日本のチカラ 2015.07.19


(消防車のサイレン)いつどこで地震が発生してもおかしくない地震大国日本。
あらゆる事態を想定した対策は待ったなしです。
深刻な被害が想定される南海トラフ地震に備え防災製品を手掛ける町工場が高知市にあります。
強化プラスチックを加工してアイデアを次々と形にする男性社長。
笑顔の裏に命を守りたいと願うある理由がありました。
東日本大震災直後には宮城県に移動式の風呂を軽トラックで運び被災者の入浴を支援。
4年ぶりの訪問で待っていたのは…。
『日本のチカラ』今週は高知県から。
命を守るために奮闘する男性社長の物語です。
100年から150年に一度巨大地震に見舞われてきた高知県。
1946年12月にはマグニチュード8.0の昭和の南海地震が発生。
激しい揺れや津波によって高知県では679人が犠牲になりました。
高知県では南海トラフ地震に備えるとともに防災関連の産業振興に力を入れていて優れた製品を認定し県内外に発信しています。
これまでに認定された製品の数は85。
こちらは6人乗りのお年寄り体の不自由な方避難を誘導された方そういう方たちにも最後に乗ってもらおうっていうので提案させてもらっています。
こちらは風呂や川の水といった淡水をフィルターを通して飲料水にする浄水装置。
これまでに31台販売しています。
そしてこちらは備蓄用の防災毛布。
断熱フィルム入りで保温性が高くおよそ10万枚を販売しています。
冬場であっても室内であればこれ1枚で十分防寒出来るそれぐらいの保温性を持っています。
これはですねこちらは津波で浸水した時に救助や避難物資の輸送などに使う防災ボート。
製造する会社南海トラフ地震では津波による長期浸水が想定されているだけにボートに関心が集まります。
はい39キロです。
小さな町工場が立ち並ぶここに土佐レジンがあります。
従業員は7人。
FRP強化プラスチックを加工して漁船の改修をはじめコンテナや養殖用の水槽モニュメントや足湯など幅広く手掛けています。
職人気質でパソコンはめっぽう苦手な小川さん。
はいはいもしもし。
16年前にのどを手術し声をはっきりと出せませんがいつも笑顔を絶やしません。
土佐レジンの防災ボートは普段は工具を一切使わず誰でも簡単に組み立てる事が出来ます。
前と後ろの船をがっちり固定するための金具がここにあります。
固定します。
ここも工具いらず。
大人2人で3分ほどで組み立てる事が出来ます。
ボートの側面には軽量かつ強度に優れ価格は38万円です。
小川さんは高知県内に4人しかいないというFRPでボートを作るにはまずガラス繊維など布状の繊維素材をボートの型に敷き詰めます。
続いてガラス繊維に液体ポリエステル樹脂を塗り込み固めます。
1層目が乾くと一番はね…。
あと作業は汚い。
ヘヘヘ…。
あとにおいがくさい。
あと1つはガラス繊維が刺さるとかゆい。
で…給料安いっていう事ですね。
表面が乾くとそして最後にこうして折り畳み式ボートのボートの高知市出身の小川さん。
高校時代に取得していた電気工事の資格を生かし造船所に就職。
これまでこれいいでしょ?ボツ。
ハハハハ…。
さらにはこんなものまで。
それでもアイデアを次々と形にする小川さんに若い従業員たちは全幅の信頼を寄せています。
仕事しすぎるきゆっくりしたらええな思う。
非常に過ごしやすくいい会社だと。
ほんまに給料もらえんなるきね。
手挙げちょかないかん。
小川さんが初めて作った防災関連の製品がこちら。
これはそう思って浴槽やシャワーを備え…。
いつでも清潔な状態で入浴出来ます。
この小川さんは直後の4月軽トラックにお風呂を載せてそして2カ月にわたって宮城県内で入浴や足湯ボランティアを続けました。
この時「ボートがあればよかった」という声を聞き開発に乗り出しました。
こちらは試作1号目のボート。
工具を使わず5分ほどで組み立てる事が出来ましたが津波に流される人を救助するには強度が足りないと判断。
さらに改良を重ねていきました。
よいしょ…。
(小川さん)はいじゃあここで。
試行錯誤の末に完成した現在の防災ボート。
強度不足を解消しゴム製ボートより耐久性にも優れています。
防災ボートは消防などの他津波浸水やその後の長期浸水が懸念される高校などに高知県が配備しています。
こちらは50人あまりが暮らす児童福祉施設。
さらに愛知県の企業など合わせて25艇を販売しました。
仕事帰りに立ち寄るのは行きつけの居酒屋。
目下の悩みは若い従業員たちとのジェネレーションギャップ。
20年来の付き合いという店主の吉邑康彦さん。
小川さんが笑顔を絶やさず命を守るものづくりに向き合う訳を話してくれました。
まあねえ…。
僕もあと20年は頑張っていける。
20年…。
(吉邑さん)20年よ。
いやあ…。
(吉邑さん)人生今80年やき。
20年したらよ南海トラフ地震は来るしよ。
(吉邑さん)南海トラフ地震で活躍せないけんやん。
(吉邑さん)はいボート広げて言うて。
小川さんに咽頭がんが見つかったのは46歳の時。
4年間で3回再発し3度の手術。
脳にも転移し余命3カ月を宣告されました。
さらに妻を3年前に胆管がんで亡くしました。

(ギター)長い闘病生活の中心を癒やしたのは中学時代に夢中になったギター。
抗がん剤の副作用でムカムカする気分を紛らわすため大好きなバンドザ・ベンチャーズの曲を弾き続けました。

(ギター)2004年には高知公演を行ったベンチャーズと直接交渉しステージで共演する事も出来ました。
前向きに生きる意志が力となり発病から12年後奇跡が起こります。
体からがんが消えていたのです。

(ギター)どうぞ。
ゆっくり…。
人の役に立ちたい。
その思いで小川さんは今年4月から全く縁のない観光遊覧船の事業にも乗り出しました。
事業主の都合で3年前から運航を休止していた観光遊覧船。
船舶免許を持つ小川さんは再開を望む声に応えようと自ら手を挙げ運航を再開しました。
遊覧船は桂浜に立つ坂本龍馬の銅像を海から眺める事が出来るとあって観光客の人気を集めています。
忙しい毎日を送る中で小川さんにはずっと気になっていた事があります。
私たちは小川さんに声をかけてみました。
小川さんは宮城県東松島市を訪れました。
東日本大震災直後に入浴支援に訪れて以来4年ぶりです。
東松島市の市街地は全国の被災地でも最大の65パーセントが浸水。
死者行方不明者は合わせて1100人あまりに上ります。
小川さんの目に映ったのは道半ばの復興。
ここは東松島市からの指示を受け5日間入浴支援を行った赤井地区の体育館です。
おお。
赤井地区は津波で定川が氾濫。
川の水は住民が避難していた体育館まで到達し長期間浸水した状態が続きました。
防災ボートのアイデアはここで生まれました。
1人の男性が声をかけてきました。
(小川さん)見覚えは…。
はい。
そうでした。
ありましたね。
あそこに印あるけど…。
そしてまた1人。
見てすぐにわかりました。
はい。
(スタッフ)どんな思い出が…?懐かしいです。
本当に。
ありがとうございましたと言いたいですね。
本当に。
妊娠中の妻が一番風呂に入ったという当時お腹の中にいた男の子。
(小川さん)名前はなんていいますか?ええ!?同じ坂本龍馬の龍馬です。
龍馬くん…ほお〜。
(拍手)震災当時入退院を繰り返していた妻の愛さん。
その年の8月無事に龍馬くんを出産しました。
(齊藤さん)やっぱり強くて元気でですねたくましい子に…男の子になって欲しいと思っています。
介護施設で働く愛さんが出勤前に会いに来てくれました。
(小川さん)どうもどうも…。
フフフ。
すごいですね。
4年ぶりで。
フフフフ…。
4年ぶりですよね。
(愛さん)うわあすごい懐かしい。
(小川さん)ここにシャワーカーテンがあってここが更衣室ですよね。
はい。
うわあすごい。
よいしょ。
ほらすごい。
座れる?やっとお風呂に入れたので何週間ぶりだったのですごいもうさっぱりしてもう本当に
(愛さん)龍馬も一緒に入ったのでお風呂…。
お腹の中で喜んでいたので。
(スタッフ)どうですか?高知のものづくりが生んだ被災地との絆です。
(小川さん)いやあよかった。
来てよかった。
フフフ。
小川さんは今新たな防災製品の開発に取り組んでいます。
これはですね現状の貯蔵タンクは倒れると燃料があちこちから漏れ出すんですわ。
震度5強以上の揺れを感知すると置き皿から赤色の玉が落下し遮断弁が閉じる仕組みです。
(小川さん)あっ地震だ。
小川さんの重油タンクは売れるのでしょうか?疲れた。
ハハハ…。
高知市で防災製品を作る土佐レジン。
倒れても重油が漏れない農業用タンクは6月中旬から販売を開始し2週間でおよそ90基の注文が入りました。
最後に私たちが気になっていた事独自ブランドの「アソット」ってどういう意味なのか尋ねてみました。
ここ「アソット」って読むわけですね。
土佐レジンってフフフ…。
はい。
ここにも高知で生まれた防災製品で命を守りたいという願いが込められています。
笑って泣いてまた笑って。
小川さんの奮闘が続きます。
『日本のチカラ』次回は石川県。
世界に一つだけの洋服を手掛ける女性社長に迫ります。
2015/07/19(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本のチカラ[字]

今や巨大地震対策は、まったなし!今回はアイデア満載の防災製品を作っている、高知県の素敵な会社に密着。波乱の人生を過ごしてきた社長の「命に対する熱き想い」とは!?

詳細情報
◇番組内容
高知市にある、従業員わずか7人の小さな会社…巨大地震に備え工具不要の救助避難用ボートを作っています。社長は5年前、避難所で利用できる移動式の風呂を開発。翌年の東日本大震災直後には2か月間、宮城県で入浴支援ボランティアを続けました。社長が命を守るものづくりに励むのは、がんの闘病生活を乗り越えた経験があるからです。6月、社長は4年ぶりに宮城県東松島市へ。そこで待っていた、感動の再会とは!?
◇番組内容2
社長は、がんで余命3か月を宣告され、長い闘病生活を送るなか、気分を紛らわすためギターを手に取り、大好きなザ・ベンチャーズの曲をマスターするようにしました。目標を持ったことで生きる希望がわき、発病から12年後、奇跡が…。体内からがんが消えていたのです。胸に刻んでいるのは「この世の中のために役立てることをしなくてはいけない…ということで生かされている」という思いでした。
◇番組内容3
全国各地の「魅力あふれる産業」を通して、地域の歴史や文化・人々の英知や営みを学び、日本の技術力・地方創生への道・温かいコミュニティー、生きるヒントを描き出す、教育ドキュメンタリー番組。
◇ナレーション
井手上 恵(高知放送アナウンサー)
◇音楽
高嶋ちさ子「ブライト・フューチャー」
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:高知放送
協力:文部科学省/中小企業基盤整備機構
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/

この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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