米キューバ:オバマ氏「歴史的一歩」 大使館20日再開
毎日新聞 2015年07月01日 21時19分(最終更新 07月02日 05時17分)
【ワシントン西田進一郎、ハバナ朴鐘珠】オバマ米大統領は1日午前(日本時間2日未明)、米国とキューバが双方の首都に大使館を再開させ、国交を回復すると発表した。これに先だち、キューバ外務省は大使館再開日が今月20日になることを明らかにした。東西冷戦の名残と言える断絶した両国の国交が54年ぶりに回復し、関係正常化の一里塚を迎えた。
オバマ大統領は演説で「キューバとの関係正常化に向けた歴史的な一歩で、米国にとっての新たな一章が始まる。我々は過去にとらわれた囚人となってはいけない」と、大使館再開の意義を強調した。国交断絶後50年以上にわたったキューバ孤立化政策について「機能しなかった」と認め、「何かがうまく機能しない時には、我々は変わることができる」と言明。そのうえで、米国が国交を回復してキューバに関与することで、同国の民主化や人権状況の改善を促せると力説した。
米政府は1日、オバマ大統領からキューバのラウル・カストロ国家評議会議長に宛てた親書を送り、大使館開設と外交関係樹立の決定を確認する内容を盛り込んだ。オバマ大統領によると、ケリー国務長官が今夏のうちにハバナを訪れ、大使館再開の式典に出席する。
米国がハバナ、キューバがワシントンに置いている現在の利益代表部を大使館に昇格させる。大使館開設のためには、米政府は少なくとも15日前に議会に通告する必要があるが、議会承認は必要ない。
一方、駐キューバ米大使の指名については、議会承認が必要だ。米議会では、いずれもキューバ移民を親に持つ共和党大統領候補のマルコ・ルビオ、テッド・クルーズ両上院議員らが国交正常化方針に反発しており、承認が難航する恐れも出ている。
また一部の経済制裁は緩和されたが、議会が定めた制裁は残っている。制裁解除の条件はカストロ兄弟の政界引退や多党制の実現とされており、ハードルは高い。そのためオバマ大統領は同日の演説で、議会に対し残された制裁を解除するように呼びかけたが、野党共和党が多数派を占める議会が早期に応じるかは不透明だ。また、米国が重視するキューバ政治の民主化や人権問題では、そもそもの考え方に溝があり、歩み寄りは容易ではない。両国はこれらの課題について引き続き協議を行う見通しだ。