根津弥
2015年7月18日17時39分
水墨画家の丸木位里(いり、1901~95)と洋画家の俊(とし、1912~2000)夫妻が原爆投下直後の広島の惨状を描いた「原爆―ひろしまの図」の公開修復が18日、広島市現代美術館(同市南区)で始まった。制作から40年余りたって傷み始めたため、初めて修復することになった。
ひろしまの図は、丸木夫妻の15部の連作絵画「原爆の図」とは別に広島市が夫妻に制作を依頼し、73年に描かれた縦4メートル、横8メートルの大作。「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)の岡村幸宣(ゆきのり)学芸員(41)によると、さまよう被爆者などそれまでの「原爆の図」のモチーフが収められた集大成的な作品という。
18日は東洋美術の修復が専門の棚橋映水(えみ)さん(42)=吉備国際大学専任講師=らが表面をマイクロスコープで観察し、傷んだ部分を特定する作業を始めた。状況を分析し、修復方法を検討していくという。広島市現代美術館の寺口淳治副館長(53)は「核兵器廃絶と世界の恒久平和の願いを後世に伝えたい」。作業は9月下旬ごろまで続く。問い合わせは同美術館(082・264・1121)へ。(根津弥)
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