「冥王星」はアニメでどう描かれてきたのか 
2015/07/18 Sat. 22:23 [edit]
さる7月14日、冥王星に最接近したNASA探査機ニューホライズンズから
連日送られてくる鮮明な画像や発表されるニュースに心躍らせている方も多かろうと思います。

なにしろ50億キロも離れた場所、大気があるらしいことはわかっていたものの
ほとんど謎に包まれていた全容が今後数ヶ月かけて次々と明らかになっていくはずです。
近年準惑星に格下げになった不遇の星。僕らが天王星や海王星よりひときわ冥王星に憧れるのは、
冥府の王の名を持ち、かつて太陽系の最果てとされたこの星が多くのクリエイターの想像力をかきたて、
そしてその作品群に、多感な時期の僕らが触れてきたからだと思うわけです。
今回はそこらへんをざっくりと振り返ってご覧にいれたい。
※ちなみに聞いた話では、プルートという洋名に「冥王星」という和名をあてたのは
中川翔子さんの曾爺様とのこと
■宇宙戦艦ヤマト#08 (1974)

なんだかよくわからない、モヤモヤした謎の星という外観。
なにしろ当時まだ誰も見たことが無い、光の点でしか観測できない遠い星です。
すべては人間の想像力にゆだねられます。
確認しうる限り、冥王星がアニメに登場したのはヤマトが最初だと思う。
シュルツを司令とするガミラスの前線基地がおかれた。
ここから遊星爆弾が地球に向けて発射される、
ガミラスにより環境改造が施されているという設定で海もある。
シリーズ序章においては近傍が激しい艦隊戦の舞台となった。


反射衛星砲の攻撃を受けたヤマトが船体を安定させるため
「冥王星の月」にアンカーを打ち込むというギャグ漫画チックな表現がある
ちなみに現実の1974年の時点では冥王星の衛星はまだ観測確認されてない
■宇宙戦艦ヤマト 完結編 (1983)


ディンギル、ルガール・ド・ザールの外道戦法とヤマト/地球艦隊の戦術的無策、
地球艦隊の美学的自己犠牲、波動カートリッジ砲など見所満載の冥王星会戦
冥王星の地表面はごつごつした岩盤と山河、表現は緻密であるものの、
前シリーズから大きな変化はないように見える

参考
1980年刊、トンボーとパトリックムーアの新書に天文学アーティストのドン・ディクソンが描いた装画
位置関係から推察すると衛星カロン地表から眺めた冥王星ということになるっぽい
後のヤマトシリーズにおける冥王星地表面のイメージ元ネタになってるかもしれない。
■惑星ロボ ダンガードA #40 「果てしなき銀河の海へ」 (1977)



松本零士原作アニメの「冥王星」
太陽系第十番惑星プロメテに移住するという話
この時点ではまだ冥王星のイメージは固まっていなかったように見える。
■銀河鉄道999 #05 「迷いの星の影」 (1978)


冥王星が氷のカタマリといったイメージは「銀河鉄道999」で完成されたものと思う。
生身の身体を棄てていった無数の人々の抜け殻が氷付けにされていて
シャドウという女性が一人で墓守をしている。


冥王星スペックは当時最新のもので、宇宙戦艦ヤマトの設定とも内容的に一致している。
この「銀河鉄道999」原作マンガは1977年末に発表されたものだが、
くしくもこの半年後、アメリカの天文学者クリスティーによって冥王星の衛星カロンが発見された。
冥王星の直径は、その距離と明るさから水星(4800キロ)と火星(6800キロ)の中間と予測されていたが
その明るさは、冥王星とカロンが双子星のような関係にあり、2つを合わせた明るさであることがわかった。
そのためカロン発見によって冥王星の直径も大幅に下方修正されることになった。
今回のニューホライズンズの観測で、より正確な冥王星の直径は2370キロと判明。月よりも小さい。
ちなみに、冥王星とカロンが初めて望遠鏡で個別に観測されたのはハッブル完成後。(90年代)
■劇場版 銀河鉄道999 (1979)


■さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅- (1981)


星の外観はシリーズを通してほぼ同一ですね。
氷結の星としての青、そして太陽系の果ての深い暗闇というイメージ
■宇宙空母ブルーノア #24 「地球よ、永遠に!」 (1980)

ヤマトの類似作品、打ち切りの憂き目にあい10数話分が短縮され
地球を離れて宇宙にくり出したのは終盤のみだった
一番手前が冥王星と思われる。
■宇宙大帝ゴッドシグマ (1980) ED

⇒YouTube
「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」の有名なコーラス。左奥が冥王星と思われる。
1979年にボイジャー1号によって発見されたばかりの木星の輪が見える。
当時は気にならなかったけど、けっこう線がガタってるなあ・・・
ちなみに、このフレーズをよく覚えていたせいか
1985年の資生堂cosmo秋のキャンペーンCMには軽く衝撃を受けた
⇒YouTube

1979年~99年あたりまでは「・・・土・天・冥海」の並びが正しかったらしい。
海冥に戻ったと思ったら数年で降格になっちゃって、つくづく不遇
■六神合体ゴッドマーズ #07「冥王星は地獄の星!」 (1981)


今見るとひとっ飛びで冥王星まで行ってしまうクラッシャー隊に驚く
藤川桂介さんが脚本参加というのもあるけど、冥王星のイメージには松本零士作品の影響が強くあると思う。
■銀河疾風サスライガー #27 「聖星はるかなり」 (1983)

その発見から五年、アニメで衛星「カロン」が描かれた最初の作品ではないかと思う。\イエーイ/


カロンは背景の添え物としてでなくブラディ軍の核ミサイル基地として描かれ\イエーイ/
カーメン25世の超能力によって基地は粉砕された。\イエーイ/

1989年にボイジャー2号が海王星に最接近。海王星が「青い氷の星」であることがわかると
アニメにおいて大きくかぶっている冥王星の色や材質イメージは、相対的変更を迫られます。
■劇場版 銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー (1998)


あまり話題にならなかった劇場版新作ですが、
重要な舞台として過去のシリーズ中に何度も出てきた「迷いの星・冥王星」が
唐突にカロンとともに二重惑星になってたのには驚きました。
ハッブルもできて、天体観測の分野で未知だった色々なことが次々発見され始めると
アニメでは逆に描きにくくなるのか、ほとんど黒塗りになっちゃってますね。
そもそも遠い星でとても暗いということもあるのだろうけど。
この二重星は距離的にはちょっと近すぎるかもですが、大きさの対比はわりと正確なのかな。
ハッブルでも、かなりボヤけた画像しか無かったころですしね。
まあ、カロンは実際かなりでかい衛星なんだ、ほとんど双子星なんだという
そういう部分に触れたのは画期的かもしれない。

このたびニューホライズンズが撮影したカロンと冥王星 (2015)
■トップをねらえ2! #04 「復活 !! 伝説のバスターマシン! 」 (2003)


灰色の冥王星、トラントロワが眠る舞台として。
冥王星には遺跡があって、カロンのほうが開発されているのが面白い設定だと思った
サスライガーへのオマージュというわけではないだろうけど

冥王星は砂漠のようなイメージで描かれる。あるいは砂でなく凍った固体窒素とかメタンとか
海外SFにはこういう解釈もあったような気がするけど、正確に思い出せない
実際のところ冥王星の表面がどうなってるのかはこれからわかるわけだけど、
松本アニメの影響を抜け出したという点で画期的と思う、
■宇宙戦艦ヤマト2199 #05「死角なき罠」 (2013)


最近のリメイク作、グリーンの冥王星。
「冥王星表面を覆う氷と岩盤」という点が現実に言われてるイメージと近い感じ
前作シリーズとの齟齬もなく


またヒドラやニクスといったほかの衛星(2005年に発見)に触れている点も新しい
どの作品も最近に至るまで冥王星は単色でまとめてるけど
ニューホライズンズの赤外線/可視光線情報もとに着彩された画像も公開された

これだと意外にもダンガードAの冥王星が一番近いのかもしれない↓

いずれにせよ冥王星のイメージはアニメが与えてくれた、
そしてそれを随時修正してく柔軟性もまた、アニメによってもたらされた気がする。
惑星でなくなり、外縁天体に格下げされると
カイパーベルトやオールトの雲なんかの仲間になって
「太陽系の最果て」という特異なポジションは完全になくなってしまったために
物語への利用のされ方も変わってきつつある昨今なのですが
(太陽系の果てに赴くというエピソードのある「放課後のプレアデス」では
冥王星が完全無視されてた。これはある意味で新しかった)
今回の探査機の接近によって
地表面は本当はどんな様子で、どんな地形があって起伏はどうかなど、
謎に包まれていた冥王星の姿が今後次々と明らかになるはずです。
なんだか今回の全データをNASAがダウンロードし終わるのに、1年半もかかるそうで。
誰も予想しなかったとんでもない謎が明らかになったりすると、面白いですよね。
そしてもたらされた新情報が、また新たなクリエイターを刺激し、
それが新しいアニメとなって僕らにチビッコに届けられるとしたら
なんという好循環、さらにわくわくしてきます!\イエーイ/
連日送られてくる鮮明な画像や発表されるニュースに心躍らせている方も多かろうと思います。
なにしろ50億キロも離れた場所、大気があるらしいことはわかっていたものの
ほとんど謎に包まれていた全容が今後数ヶ月かけて次々と明らかになっていくはずです。
近年準惑星に格下げになった不遇の星。僕らが天王星や海王星よりひときわ冥王星に憧れるのは、
冥府の王の名を持ち、かつて太陽系の最果てとされたこの星が多くのクリエイターの想像力をかきたて、
そしてその作品群に、多感な時期の僕らが触れてきたからだと思うわけです。
今回はそこらへんをざっくりと振り返ってご覧にいれたい。
※ちなみに聞いた話では、プルートという洋名に「冥王星」という和名をあてたのは
中川翔子さんの曾爺様とのこと
■宇宙戦艦ヤマト#08 (1974)
なんだかよくわからない、モヤモヤした謎の星という外観。
なにしろ当時まだ誰も見たことが無い、光の点でしか観測できない遠い星です。
すべては人間の想像力にゆだねられます。
確認しうる限り、冥王星がアニメに登場したのはヤマトが最初だと思う。
シュルツを司令とするガミラスの前線基地がおかれた。
ここから遊星爆弾が地球に向けて発射される、
ガミラスにより環境改造が施されているという設定で海もある。
シリーズ序章においては近傍が激しい艦隊戦の舞台となった。
反射衛星砲の攻撃を受けたヤマトが船体を安定させるため
「冥王星の月」にアンカーを打ち込むというギャグ漫画チックな表現がある
ちなみに現実の1974年の時点では冥王星の衛星はまだ観測確認されてない
■宇宙戦艦ヤマト 完結編 (1983)
ディンギル、ルガール・ド・ザールの外道戦法とヤマト/地球艦隊の戦術的無策、
地球艦隊の美学的自己犠牲、波動カートリッジ砲など見所満載の冥王星会戦
冥王星の地表面はごつごつした岩盤と山河、表現は緻密であるものの、
前シリーズから大きな変化はないように見える
参考
1980年刊、トンボーとパトリックムーアの新書に天文学アーティストのドン・ディクソンが描いた装画
位置関係から推察すると衛星カロン地表から眺めた冥王星ということになるっぽい
後のヤマトシリーズにおける冥王星地表面のイメージ元ネタになってるかもしれない。
■惑星ロボ ダンガードA #40 「果てしなき銀河の海へ」 (1977)
松本零士原作アニメの「冥王星」
太陽系第十番惑星プロメテに移住するという話
この時点ではまだ冥王星のイメージは固まっていなかったように見える。
■銀河鉄道999 #05 「迷いの星の影」 (1978)
冥王星が氷のカタマリといったイメージは「銀河鉄道999」で完成されたものと思う。
生身の身体を棄てていった無数の人々の抜け殻が氷付けにされていて
シャドウという女性が一人で墓守をしている。
冥王星スペックは当時最新のもので、宇宙戦艦ヤマトの設定とも内容的に一致している。
この「銀河鉄道999」原作マンガは1977年末に発表されたものだが、
くしくもこの半年後、アメリカの天文学者クリスティーによって冥王星の衛星カロンが発見された。
冥王星の直径は、その距離と明るさから水星(4800キロ)と火星(6800キロ)の中間と予測されていたが
その明るさは、冥王星とカロンが双子星のような関係にあり、2つを合わせた明るさであることがわかった。
そのためカロン発見によって冥王星の直径も大幅に下方修正されることになった。
今回のニューホライズンズの観測で、より正確な冥王星の直径は2370キロと判明。月よりも小さい。
ちなみに、冥王星とカロンが初めて望遠鏡で個別に観測されたのはハッブル完成後。(90年代)
■劇場版 銀河鉄道999 (1979)
■さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅- (1981)
星の外観はシリーズを通してほぼ同一ですね。
氷結の星としての青、そして太陽系の果ての深い暗闇というイメージ
■宇宙空母ブルーノア #24 「地球よ、永遠に!」 (1980)
ヤマトの類似作品、打ち切りの憂き目にあい10数話分が短縮され
地球を離れて宇宙にくり出したのは終盤のみだった
一番手前が冥王星と思われる。
■宇宙大帝ゴッドシグマ (1980) ED
⇒YouTube
「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」の有名なコーラス。左奥が冥王星と思われる。
1979年にボイジャー1号によって発見されたばかりの木星の輪が見える。
当時は気にならなかったけど、けっこう線がガタってるなあ・・・
ちなみに、このフレーズをよく覚えていたせいか
1985年の資生堂cosmo秋のキャンペーンCMには軽く衝撃を受けた
⇒YouTube
1979年~99年あたりまでは「・・・土・天・冥海」の並びが正しかったらしい。
海冥に戻ったと思ったら数年で降格になっちゃって、つくづく不遇
■六神合体ゴッドマーズ #07「冥王星は地獄の星!」 (1981)
今見るとひとっ飛びで冥王星まで行ってしまうクラッシャー隊に驚く
藤川桂介さんが脚本参加というのもあるけど、冥王星のイメージには松本零士作品の影響が強くあると思う。
■銀河疾風サスライガー #27 「聖星はるかなり」 (1983)
その発見から五年、アニメで衛星「カロン」が描かれた最初の作品ではないかと思う。\イエーイ/
カロンは背景の添え物としてでなくブラディ軍の核ミサイル基地として描かれ\イエーイ/
カーメン25世の超能力によって基地は粉砕された。\イエーイ/
1989年にボイジャー2号が海王星に最接近。海王星が「青い氷の星」であることがわかると
アニメにおいて大きくかぶっている冥王星の色や材質イメージは、相対的変更を迫られます。
■劇場版 銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー (1998)
あまり話題にならなかった劇場版新作ですが、
重要な舞台として過去のシリーズ中に何度も出てきた「迷いの星・冥王星」が
唐突にカロンとともに二重惑星になってたのには驚きました。
ハッブルもできて、天体観測の分野で未知だった色々なことが次々発見され始めると
アニメでは逆に描きにくくなるのか、ほとんど黒塗りになっちゃってますね。
そもそも遠い星でとても暗いということもあるのだろうけど。
この二重星は距離的にはちょっと近すぎるかもですが、大きさの対比はわりと正確なのかな。
ハッブルでも、かなりボヤけた画像しか無かったころですしね。
まあ、カロンは実際かなりでかい衛星なんだ、ほとんど双子星なんだという
そういう部分に触れたのは画期的かもしれない。
このたびニューホライズンズが撮影したカロンと冥王星 (2015)
■トップをねらえ2! #04 「復活 !! 伝説のバスターマシン! 」 (2003)
灰色の冥王星、トラントロワが眠る舞台として。
冥王星には遺跡があって、カロンのほうが開発されているのが面白い設定だと思った
サスライガーへのオマージュというわけではないだろうけど
冥王星は砂漠のようなイメージで描かれる。あるいは砂でなく凍った固体窒素とかメタンとか
海外SFにはこういう解釈もあったような気がするけど、正確に思い出せない
実際のところ冥王星の表面がどうなってるのかはこれからわかるわけだけど、
松本アニメの影響を抜け出したという点で画期的と思う、
■宇宙戦艦ヤマト2199 #05「死角なき罠」 (2013)
最近のリメイク作、グリーンの冥王星。
「冥王星表面を覆う氷と岩盤」という点が現実に言われてるイメージと近い感じ
前作シリーズとの齟齬もなく
またヒドラやニクスといったほかの衛星(2005年に発見)に触れている点も新しい
どの作品も最近に至るまで冥王星は単色でまとめてるけど
ニューホライズンズの赤外線/可視光線情報もとに着彩された画像も公開された
これだと意外にもダンガードAの冥王星が一番近いのかもしれない↓
いずれにせよ冥王星のイメージはアニメが与えてくれた、
そしてそれを随時修正してく柔軟性もまた、アニメによってもたらされた気がする。
惑星でなくなり、外縁天体に格下げされると
カイパーベルトやオールトの雲なんかの仲間になって
「太陽系の最果て」という特異なポジションは完全になくなってしまったために
物語への利用のされ方も変わってきつつある昨今なのですが
(太陽系の果てに赴くというエピソードのある「放課後のプレアデス」では
冥王星が完全無視されてた。これはある意味で新しかった)
今回の探査機の接近によって
地表面は本当はどんな様子で、どんな地形があって起伏はどうかなど、
謎に包まれていた冥王星の姿が今後次々と明らかになるはずです。
なんだか今回の全データをNASAがダウンロードし終わるのに、1年半もかかるそうで。
誰も予想しなかったとんでもない謎が明らかになったりすると、面白いですよね。
そしてもたらされた新情報が、また新たなクリエイターを刺激し、
それが新しいアニメとなって
なんという好循環、さらにわくわくしてきます!\イエーイ/
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category: アニメ
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