修学旅行で全国の小中学生が訪れる広島。子どもたちは、戦禍の様子を展示物からたどり、被爆者の話に耳を傾ける。今年は戦後70年。今の子どもたちは戦争と平和について何を考え、どんな答えを導き出すのか。岐阜県高山市の中学校を取材した。

■事前学習「戦争、ピンとこない」

 高山市立宮中学校(全校生徒89人)で5月11日、3年生25人が、修学旅行で訪れる広島市の「原爆の子の像」について、小林雅文教諭の話を聞いていた。広島で被爆した佐々木禎子(さだこ)さんが折り鶴を掲げる像だ。像の近くに折り鶴置き場があり、訪問時に捧げる折り鶴を生徒たちも作っていた。

 「何で鶴を折ったのかわかる?」。先生の問いかけに生徒が口を開く。「折れって言われたから」