フランス南西部の町ボルドー。
ワインの産地として名高いこの町は古代からの歴史的遺産と美しい景観によりユネスコの世界遺産にも登録されています。
ボルドーゆかりの美術品や歴史的資料でこの町を紹介する展覧会です。
ボルドーは古代から開かれた場所。
多くの遺産が残されています。
最も古いものはボルドー近郊で発掘された旧石器時代のヴィーナス像です。
ふくよかな体つきと手にした角には豊穣や多産の意味が込められておりボルドーの繁栄を物語るかのようです。
ボルドーは古代ローマ帝国の一地域として発展。
この時代にワインの生産も始まりました。
この地からはワイン交易に使ったアンフォラと呼ばれる壺も数多く出土しています。
ボルドーは18世紀になると海洋貿易が発展し大きな富を蓄え黄金期を迎えます。
その豊かさはフランス有数のものとなり人々の生活にも象徴的に表れました。
高価な銀細工や磁器も盛んに作られるようになり町の人々が日常的に愛用していた事が分かります。
ボルドーは産業で栄える一方著名な画家たちが集まる場所としても知られていきます。
その一人がスペインを代表する宮廷画家ゴヤでした。
ナポレオン戦争後ボルドーに亡命します。
ゴヤは祖国スペインを思い闘牛の作品を繰り返し制作しています。
最も注目されるのがこの作品。
ボルドーで幼少期を過ごしたロマン主義の巨匠ドラクロワの大作です。
人間とライオンの生死を懸けた激しいぶつかり合い。
躍動感に満ちあふれています。
しかしこの大作は火災により絵の上部が失われ大きな損傷を受けました。
ボルドーで生まれ育った画家ルドンはドラクロワの大作を模写していました。
ドラクロワのオリジナルを伝える貴重な証言となっています。
一部が失われてもその生命力が失われる事は決してありません。
陶芸家鯉江良二の「自分史」とも呼べる展覧会が開かれています。
土管工場でのアルバイトをきっかけに土への興味に目覚めタイル会社などを経て陶芸家として頭角を現していきました。
土が笑っていると表現する鯉江。
力強さの中に繊細さを持ち合わせた作風には高い感受性がかいま見えます。
1971年に発表された「土に還る」。
自分の顔をかたどった鯉江の代表作です。
この作品は当初焼き固めずに公園に放置され題名のとおり土に還っていき時間の変容を表現しています。
その後新たに焼き固められた鯉江の顔。
自己という存在を通じて焼き物を再認識しようとしました。
土と火そして人との出会いの中で自身の焼き物をいかに見つめていくか。
鯉江は今も模索を続けています。
日本とドイツのおよそ150年の交流を一望する展覧会です。
プロイセンのアルベルト・ベルクが描いた「江戸城の門」。
緻密な描写で写実的に表現しています。
幕末の日本から見たプロイセン人の男女。
プロイセン王国は1861年に日本と修好通商条約を結びました。
ドイツの風刺漫画雑誌にも日本人が愛嬌たっぷりに描かれています。
19世紀末ジャポニズムがブームとなり日本を題材にしたオペレッタが上演されます。
ジャポニズム趣味を楽しむドイツ人も現れ日本の美的感覚が浸透していきました。
幕末以来友好的な交流を続けてきた日本とドイツの150年。
レンズを通して人々の記憶にとどめられる写真。
その力を考えます。
センセーショナルな出来事だけでなく日常をありのままに写した姿。
報道写真ではない写真報道という視点です。
その視点は戦争写真にも見る事ができます。
写真が物語る意味を私たちは想像し時に心揺さぶられるのです。
堂本印象没後40年の名品展です。
83歳で亡くなるまで近代日本画壇を牽引し続けてきた堂本印象。
収穫の終わった静かな秋の農村。
若き日の作品です。
線でなく色の濃淡で表現し西洋画の影響が見られます。
印象は山水画や花鳥画も多く描いています。
たたずむ白鷺と川の流れが明けゆく冬の朝を見事に捉えています。
昭和23年の代表作。
和装と洋装で着飾った戦後の女性たちのモダンな姿。
印象は新時代に合ったテーマを探究し続けました。
打ち掛けを羽織り夢みる遊女地獄太夫。
その夢ではさまざまな骸骨が歌い踊っています。
幕末明治の幕開け。
この奇っ怪で奇抜な絵で「画鬼」と呼ばれた絵師…この絵師に弟子入りしたのが建築家の…コンドルの設計した三菱一号館。
今暁斎とコンドル2人の展覧会が開かれています。
河鍋暁斎は7歳で歌川国芳に弟子入り。
10歳で狩野派に転じ伝統的な狩野派の絵師としての道を目指します。
18歳狩野派の修業を終える頃に描いた作品です。
絵師としての高い技量がうかがえます。
暁斎51歳。
奇抜でユーモアのある絵から一転して静寂さが漂う画風です。
この絵は博覧会で最高賞を受賞し狩野派の正統的な肉筆画として高く評価されました。
コンドルが弟子入りを決めた作品と言われています。
ユーモアのあるのはその時代がそういうものを要求してたと思うんですね。
だからやっぱりほんとに描きたかったものというのは新しい狩野派をつくり上げていきたかったと思うんです。
コンドルは明治期さまざまな西洋建築の設計にあたり日本の近代化に大きな功績を残します。
その一方で日本の文化や芸術にも大きな興味を寄せ暁斎の弟子となります。
暁斎が描いた鯉の図。
墨の濃淡を使い水中で泳ぐ鯉の様子が生き生きと描かれています。
こちらはコンドルの描いた「鯉之図」。
ぼかしの積み重ねや鱗の描写など暁斎の技法を忠実に学び取っているのがよく分かります。
この美人図は暁斎がコンドルのために1年の歳月をかけて描いたものです。
浮世絵をもとに狩野派や大和絵の画風を融合してきらびやかな屏風にしています。
コンドルは暁斎の絵についてつぶさに観察し詳細を書籍にまとめました。
外国から日本を学びたいとわざわざあの時代に大変な事だと思うんですけどね。
だけどコンドルが暁斎の絵を見てそれで習いたいと。
だからあの時代ね他の外国の方も暁斎に習いたいという人いたわけですけどね。
「コンデル君」なんて書いちゃってたり非常にひき合うとこがあったんでしょうね。
しょっちゅう旅行もしてるし外国人とか日本人とかそういうのを抜きにして人と人とのつながりでしょうね。
暁斎の芸術に深く傾倒したコンドルは暁斎の死後その画業を海外に広く伝えています。
今回メトロポリタン美術館が所蔵する暁斎晩年の作品が100年ぶりに里帰りしました。
アメリカ人実業家の所有となっていた作品。
猫と蛙が卓越した筆さばきで描かれています。
日本に残された下絵です。
本画と並べて見る事で晩年まで衰えなかった暁斎の力量がうかがえます。
2015/07/19(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“ボルドー展 −美と陶酔の都へ−”ほか[字]
「ボルドー展 −美と陶酔の都へ−」(国立西洋美術館 6月23日〜9月23日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「ボルドー展 −美と陶酔の都へ−」(国立西洋美術館 6月23日〜9月23日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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