盗難仏像、対馬に戻る 2年9カ月ぶり、指先が一部破損
長崎県対馬市の海神(かいじん)神社から2012年10月に盗まれ、持ち込み先の韓国が返還を決めた国指定重要文化財「銅造(どうぞう)如来立像(にょらいりゅうぞう)」が18日、2年9カ月ぶりに対馬に戻った。
仏像は17日に韓国から日本へ引き渡され、18日、文化庁の職員が空路、対馬へ運び、報道陣に公開した。文化庁と神社によると盗難後、両手の指先の一部が破損したとみられるという。
神社の宝物館を管理していた神社総代の島井利和さん(67)は「一部破損したのは引っ掛かるが、戻ってきてうれしい」と話した。神社総務の扇平さん(58)は「ほっとした。保管場所のセキュリティーを整備したい」と述べた。
対馬で盗まれたもう一体の長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像(かんぜおんぼさつざぞう)」は返還の見通しが立っておらず、島井さんと扇さんは「国や県が協力して取り返してほしい」と訴えた。
=2015/07/19付 西日本新聞朝刊=