『がっこうぐらし!』アニメ第1話は、どうして面白かったのか
※ テレビアニメ第2話および原作漫画版については触れませんので、コメント欄などにも内容を書き込まないで下さい。
今季の私の推しアニメは、6月に書いた記事でも第1枠に挙げた『がっこうぐらし!』です。その『がっこうぐらし!』アニメ第1話の後、ちょっとどうしても見過ごせない反応を見かけたので今日はそのことについて書こうと思います。
なので、第1話のネタバレを思いっきり書きます。
第1話を観てからこの記事を読むことをオススメします。
テレビ放送を録画している人はもちろん、録画していない人も『がっこうぐらし!』はWEBでの公式配信を積極的にやっているのでそちらで観ることが出来ます。ニコニコ動画、バンダイチャンネル、GyaO!、ビデオマーケット、楽天SHOWTIMEで「第1話無料配信」が行われています。
またニコニコ動画、GyaO!、ビデオマーケット、楽天SHOWTIMEではどうやら「最新話1週間無料配信」みたいなので、現在のところ「第2話も無料配信中」です。つまり、今ならまだ追いかけられるんです!是非!
ただ、当たり前ですが「第1話」を観てから「第2話」を観た方がイイです。
それと、ニコニコ動画で観る場合はコメントを消して観た方がイイかもですね。
今日の記事は本当に「うっかりネタバレを読んでしまった」ということを避けたいので、格納しておきます。TOPページからお越しの方は「続きを読む」をクリックしてください。
えーっと……そろそろ本題に入ります。
「ネタバレ」の注意はもうイイですかね?
「この記事を読んで、本当に面白そうか判断してから第1話を観るか考えよう」って思っている人は、今すぐこの記事を読むのをやめて先に第1話を観てください。この記事を読んだら最後、その後にアニメ第1話を観ても100%の面白さは味わえません。せいぜい20%くらいしか楽しめなくなってしまうと思います。「私はネタバレされてから作品を観たいんですよー」という人であっても、です。
この記事を読んで、第1話のネタバレをされた状態で実際にアニメ第1話を観て、「なんか…言ってるほど面白くなかったな…」とか思われても、それは私の責任でも作品の責任でもありませんよ。面白くない視聴方法を選んだアナタの責任ですからね!知りませんよ!
もう、この一言を読んでしまえばおしまいな一言をこの直後に書きますよ!
イイですか?私はもう責任を取りませんからね!
『がっこうぐらし!』の第1話は、「叙述トリック」なんですよ。
「叙述トリック」とは、読者(視聴者)の先入観や思い込みを利用して作者が読者(視聴者)に対してミスリードを仕掛けるトリックです。一言で説明するのは難しいのですが、「読者(視聴者)が観ていた世界が真実ではなかった」という真実が明らかになることで所々の謎が解明される―――ってカンジですかね。
「叙述トリック」の作品は「この作品は叙述トリックである」と紹介した時点でネタバレになってしまい、その作品の魅力は味わえなくなるんです。だから、今日の記事では何度も何度も「この記事を読んでから第1話を観ても楽しめないよ」とネタバレ通告をしていたのです。
Wikipediaなんかでうっかり「叙述トリック」の項目を読むと、「叙述トリックを使った作品」が列挙されているのでネタバレ地獄がとてつもないです。そういう意味では、具体的な作品名を出さずに説明しているニコニコ大百科の解説がオススメです。
『がっこうぐらし!』の第1話は「信頼できない語り手」という手法の応用だと思います。
ネタバレになるので具体的な作品名は出しませんが……例えばとある映画では「事件に巻き込まれた被害者」がどんな事件だったかを語るのだけど、実はその被害者が首謀者だったことが映画の最後で明らかになり、彼の口から語られた事件が虚偽であったと判明することで全ての謎が氷解するというラストでした。
『がっこうぐらし!』の第1話は、ゆきが目覚めるところから始まり、ゆきのモノローグが流れて、描かれるシーンはほぼ全てゆきのいるシーンで構成されています。ゆき目線で作品が語られているんですね。しかし、そのゆきが見ている世界は真実ではなかった―――そのことが明らかになった瞬間、それまで視聴者が感じていた「違和感」の答えが全て分かるという。
んで、「叙述トリック」の作品の魅力は、この“「違和感」の答えが全て分かる”瞬間の気持ち良さだと私は思うのです。
『がっこうぐらし!』の第1話って、一見すると「ものすごく出来の悪い日常アニメ」みたいなんですね。「出来の悪い」というのは作画や演出のことではなく、物語の整合性が取れていないという意味でね。「日常アニメが流行っているから何も考えずにテキトーにウチも作りました」みたいな作品に見えるんです。
・授業中なのに、ゆき以外の3人は授業を受けなくてイイのかよ!
・他のクラスが授業をしているのに、平然とドアを開けるみーくんはどんだけ天然なんだ!
・「常にスコップを持ち歩いている」って、どんなキャラの立たせ方だよ!
・突然現れる園芸部のモブはどこにいたんだよ!授業はどうしたんだよ!
・あんだけ大騒ぎしてたのに、クラスメイトは気付いていないのかよ!
この辺のツッコミは私だけじゃなく、「事情を知らないままTwitterを実況している人達」を見ていたら同じようにツッコミを入れていました。「何も考えずにテキトーに作ってるアニメなんだなぁ」と、実際に実況している人もいました。そして、最後に「え……?」と唖然とするという(笑)。
これらのツッコミどころは全部伏線だったんです。
ゆきの見ている世界が真実ではないと分かった瞬間、これらは「ツッコミどころ」から「真実を照らしていたヒント」にひっくり返るのです。もう1回観返すと「テキトーに作っている」どころか「ところどころにヒントが隠されていた」ことに気付くのです。ゆきには見せない、くるみやりーさんの表情。みーくんがやたら緊張している理由。黒板の英文。窓が閉まっているのに聴こえる風の音。何故ゆきと3人の制服は色が違うのか。バリケード。お墓らしきもの。
「叙述トリック」の面白さはコレなんです。黒一色だったオセロの角を取ったことで次々と白にひっくり返る瞬間のカタルシスのように、「謎だったところ」「違和感しかなかったところ」「ツッコミどころだと思っていたところ」が全て「真実を照らしていた」ことに気付く瞬間の気持ち良さなんです。
だからね。
『がっこうぐらし!』の第1話に対して、「可愛い女のコがのほほんと集まっている日常萌え萌えアニメだと偽装しておきながらショッキングなことを起こして話題になろうとする作品なんて何番煎じだよ!」と言うのはちょっと違うと思うんです。
それもネタバレになるから具体的な作品名は出しませんが、確かに「可愛い女のコを愛でるアニメだと思って観ていたら3話でその女のコが死んだ」みたいな作品はたくさんあります。その良し悪しはここでは置いておきます。
ただ、『がっこうぐらし!』の第1話は「ただショッキングなことを起こした」ワケでも「ただ残酷なことを起こした」ワケでもありません。この作品の第1話がやろうとしていたことは、「叙述トリック」です。「ツッコミどころ」が「真実を照らしていたヒント」にひっくり返る瞬間の気持ち良さを視聴者に味わわせたくてこういう構成にしているんです。でなかったら、ところどころにヒントなんて散りばめないでしょう。
「ショッキングなことを起こして話題になろうとするアニメ」と「叙述トリックのアニメ」を一緒くたに語るのは、「人をたくさん殺す猟奇的な作品」と『名探偵コナン』を一緒くたに語るようなものです。確かに『名探偵コナン』もたくさん人が死にますけど「イヤッホゥウ!血がドバドバで気持ちイイぜええええ!」って楽しみ方をする作品じゃなくて、そんな犯人のトリックを見破って追い詰めていくのが楽しい作品なワケで。
その二つを一緒くたに語るというのは、「作品」ではなく「1シーン」しか観ていないということだと私は思うのです。
もちろん、どんな作品にだって「好き嫌い」があるのは仕方がありません。
「叙述トリックだということ」が分からないで「ただショッキングなことが起こった」としか認識できない人もいただろうし、「叙述トリックだということ」が分かった上でも楽しめなかった人もいたことでしょう。極端な話、「ただの日常アニメが観たかったのになー」という意見もあるでしょうからね。
しかし、私に「これは自分が記事を書かなくては」と決意させるような出来事が起こるのはここからです。
この『がっこうぐらし!』の第1話に対して「みんなが騒いでいるから、結末を知ってから第1話を観たんだけどそんな面白くなかったなー」と言っている人がいたのです。
はああああああああああああああああ!!?
「叙述トリック」の作品を!!!
結末を知ってから観て!!!!
「そんな面白くなかった」って!!!!
そりゃそうだろうがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
「叙述トリック」の作品は、盤上に並んだ黒いオセロがたった一手で次々と白にひっくり返る瞬間こそが魅力なのです。自分が違和感を覚えながら“真実”だと思っていたものが“真実”ではないことに気付き、今までの謎が全て明らかになった“真実”を知る瞬間こそが魅力なのです。
それなのに“真実”を先に知ってしまえば、ひっくり返るものがありません。最初から白いオセロを「白だね」と眺めるだけの作品になってしまいます。
だから、「叙述トリック」の作品はネタバレを見てからでは楽しめないし、絶対にネタバレをしてはいけないのです。「この作品は叙述トリックだよ」と言うことすら許されないのです。
世の中には、「ネタバレをして欲しい人」がいるという大切な事実
この記事に書いたように、世の中には「先にどんな作品なのかのネタバレを読んでから作品を観たい」という人がいます。推理小説の結末を真っ先に読んで、犯人が分かった上で最初から読む人もいるくらいです。私自身はそういう楽しみ方はしませんが、その方が楽しめるのならそういう楽しみ方もアリだとは思います。
しかし、それは「その方が楽しめる」からアリなだけです
「この推理小説、結末を先に読んで犯人が分かった状態で一から読んでみたんだけど……あんま面白くなかったね」って言われたら、ふざけんんなああああああああああ!それは正規の順番で読まないオマエの責任だろうがあああああああああああ!!!面白くないのは!その本ではなく、オマエ自身だっ!!!!!!その本の作者と!!!出版社と!!!本屋さんと!!!その作品のファンに、百万回謝れやああああああああああ!!!と言いたくなります。
あの記事を書いた時も言われましたし、それ以前からも散々言われていましたけど……「本当に面白い作品はネタバレをされたとしても面白いんですよ」って意見を言ってくる人もいます。私から言わせれば、「本当に面白い作品」の定義をテメーが狭めんなって話です。
たくさんある作品には「ネタバレをされても面白さをそれほど損なわない作品」もあれば、「ネタバレが致命傷になる作品」もあるってだけです。どちらも「本当に面白い作品」であって、後者が前者より劣っているなんてことはありません。『がっこうぐらし!』の第1話のような「叙述トリック」の作品は典型的な後者の作品です。
もちろん「望まないネタバレをされてしまって、第1話を楽しみにしていたのに観る前に真実を知ってしまった人」もいることでしょう。「元々ノーチェックだったけど、ネタバレが出回ってきたことで興味が出てWEB配信で観てみた人」もいることでしょう。
そういう人が少しでも少なくなるように、私は6月の記事では第1枠で推していたんですけどね……勘付かれないようにニトロプラスの名前も出さないようにして、ただただ「とにかくみんなも観て!」とプッシュしていたんですけどね……まぁ、それはイイや。
私が更ににイラッとしたのは、
「みんなが騒いでいるから、結末を知ってから第1話を観たんだけどそんな面白くなかったなー」と言っている人が、その口で「可愛い女のコがのほほんと集まっている日常萌え萌えアニメだと偽装しておきながらショッキングなことを起こして話題になろうとする作品なんて何番煎じだよ!」とネタバレを振りまいて、更なる二次被害者・三次被害者を拡散させていたことです。
「叙述トリック」の作品は、ネタバレしてしまうと楽しめなくなるんだよ!
今!まさに今!アナタがそれを体現していたというのに!!
なのに、ネタバレを更に振りまくんですか!!!!!!
世の中には「ネタバレされたい人」もいれば、「ネタバレされたくない人」もいます。
私みたいに神経過敏になって「ネタバレすんじゃねえ!」と怒り出す人は、どこに行っても厄介がられてしまいますし、叩かれてばかりです。ずっとずっと肩身の狭い思いをしてきました。こんなことならそっと口を閉じて、ネタバレについてなんて言及しなければイイんだと口を閉じて我慢していた時期もあります。
しかし、今回の『がっこうぐらし!』の第1話のように「ネタバレが致命傷になる作品」のネタバレを平気で振りまいて、「結末知った状態で観たけど面白くなかった」と批判している人間を見かければ声を挙げざるを得ません。
それは一生懸命作ったスタッフの人達に失礼だし、必死にネタバレしないように宣伝していたプロモーションスタッフにも失礼だし、それに協力してネタバレしないように努力してきたたくさんの原作ファンにも失礼じゃないですか。
世の中には「ネタバレをされてもそれほど面白さを損なわない作品」もあれば、「ネタバレが致命傷になる作品」もあるんです。
「叙述トリック」の作品は典型的な「ネタバレが致命傷になる作品」です。
少なくとも、これだけは胸に留めておいて欲しいです。
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