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■ジョーイを追って ある外国人技能実習生の死〈上〉

 「ジョーイ、ジョーイ」。折りたたみベッドに横たわる体を同僚が揺り動かした。反応がない。

 岐阜県各務原市にある従業員寮の一室。昨年4月のある朝、27歳のジョーイ・トクナンが亡くなっていた。心疾患だった。

 フィリピンから来た外国人技能実習生。3年まで滞在が認められ、3カ月後に帰国するはずだった。

 亡くなる前日は休みで、「リサイクルショップに娘のお土産を買いにいくんだ」と同僚に話していた。

 職場だった鋳造会社では熱した金属を型に流し込んで機械部品などを造る。今回の件は労働災害事故として、長時間労働による過労死認定に向け手続きが進む。実習生への認定は異例だ。

 フィリピンの若者、ジョーイの死を追う。(小林孝也)

■「稼ぎたいと言われれば……」

高度成長期から中小企業が集積してきた、岐阜県各務原市の「金属団地」。昨年4月26日午前8時ごろ、その一角の従業員寮の一室で、フィリピン人の若者が心疾患で亡くなっているのが見つかった。当時27歳のジョーイ・トクナン。外国人技能実習生だった。