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 集団的自衛権の行使を認めることなどを盛り込んだ安全保障関連11法案は16日、衆院本会議で自民党、公明党、次世代の党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。論戦は参院に移り、今月中にも本格化する見通しだ。野党は世論の反対が多いことなどを背景に法案への批判を強めており、厳しく追及する方針だ。

 採決前の討論で、自民の松本純氏は「過去の安全保障関係法案の中でも最長の審議時間だ」と述べて衆院での審議は尽くされたと主張。公明の遠山清彦氏も「日本の平和国家路線は、今回の法制で何ら変わるわけではない」と強調した。

 これに対し、民主党の岡田克也代表は「戦後70年間、歴代内閣と国会が積み上げてきた憲法解釈を一内閣の独断で変更したことは大きな間違いだ」、維新の党の松野頼久代表も「専守防衛の原則を守ってきた自衛隊のあり方を根本的に変える」などと批判。共産党の志位和夫委員長は「国民の8割以上が『政府の説明は十分ではない』と答えている」と指摘した。

 民主、共産、社民各党は討論の終了後に退席し、安保関連法案の採決を欠席した。維新は自ら提出した対案が否決された後に退席。その後、安保関連法案が起立によって採決され、可決された。生活の党と山本太郎となかまたちは本会議自体を欠席した。

 野党は衆院特別委員会で与党が採決を強行したことに強く反発しており、当面の間、衆参両院で一切の審議に応じない方針だ。

 一方、安倍政権は今国会の会期を9月27日まで大幅延長している。16日に法案が衆院を通過したことで、法案が仮に参院で議決されなくても、衆院の3分の2以上の賛成で再議決できる「60日ルール」が9月中旬に適用できる。

 野党は与党による再議決を阻止したい考えだ。参院では与党議員と野党議員の比率が6対4と衆院に比べて接近しており、野党ペースの国会運営をめざす。民主は論戦力を高めようと、質問内容を練る対策本部を設置した。

 与党は参院にも法案を審議する特別委員会を設置する方針で、委員長には鴻池祥肇・元防災相をあてる方向で調整している。