ふるさと再生 日本の昔ばなし 2015.07.19


いってらっしゃ〜い。
昔ある村にとっても仲のよいおじいさんと孫がいました。
ねぇじいじ。
なんじゃ?オイラじいじのそばが食べたいな。
じいじのそば?あ〜そばがきじゃな。
じいじも食べたいがもうそばがないからのぉ。
え〜。
この間食べたやつでおしまいじゃ。
また種まきせんとな。
じゃあじいじ種まきしよ!待て待ていくらなんでも種まきにはまだ早い。
もうちっと暑くならにゃあ。
暑くなってから?あぁ。
その前に雨も降らにゃあな畑が乾いてちゃ種がまけんよ。
あ!雨だよじいじ種まきしよ。
まだまだじゃもっと暑くなってからと言うたろ。
それからしばらくして季節が変わりました。
(セミの鳴き声)さあもう暑いよじいじ。
わかったわかった。
お前も手伝うんじゃぞ。
うん!そうそうそうやって土をかぶせるんじゃうまいぞ。
これでそばが食べられるねじいじ。
まだまだわからんよ。
芽が出てくれんことにはな。
そして7日8日が経ちました。
おっちゃんと芽が出たな。
じゃあそばが食べられるねじいじ。
まだまだわからん。
花が咲かんことには。
花?それからまた何日も何日も経ちました。
じいじ花が咲いたよ!そうかそうかそばの花はきれいじゃろ。
これでそばが食べられるね。
いいやまだまだわからん。
え〜。
そばに実がつかねばな。
実?あとは虫たちに働いてもらうさ。
早く実がならないかなぁ。
それからしばらくするとそばに実がつきました。
種まきから70日ほどのことです。
わ〜い!実がなったよ〜じいじ。
お〜そうかそうか実がなったか。
これでそばが食べられるねじいじ。
うんにゃまだまだわからんぞ。
え〜。
こうやって刈り取ったら…。
そばが食べられるんだよねじいじ。
い〜やまだまだわからん。
え〜。
そばってもんはなよ〜く日に干さんと甘みが出んのじゃ。
ん〜。
(犬の吠え声)こらそばを食べちゃダメ!もう!ハハハそばの実はスズメの大好物じゃからのぉ。
こうして実を落とす。
ほ〜れたくさんついとるじゃろ。
おもしろいねじいじ。
わ〜いわ〜いそばが食べられる。
まだまだわからん。
え?次は石臼じゃ。
殻がついたままじゃ食べられんじゃろ。
だからこうして石臼に入れると殻が割れてな中の粒が壊れてそばが粉になる。
あ〜粉になったよじいじ。
これがそば粉じゃ。
これで本当にそばが食べられるんだねじいじ。
いやまだまだわからん。
もうじいじったら!粉になったらもう食べられるでしょ。
まだまだ。
さてお湯は沸いているかな?おいお碗を出しておくれ。
おそば食べるんだねじいじ!は〜い。
それとすりこぎもな。
え〜どこ?そこの釜の脇にあるじゃろ。
ああった!ふるいでふるったそば粉をお碗に入れてあつ〜い湯を少しずつ…。
そしてよ〜くかき回す。
そばがきそばがき。
ほ〜れだんだん固まってきたじゃろ。
ほんとだ〜おいしそう。
やっとやっと食べられる。
いいやまだまだわからんぞ。
じいじったらまだ言ってる。
ハハハ。
それもう1つお碗がいるぞ。
あそうだった。
さてとこれでそばがきの完成じゃ。
はいお碗。
いっぱいちょうだいねじいじ。
わかったわかった。
ニャ〜。
ここれやめんか…あっ!
(2人)あ〜!
(2人)わっ!うわ〜ん!これこれ泣くなすぐにかわりを作ってやるに。
そば粉はた〜くさんあるんじゃからな。
こら!ほらのまだまだわからんじゃったろ?うんじいじの言ったとおりだね。
いい匂いだねじいじ。
あぁすぐ出来るからな。
物事は何でもな終わるまではまだまだわからんということじゃよ。
あ帰ってきた!おかえり。
じいじがそばがき作ってくれたんだ。
まあまあそれはよかったね。
(犬の吠え声)お〜お前も食べたいか?こうして一家はおいしいそばがきをお腹いっぱい食べました。
ね!物事は終わるまでまだまだわからん。
昔むかしある村の夫婦に一人息子がおりました。
この息子とにかくのんびりや。
毎日ボーっとしているので両親はたいそう心配していました。
ヘヘヘ…。
お〜いせがれナスの苗を買ってきておくれ。
は〜い。
このカネで買えるだけ買ってくるんだぞ。
は〜い。
(鼻歌)あ?苗はいらんかの。
ナスの苗を売っとくれ。
おや残り1本じゃ。
ん?これは見たこともない立派な苗じゃの。
そんなにいい苗か?うむきっと立派な実ができるじゃろう。
じゃそれをくれ。
おい多すぎる…。
こんなにいらんぞ!父ちゃ〜ん苗買ったぞ。
え〜!お前は銭を全部使ってたった1本しか買ってこなかったのか。
父ちゃんこれは珍しい苗だ。
きっとすごいナスが出来る。
(2人)はぁ?息子はその苗を大切に育てました。
早く大きくなるんだぞ。
まったく困ったもんじゃ。
しかし父親の心配をよそにナスの苗はぐんぐんと伸びついには天まで伸びていきました。
ほ〜ら父ちゃん言ったとおりだろ。
村中で食べてもなくならないくらいたくさんなってるぞ。
ほらオラが作ったナス持ってけ。
いいナスだね。
ありがとうね。
ヘヘッオラのナスが褒められるなんて嬉しいなぁ。
そして夏祭りの日がやってきました。
息子や今晩は祭りのご馳走を作るからナスをたくさんとってきておくれ。
は〜い。
下のほうのナスは全部とってしまったから上まで登ってとらないとな。
うんしょうんしょうんしょ…。
ふぅ〜まだまだ登らないとたくさんとれないな。
息子はどんどん登っていきました。
そしてついに天の上に到着しました。
は〜ここが天の上か。
そこには大きな屋敷があり…。
お前はいったい何者じゃ?オラの植えたナスをとりにきたんだ。
なに!?あのナスはお前が植えたものだったのか。
あんまりうまそうだったんでつい食ってしまったわい。
おいしかったんならオラも嬉しいよ。
せっかくなんで礼をさせてくれ。
お〜い。
(3人)は〜い。
(3人)ウフフフ。
はぁ〜なんて美しい。
さぁどうぞ中へ。
うわ〜すっごいご馳走だ!さあさあ好きなだけ食べてゆっくりしていくがいいぞ。
いただきます!こんなうまいもん食べたのオラ初めてだ。
あそれあそれ。
アハハ愉快愉快。
ほ〜れあそれ。
ご馳走をたらふく食べやがて息子は眠ってしまいました。
(いびき)そろそろわしらも仕事の時間じゃな。
客人が眠ってるうちに支度でもするか。
お〜いわしらは仕事に出かけるぞ。
ん?ん?鬼!驚くことはないぞわしじゃ。
ななんでそんな格好を?わしらは雷様じゃ。
これから夕立をざっと降らせないといかんのじゃよ。
すごいな。
どうじゃ手伝ってみるか?いいのか?これから雨を降らせにいく。
この桶には雨が入っていてこのひしゃくでまくんじゃ。
まいても減らないようになってるからな。
うわ〜オラが雨を降らせるのか?よいしょ。
よ〜し出発じゃ。
よ〜しでは始めるぞ。
あそれあそれそれ。
それそれ。
雨だ雷だ。
片づけろ。
ハハ楽しいな。
お?ああれは!お〜い父ちゃん母ちゃんオラここにいるぞ。
息子はナスをとりいったまま…。
どうしたんでしょうかね。
じいさまここに景気よくやっておくれ。
オラがここにいることを父ちゃんたちに知らせてやるんだ。
よしきた!それそれ。
それ。
オラここにいるんだよ!ん?うわ〜!お〜い!あれ息子よ!いったいどうしたんじゃ?オラ雷様の手伝いをしていたんじゃ。
ありゃりゃりゃりゃ。
ほんとはわしの息子になってほしかったがしかたない。
でも命が助かってよかったわ。
あの桑の木のおかげだな。
よしこれからは桑の木のあるところに雷を落とすのはやめることにしよう。
さぁ帰るとするか。
(3人)は〜い。
それ以来桑の木を軒にさせばそこには雷が落ちないと言われています。
〜昔むかし長門国の赤間閧に芳一という盲目の若者がおりました。
芳一は貧しいけれども琵琶の弾き語りの名人として知られていました。
ここ阿弥陀寺は源平合戦で命を落とした平家一門の亡者の霊を慰めるために建立された寺でした。
ある夏の夜芳一が1人で留守番をしていたときのことです。
(物音)芳一。
(芳一)はいどなたですか?私にはそちらが見えません。
さる高貴なお方からお前に御用を伝えに参った。
男は仕える主君が評判の芳一の琵琶歌を聴きたがっているのだと言いました。
私の琵琶歌を…。
芳一は男が立派な身分の侍なのだと思いました。
逆らえないと思った芳一は言われるままについていきました。
芳一が戻ってきたのはもう夜も明けようという頃でした。
侍は今夜も迎えにくるので昨晩のことは誰にも話さないようにと言って帰っていきました。
私はお前の身を案じて言うのだよ。
目の見えない者が夜中に1人出歩くのは危ないことだ。
申し訳ございません。
和尚は芳一がどこへ行ったのか尋ねましたが芳一は黙っていました。
和尚は何か悪いことに巻き込まれたのではないかと心配になりました。
辰朝吉。
今度芳一が夜更けに寺を抜け出すようなことがあったらあとをつけていっておくれ。
その夜和尚は法事があったので芳一を残し寺を出ました。
(朝吉)芳一さんが出ていった。
寺男たちはあとをつけていきました。
(辰)あれは何だ?
(朝吉)墓地があるほうだ。
(2人)あっ!
(琵琶)「時こそ来たれ」「元暦2年3月24日の卯の刻に」「源平両軍船出して」「壇ノ浦にて矢合わせとぞ定めける」〜「二位殿は帝を抱き奉らせて」「波の底にも都の候ぞと」「千尋の底にぞ沈み給う」芳一さんしっかりしろ!あんたたぶらかされてるんだ。
あっいけません邪魔をしないでください。
これを聞いた和尚は芳一を問いただしました。
観念した芳一は付近の屋敷に逗留している高貴な大名一門のために歌って聴かせたのだと白状しました。
確かにお前の歌は鬼さえも涙を流すと評判だ。
けれどこの辺りに大名一門が泊まれる屋敷なぞない。
えっ!?お前は平家の墓で歌っていたのだよ。
歌を聴いて泣いていたのは平家の亡者たちじゃ。
和尚は話を聞いてこのままでは芳一が八つ裂きにされると思いました。
わしは今晩も法事で出ていかねばならないがこうして体に経文を書いておけば亡者からお前の姿は見えなくなる。
亡者が呼びにきても決して身動きしたり返事をしたりしてはいけないよ。
今夜を乗り切れば亡者は退散するに違いない。
(物音)芳一芳一!誰もいない…隠れたか?ならば捜し出してみせようぞ。
それからどれだけ時間が経ったか芳一は我慢も限界にきていました。
うん?さっきは気づかなかったが耳が2つある。
芳一は見つからなかったが心を尽くして捜した証しにこれを持っていこう。
うあ〜!愚かな我をたばかろうとしたか!あ〜お許しください助けて。
芳一。
うん?あっうわ〜!かわいそうにわしが耳に経文を書き忘れたばかりに…。
許しておくれ。
芳一はその後も琵琶を放しませんでした。
人は彼を耳なし芳一と呼ぶようになりました。
芳一はこの世に戦が絶えぬかぎりその悲しみを歌い続けようと心に決めたのでした。
2015/07/19(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]

今週から夏休み特別企画!怪談シリーズをお届けします!第一弾は「耳なし芳一」。ほっこり笑える「まあだまだわからん」「雷と桑の木」も放送!お楽しみに!!

詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
 柄本明
 松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
 作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
 編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
 歌:中川翔子
 コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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