2015年7月18日 13:24

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 東京大学の高野教授は、「鏡映反転は3つの異なった現象の集まりである」と考える独自の理論にもとづいて、鏡映反転にまつわるさまざまな事実を説明することに成功した。

 鏡映反転は、一般には「鏡の中では、左右は反対に見えるが、上下は反対に見えない」という現象だと考えられているが、実際には、左右は反対に見えずに上下だけが反対に見える場合、左右と上下の両方が反対に見える場合、どちらも反対に見えない場合、反対に見えるのかどうか判断がつかない場合なども存在する。

 今回の研究では、多重プロセス理論として「鏡映反転は1つの現象ではなく、3つの異なった現象の集まりである」と考え、自分自身が鏡に映ったときの鏡映反転(視点反転)、文字が鏡に対面したときの鏡映反転(表象反転)、鏡面と垂直な方向が反転して見える鏡映反転(光学反転)がそれぞれ別の理由で生じることを示した。

 19才から27才の間の男女314名を被験者として、被験者自身、アルファベット文字、モデルカー、地図、切り抜いた文字、鏡映文字などが上下・左右・前後が反転して見えるかどうかを答える5種類の実験を行った。

 その結果、どの実験でも、2割から4割の被験者が自分自身の鏡映反転(視点反転)を認知しなかったが、それらの被験者も皆、文字の鏡映反転(表象反転)は認知することなど、ほとんどの実験結果が多重プロセス理論と一致することが明らかになった。

 研究グループは、本研究によって紀元前から続いてきた鏡映反転の議論に結論が出たとしている。

 なお、この内容は書籍「鏡映反転―紀元前からの難問を解く」として刊行されている。

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