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なわとび1本で何でもできるのだ

シルクドソレイユ日本人アーティスト粕尾将一

「責任」と「感情」あなたは、どちらのために仕事をしますか?

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http://www.flickr.com/photos/25512069@N00/3804031513
photo by allfr3d


こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。


シルクドソレイユのアーティスト*1は、思ったよりフランクに仕事を休みます。怪我や体調不良で休む人もいますが、それ以外にも「家庭の事情」「有給休暇」「育児」「自国での災害」などで休むことも。


観客の中には一生に一度のディズニーワールド、二度と見ることのできないシルクドソレイユという人も居るはず。世界中から観客の集まるステージゆえ、こうした想いが考えると「休みを取る」ことに罪悪感を感じます。


ですが、ここには「責任」か「感情」かという大きなジレンマがあるんです。



ショーへの出演も「仕事」という捉え方


自分達にとってショーへの出演は仕事です。ゆえに他の職業と同じく「業務の責任」で考えられます。


たとえば怪我や病気でショーを休むことができます。女性アーティストの場合、妊娠出産で長期休養する人も少なくありません。また有給休暇も一定の日数を取ることできます。


つまりショーに出演するという業務に対して、きちんと保証がなされているんです。


ディズニーワールドに集まるゲストの感情


ではシルクドソレイユのショーを見に来る人はどのような人でしょうか。


正直、ショーのチケットは安くありません。一番安価な席でも50ドル以上、高い場所だと150ドルを超える席も。それだけの金額を払ってでも、わざわざショーを見たいというお客さんが集まってくるのです。


しかもディズニーワールドはゲストが世界中から集まってくる場所。せっかくのディズニーワールド旅行。スペシャルな夜に最高の演技を見たい。一生の思い出を作りたい。こんな風に考えている人も少なくないはずです。


「感情」に「責任」を感じたら苦しい


観客の想いは、自分達も痛いほどよーーく理解しています。でも「感情」に「責任」を持つのは苦しいのです。


今日のこのショーの観客にとって、この瞬間は一生モノかもしれません。しかしそれがアーティストには連日続くのです。今日のショーも、明日のショーも、そしてこれからもずーっと続く。それがシルクドソレイユのショーです。


もちろん手抜きするとか、半端な気持ちでやるというわけじゃありません。毎回全力投球することには変わりないです。しかし「観客の感情」の期待に応えようと、毎回のショーで過剰に責任を感じてしまうのは危険なんです。


感情に責任を感じれば、自分自身をあと回しに考え始めます。多少の体調不良、身体の痛み、プライベートの事情を飲み込んでしまう。限度を超えればドクターストップがかかるまで感情に責任を感じ、ボロボロになってショーに出演し続けることでしょう。


今思えば両膝の怪我したとき、自分はこの状態になっていました。


いま休めば、縄跳びアクトのフルバージョンを見せられない。ショーを楽しみにしてくれているお客様に申し訳ない。過剰な責任を勝手に心に植え込み、たとえ歩行困難になってでもステージに立つ。最後にフィジオ*2が強制的に休ませるまで、暴走した責任感は突き進んでしまいました。


まとめ


仕事には責任感は必要です。ではその責任はどこに向かっていますか。


本来の業務で果たすべき責任ですか?
もしかして、誰かの感情を満たすことに責任を感じていませんか?


ときに人の感情を満たすことも必要でしょう。一方で「責任」と「感情」に先引きをしないと自分で首を絞めることになります。生きづらさを感じている人は、もう少し責任をドライに考えても良いのではないでしょうか。



*1:パフォーマーのこと。シルクドソレイユではこう呼ぶ

*2:シルクドソレイユに専属で常駐しているアスレティックトレーナー

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