんです。
そこが第1の問題ですね。
分ける必要はなかったはずですね。
分けてしまったがためにこの問題がまた起きたんですね。
揺り戻しのような状態です。
ここにまた深刻な問題意識が生まれます。
そして出てきたのがキング牧師です。
公民権運動を展開します。
彼のスピーチが、黒人だけでなく白人の心もつかみます。
尊敬すべき人ですね。
その結果、1964年に公民権法の制定というまで取り付けました。
制度上はほとんど差別はなくなりました。
ただ残された国民の意識に溝が残っています。
これをなんとか埋めようとしているんです。
あと少しですね。
あと少しですが、ここが実は難しいんです。
一部の白人の中に黒人への差別感情が依然として存在することが事実です。
私自身、2008年のオバマ大統領が最初に当選した選挙の取材で、喫茶店に行ったときに白人の若者どうしが話をしていて、俺たちアメリカの代表である大統領が黒人なんて冗談じゃないと言っているのを聞いたことがあります。
そういうことは公然の場で言えることではないですね。
アメリカでは人種差別は一種のタブーです。
職場で差別的な発言をすれば職を奪われることにもなります。
差別意識が残る一方で、それをなくそうと取り組んでいる状態です。
解決するのはすごく難しそうですね。
制度としては、ほぼ平等なところまでなったんですが、就職の面で黒人はまだ差別が残っているんです。
就職の差別がありますと黒人はどうしても所得が低くなります。
そうすると所得が低いために子どもの教育費に回せるお金が少なくなる。
そうすると子どもがよい職に就けない、悪循環があるんです。
そこは国が何とかできないんですか。
まさにそれをやろうとして70年代から始まっているのが、アファーマティブアクションと呼ばれるものです。
積極的差別是正措置と訳されています。
鎖を断ち切ろうとしているんですね。
具体的に言うと、大学や公務員の採用のときに、一定のマイノリティー、黒人の枠を設けてその数は採用しましょう、入学しましょうということで負の連鎖を断ち切ろうとしているんです。
ただこれをやっていきますと、仕事がなかった低所得の人は白人にも必ずいます。
そういう人たちは黒人が優遇されているという不満を持つ人も出てきます。
それがまた新たな差別意識につながります。
こういった悪循環もあるんです。
解決の出口が本当に見えない、難しいんですね。
それではこれがないほうがいいとか賛否ありますが、ないよりはあることによるプラスのほうが大きい、そのように言われています。
実は今回、僕もアメリカに行って取材をしてきました。
公的な措置でなんとか差別をなくそうとした学校が、アメリカ南部のアラバマ州にありました。
こちらアメリカ南部アラバマ州郊外のタスカルーサの町並みが見えてきました。
私が訪ねたセントラル高校は、かつて人種差別撤廃を象徴する学校でした。
校長のクレランス・サットンさんが15年前のアルバムを見せてくれました。
いろんな人種がここで現れるわけですね。
セントラル高校は人種差別をなくすため1979年に裁判所の命令に基づいて設立された学校です。
学業とスポーツが盛んになりアラバマ州有数の名門校になりました。
ところが、その理想は長く続くことはありませんでした。
2000年、人種差別はなくなったとして裁判所の命令が効力を失うと、白人は学校を去って行ったのです。
タスカルーサは白人が5割、黒人が4割暮らす街です。
1960年代、人種差別が公然と行われてきました。
水飲み場は別。
食事をする店すら厳格に分けられていました。
学校が理想の道を歩む裏で、地元には差別意識が根強く残っていたのです。
現在、生徒およそ700人の99%が黒人です。
白人の親たちはこうした状態をどう感じているのでしょうか。
ただサットン校長は今もかつての高校の姿を取り戻すことを諦めてはいません。
校長自身がセントラル高校の卒業生だからです。
校長先生は、こうして、なんとかかつての姿を取り戻そうと頑張っていますが、生徒たちに話を聞くと自分たちの学校から白人が静かに消えていくいなくなってしまうというのは自分たちが否定されているように感じる、見えない差別です。
ことばの差別はなくても見えない差別で、自分たちは彼らより劣っているんだ16歳などの多感な子どもたちが、多感なときに、そのように感じなければいけないんですね。
裁判所の効力がなくなったら急に引いていくんですね。
今までは、裁判があったからつながっていたということですね。
本当にこの問題の根深さが現れていると思います。
最後のこの部分をいかに埋めていくかその難しさが、分かると思います。
アラバマのケースを見ても人々の意識に任せるだけではなかなかここは埋まらないんですね。
ほおっておいたら、そのままきれいに分かれていってしまいますね。
それがよく分かるのがこちらの地図です。
自動車産業で有名なデトロイトの住宅の構成を上から見たものです。
青色は白人、緑色は黒人です。
道路を隔てて真っ二つに住宅地が分かれているんです。
アメリカ中、大都市に行くと大体このような感じです。
僕も大学はニューヨークでしたが、ハーレムここは黒人。
だからよっぽどのことがないかぎり黒人は白人の地域に入ろうとしないですし、黒人はあえてそこから出ようとも思っていない。
区分けされている部分がありました。
今はスパニッシュハーレムなど大きくなりましたが、分かりやすかったですね。
こんなにはっきり分かれるこんなことになってしまうんですね。
なぜこのようになるんですか。
差別の問題に加えて格差の問題も絡んできます。
黒人は所得が低い、相対的に低いですから家賃が安いところに住むんです。
白人は、そういう地区を嫌って、家賃の高い地区に住むんです。
自然とこのように分かれてしまうんです。
仮に黒人が、白人の地区に住み始めたとしたら、不動産価格が落ちるんじゃないか、治安が悪くなるんじゃないかということで、白人の人たちは、より白人の多い地区に引っ越すんです。
悪循環ですね。
黒人が住む地区は大体、スラム街として扱われています。
そうではないのに白人はそこには住まないというふうになっています。
アメリカの大統領はオバマさんですよね。
この問題を解決するのではないかという期待もありましたよね。
ノーベル平和賞も受賞されました。
オバマ大統領が就任したことで、この格差を埋めてくれるのではないかと期待したんですが、現実にはほぼ横ばい、あるいは、むしろ後退したという人もあります。
オバマ大統領の存在そのものが、差別のない社会、それを目指したアメリカの象徴だとも言えます。
白人と黒人をつなげる部分というのが短くなったのかなと思いきや、それをいいと思っていない静かにしていた人たちがぐっと声を上げてきました。
オバマ大統領の存在そのものが多くの黒人に勇気を与えてきたんです。
就任前の演説を聞いてください。
差別をなくそうという強い意志を感じますね。
一方で、オバマ大統領が黒人であるが故に難しい面もあります。
それが浮き彫りになった事件がありました。
大統領就任1年目の2009年にハーバード大学の黒人教授が自宅に帰った際にドアの鍵を開けられずタクシーの運転手に手伝ってもらい鍵をこじ開けようとしました。
それを見た付近の住民が警察に通報し、この教授は逮捕されたんです。
その後、誤解は解けましたが、オバマ大統領はこの件に関し怒りをあらわにして警察をこのように非難しました。
オバマ大統領は愚かだと言ったんですが、警察官に対する同情論や支持の声も上がりまして、アメリカ社会を二分する論争となりました。
その結果、白人保守層の反発を買う結果となりました。
このことばが出たことでどんな影響があったんですか。
白人の反発が起きてしまいました。
愚かということばはきついと思いましたが、白人の人も敏感になりすぎているんじゃないですか。
背景には白人の焦りや不安というものがあります。
人種構成の中で、白人は1980年には80%でした。
現在は60%余りです。
2040年代には50%を切るといわれています。
今までしてきたことがあるわけですから、びびりますよね。
さらにその政策自体、オバマ大統領は弱者に手厚い政策を取っています。
一見よく聞こえますがアメリカは競争社会です。
負けたらしかたがないという部分があります。
アメリカの精神に反する特に白人の保守層はアメリカの精神の破壊者だ、という発言もあります。
勢力も弱くなっていき同時に自分たちが大切にしていた価値観も白人たちのいらだちや焦り、不安感、また差別意識にもつながっていくんです。
国民の融和を訴えて支持を集めたオバマ大統領、逆に溝を深めるということになったんです。
黒人差別問題、オバマ大統領はどうしていくんでしょうか。
去年の中間選挙が終わって、任期の終わりまでもう選挙はありません。
これから、気にせず発言をするのではないかと言われています。
去年の後半から、より積極的に発言するようになっています。
先月サウスカロライナ州の教会で、黒人に差別的な考えを持つ白人が、黒人を射殺する事件の直後のオバマ大統領の発言です。
アメージング・グレイス…。
この歌にオバマ大統領の強い思いが込められていると受け止められました。
銃撃があった教会の現場に私も行ってきました。
たくさんの人たちが世界中から追悼に訪れていました。
こうして差別を憎む白人も多くいるわけです。
一人一人、このように来るというのは救われますね。
みんながみんなそうではない。
白人が黒人を嫌っている黒人が白人を嫌っているのではなくて大半の人たちはどうしたらいいか分からないんだと思います。
大半の人たちははっきり言えばみんな同じじゃないかという意識が強いと思います。
ただ感情を積極的に出していく人たち、それが目立ってしまうことが多いんです。
難しい問題ですね。
私がロサンゼルスで仕事をした中でいろんな人種の方がいましたが、職場で、差別感情など感じたことはありませんでした。
アメリカは、フェアであろうという意識が強い社会であると思います。
一方で差別感情によるヘイトクライムやヘイトスピーチこれも存在します。
社会が自分たちを支持してくれているという自信があるから、やっているというふうにも思われます。
アメリカが今後もこの問題を見つめ続けていくかぎり溝を埋めていくのではないかと期待します。
花澤さんありがとうございました。
千里さんきょうは南米から帰ってこられたんですね。
そうなんです、コロンビア帰りです。
きょうはサルサを踊ってきました。
暑かったけど楽しかったです。
盛り上がっていますね。
コロンビアの音楽、南米のリズムですね。
あす7月20日は、南アメリカのコロンビアがスペインからの独立宣言をした日です。
この日に合わせて、日本で暮らすコロンビアの人たちが毎年、お祭りをしているんだそうです。
見ていたら、思わず一緒になって踊ってしまいます。
先生が手取り足取り教えてくれました。
2015/07/19(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽米国の根深い人種差別・揺らぐ“自由と平等”の行方は[字]

黒人の通う教会で銃乱射事件が起きた米国。人種差別的な思想が背景の事件はなぜ相次ぐのか?“自由と平等”の行方は?徹底解説。【ゲスト】セイン・カミュ

詳細情報
番組内容
【ゲスト】セイン・カミュ,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】セイン・カミュ,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴

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ニュース/報道 – 解説

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